ところで、吉野家HDの昨年度(2019年2月期)の業績は大変厳しい結果となりました。主力の「吉野家」を始めとする各事業において、売上の伸び悩みに加え、人手不足等に伴う一連の人件費上昇の影響から収益は大幅悪化を強いられました。

営業利益は、その前年実績(2018年2月期)の約40億円から一気に約1億円(同▲97%減)へ激減し、減損損失を計上した最終損益は▲60億円の大赤字に陥りました。

言うまでもなく、これは深刻な業績悪化です。しかし、それからわずか3カ月、一体何が収益回復の牽引役になったのでしょうか。

もちろん、多額の最終赤字を計上したのですから、厳しいコスト削減を実施したのは容易に想像できます。ただ、注目すべきは、第1四半期の売上高が+6%増と、外食産業としては大幅増収になった点です。コスト削減だけでは売上高は伸びません。

大ヒットの「牛丼 超特盛」が大幅増収を牽引、牛丼では28年ぶりの新サイズ

やはり、何か大幅増収をもたらす要因がありそうです。結論から言うと、これは3月から吉野家で販売を開始した「牛丼 超特盛」と考えられます。

吉野家で牛丼の新サイズが発売されるのは、1991年に登場した「牛丼 特盛」以来28年ぶりとなりますが、予想以上の大ヒットになっている模様です。既に1カ月後には早くも100万食を突破し、その後も順調に伸長していると見られます。

この「超特盛」は、牛肉が大盛の2倍、ご飯は大盛・特盛と同様のボリュームで、まさしく“メガサイズ”のメニューです。価格は780円(税込)ですが、これは並盛(380円)の2倍超です。

単純には判断できませんが、一般的には、高価格商品ほど利幅(マージン)も大きいと考えられます。特に、吉野家のようなファストフードではこの試算は当てはまりますし、業態は違いますが、マクドナルドの業績回復時にも高価格帯商品のヒットが寄与したことはまだ記憶に新しいところです。

遅まきながら筆者も「超特盛」を食べてみることにした