2. なぜ、日本の富裕層は増え続けているのか?

ここ10年ほどで富裕層の世帯数や資産総額が伸びてきた要因として、株式や投資信託などの金融資産の価格上昇が大きく影響しています。

こうしたリスク資産を多く保有していた世帯ほど、価格上昇の恩恵を受けやすく、資産を拡大させてきたと考えられます。

さらに、富裕層・超富裕層が増えている背景には、相続によってまとまった資産を引き継ぎ、新たに富裕層となるケースの増加もあります。

加えて近年では、「気づかないうちに富裕層の水準に達していた世帯」や「共働きで着実に資産を積み上げた結果、富裕層となった世帯」も一定数見られます。

2.1 「いつの間にか富裕層」と「スーパーパワーファミリー」の増加が顕著に

最近では、株価の上昇やNISA制度の広がりを背景に、長期的に資産運用を続けた結果、本人の自覚がないまま富裕層の基準に到達する世帯が増えています。

株式会社野村総合研究所では、このような層を「いつの間にか富裕層」と呼んでいます。

40歳代や50歳代の会社員でも、長年の運用の積み重ねにより、金融資産が1億円を超える例が増えているとされています。

一方で、共働きによって安定した収入を確保しながら資産形成を進め、50歳前後で富裕層に到達する「スーパーパワーファミリー」と呼ばれる世帯の存在も確認されています。

「いつの間にか富裕層」は、収入の範囲内でこれまでと同様の生活スタイルを維持している点が特徴です。

対して「スーパーパワーファミリー」は消費意欲が高く、不動産や高額商品などへの支出を積極的に行う傾向があるとされています。

また、こうした富裕層の増加や資産形成の広がりは、都市部に限った動きではありません。

株式会社野村総合研究所の推計によれば、生活コストの地域差を踏まえると、地方でも世帯年収1000万円以上の大企業共働き世帯は、60歳前後で富裕層の基準に達する可能性があると指摘されています。

このように、「富裕層=東京」という従来のイメージは変化しつつあり、地方でも新たな富裕層が生まれ、その消費行動にも変化が見られています。

次章では、地方で広がる富裕層の実態と消費の特徴について見ていきましょう。