公的年金だけでは少し心もとないと感じる時、年金に上乗せされる「年金生活者支援給付金」という制度があるのをご存知ですか。

この制度は、所得が一定基準額に満たない方の生活を支えるためのものです。

本記事では、どのような方が対象になるのか、いくら受け取れるのか、そして手続きはどうすればよいのか、といった疑問に分かりやすくお答えします。

ご自身の状況と照らし合わせながら、ぜひ最後までご覧ください。

1. 年金生活者支援給付金の概要

年金生活者支援給付金制度について1/8

年金生活者支援給付金制度について

出典:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」

「年金生活者支援給付金」は、公的年金などの収入や所得額が一定の基準に満たない年金受給者の生活を後押しするための制度です。

この給付金は一時的なものではなく、年金に上乗せする形で継続的に支給される点が特徴です。

受け取っている基礎年金の種類によって、以下の3つに分けられます。

  • 老齢年金生活者支援給付金
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

初回のみ申請が必要ですが、一度手続きをすれば、支給要件を満たしている限り2カ月に1度の頻度で支給が続きます。

2. 年金生活者支援給付金の対象者と支給要件

年金生活者支援給付金は3種類あり、それぞれに所得などの支給要件が定められています。

ここでは「老齢年金生活者支援給付金」と、「障害年金生活者支援給付金・遺族年金生活者支援給付金」の2つに分けて、詳しい要件を見ていきましょう。

2.1 老齢年金生活者支援給付金のケース

「老齢年金生活者支援給付金」支給要件2/8

「老齢年金生活者支援給付金」支給要件

出典:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」

  • 65歳以上で老齢基礎年金を受給している
  • 同じ世帯の全員が市町村民税非課税である
  • 前年の公的年金などの収入額(※1)と他の所得の合計が、昭和31年4月2日以降生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は80万6700円以下である(※2)

※1 障害年金や遺族年金といった非課税収入は合計額に含みません。
※2 昭和31年4月2日以降に生まれた方で合計額が80万9000円を超え90万9000円以下の方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下の方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

2.2 障害・遺族年金生活者支援給付金のケース

  • 障害基礎年金または遺族基礎年金のいずれかを受給している
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下である(扶養親族の人数に応じて増額されます)

※ 障害年金、遺族年金などの非課税収入は所得に含みません。

なお、いずれの給付金も、定められた要件をすべて満たす必要があります。

3. 年金生活者支援給付金の給付額はいくら?金額別の件数データ

厚生労働省の『令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』を基に、実際に支給された年金生活者支援給付金の平均月額を確認してみましょう。

2025年3月時点での平均給付月額(※)は、老齢年金生活者支援給付金で4146円、障害年金生活者支援給付金で5727円、遺族年金生活者支援給付金で5228円という結果でした。

※2025年3月時点で認定されている方の平均給付額です。

給付金の金額別に見た給付件数は、以下の通りです。

3.1 老齢年金生活者支援給付金の給付金額別件数

  • 1000円未満:7万5101件
  • 1000円以上2000円未満:31万4450件
  • 2000円以上3000円未満:59万9166件
  • 3000円以上4000円未満:108万2177件
  • 4000円以上5000円未満:103万4357件
  • 5000円以上6000円未満:104万5423件
  • 6000円以上7000円未満:18万5291件
  • 7000円以上8000円未満:9万3265件
  • 8000円以上9000円未満:4万4796件
  • 9000円以上1万円未満:1万9891件
  • 1万円以上:1万524件

3.2 障害年金生活者支援給付金の給付金額別件数

  • 5000円以上6000円未満:149万3700件
  • 6000円以上7000円未満:68万3466件

3.3 遺族年金生活者支援給付金の給付金額別件数

  • 1000円未満:ー
  • 1000円以上2000円未満:607件
  • 2000円以上3000円未満:1569件
  • 3000円以上4000円未満:ー
  • 4000円以上5000円未満:ー
  • 5000円以上:7万5531件

4. 年金生活者支援給付金の請求手続きについて

この章では、年金生活者支援給付金の請求手続きの流れを解説します。

すでに公的年金を受け取っている方で、新たに給付金の支給対象となった場合には、日本年金機構から請求書を兼ねたお知らせが郵送されます。

4.1 基礎年金を受給中の方向けの手続きフロー

年金生活者支援給付金請求書の手続きフロー6/8

年金生活者支援給付金請求書の手続きフロー

出典:日本年金機構「年金生活者支援給付金手続きのご案内リーフレット」

  • 毎年9月の第1営業日以降、「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送されます。
  • 2025年1月以降に65歳になり、日本年金機構から同請求書が届いた方は、電子申請も可能です。
  • 電子申請を利用しない方は、必要事項を記入し、切手を貼ってポストへ投函します。

なお、支給要件に該当するか確認できない方には、「年金生活者支援給付金請求書(A4型)」と「所得情報等を確認するための所得状況届」が送付されます。

次に、年金そのものをこれから請求する方の手続きの流れを見てみましょう。

4.2 老齢基礎年金を新規に請求する方向けの手続きフロー

老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ7/8

老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ

出典:日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ」

  • 65歳になる3カ月前に届く「年金請求書(事前送付用)」に、給付金の請求書が同封されています。
  • 必要事項を記入の上、受給開始年齢の誕生日前日以降に、年金の請求書とあわせて年金事務所へ提出します。

※障害年金や遺族年金の生活者支援給付金の対象者で、これから初めて基礎年金を請求する方は、給付金の請求書が自動では郵送されません。年金の請求手続きと同時に、ご自身で年金事務所や市区町村の窓口にて給付金の請求手続きを行う必要があります。

4.3 年金生活者支援給付金の支給日はいつですか?

年金生活者支援給付金は、公的年金と同様に偶数月の15日に支給されます。もし15日が土日や祝日にあたる場合は、その直前の金融機関営業日に前倒しで支給されます。

例えば、10月に支給されるのは8月分と9月分の給付金です。

年金と同じ受取口座に入金されますが、通帳にはそれぞれ別の項目として記録されます。

5. 公的年金の受給額は個人差が大きい

厚生労働省の『令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、公的年金の平均月額は国民年金(老齢基礎年金)で約5万9310円、厚生年金(国民年金部分を含む)で約15万289円です。

ただし、年金の受給額は人によって大きく異なる点に注意が必要です。

特に厚生年金では、その差が顕著に現れます。

厚生年金保険(第1号) 男女別年金月額階級別老齢年金受給権者数8/8

厚生年金保険(第1号) 男女別年金月額階級別老齢年金受給権者数

出典:厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

「厚生年金に加入していれば多くの年金がもらえる」と考えがちですが、実際には月額30万円以上を受け取る方もいれば、月額1万円未満の方もいるなど、受給額の分布は広範囲にわたります。

年金とその他の所得を合わせても一定の基準を下回る所得の場合、「年金生活者支援給付金」の支給対象となる可能性があります。

6. まとめ

今回は年金生活者支援給付金について解説しました。

この制度は、年金収入だけでは生活が厳しいと感じる方々にとって、大切な支えとなるものです。

ご自身が対象になるかどうかの所得要件などを確認し、もし該当する可能性がある場合は、日本年金機構からのお知らせを見逃さないようにしましょう。

手続きは請求書を返送するだけの場合がほとんどですが、不明な点があれば、お近くの年金事務所に相談してみるのも一つの方法です。

春は生活環境が変わりやすい時期でもありますので、この機会にご自身の年金や家計について改めて考えてみてはいかがでしょうか。

参考資料

マネー編集部年金班