「ほったらかし投資」は手間がかからず初心者にも人気ですが、ただ放置するだけでは思うように資産が育たないこともあります。
こどもNISAは令和9年1月1日に施行され、これからは世代を問わずNISAを利用する人が増える見込みです。こうした流れの中で、長期運用を前提とした投資スタイルへの関心も高まっています。
NISAで「ほったらかし投資」で成果を出すには、最初の設定が肝心です。本記事では、運用を成功させるポイントとして「株式比率」「ファンドの選び方」「積立額」の3つの視点から解説します。あわせて、資産がどれくらい増えるのか目安となるシミュレーションも紹介します。
1. 【NISAほったらかし投資】初心者でも取り組みやすい?
「ほったらかし投資」とは、投資したら頻繁に売買せず、長期にわたってそのまま運用を続ける投資スタイルです。運用に手間がかからないため、初心者でも取り組みやすいメリットがあります。
NISAでも「ほったらかし投資」が可能です。非課税期間に限りはないため、売却しない限りいつまでも保有を続けられます。投資信託に積み立てれば、「長期・積立・分散」という投資の基本を押さえた運用を実践できます。
2. 【NISAほったらかし投資】成功させる3つの条件
「ほったらかし投資」で失敗しないため、知っておきたい3つのポイントを解説します。
2.1 条件①:株式の比率を高めに設定する
1つ目のポイントが株式比率です。積立投資を行うなら、株式比率はある程度高めに設定するようおすすめします。
積立投資で気を付けたいのは、低利回りによる目標額への未達です。積立投資は小さい額で運用を始めるため、一括投資と比べると必要な利回りは高くなります。
例えば、10年後に2000万円を目指す場合、最初に1000万円を投資できるなら利回りは7.2%で十分です。しかし、1000万円を10年に分けて毎年100万円を積み立てる計画だと、必要な利回りは12.4%に上昇します。
投資手法別・利回り別の資産総額1/4
出所:著者作成
積立投資では、ある程度の利回りがほしいところ、株式の比率を抑えると利回りが小さくなる傾向にあります。株式は一般にリスクが高い資産で、初めての投資だと敬遠するかもしれませんが、ポートフォリオは株式の比率を高めに設定するようおすすめします。
2.2 条件②インデックス型を選ぶ
続いて「インデックス型」を中心に選ぶこともポイントです。インデックス型とは、日経平均株価やS&P500のように、特定の指数(=インデックス)への連動を目指して運用する投資信託を指します。
インデックス型を選びたい理由は良好な運用実績です。つみたて投資枠の対象ファンドは、より高いパフォーマンスを目指す「アクティブ型」よりもインデックス型の方が高い利回りを残してきました。
【つみたて投資枠対象インデックス型ファンドの5年実績リターン】
・国内株式型:15.2%(同アクティブ型:9.7%)
・先進国株式型:23.2%(同15.5%)
・グローバル株式型:21.0%(同12.7%)
・バランス型:10.2%(同11.7%)
※2025年末(年率)
出所:金融庁『「国内運用会社の運用パフォーマンスを示す代表的な指標(KPI)の測定と国内公募投信についての諸論点に関する分析」の公表について』
リスクあたりのリターンを測る「シャープレシオ」でも、株式型ではインデックス型の方が優位な状況です。
【つみたて投資枠対象インデックス型ファンドの5年実績シャープレシオ】
・国内株式型:1.12ポイント(同アクティブ型:0.90ポイント)
・先進国株式型:1.46ポイント(同1.08ポイント)
・グローバル株式型:1.51ポイント(同0.71ポイント)
・バランス型:1.37ポイント(同1.37ポイント)
※2025年末(年率)
出所:金融庁『「国内運用会社の運用パフォーマンスを示す代表的な指標(KPI)の測定と国内公募投信についての諸論点に関する分析」の公表について』
優秀なアクティブ型もあるはずですが、「ほったらかし投資」なら銘柄を選別する労力も抑えたいところです。インデックス型が無難といえるでしょう。
※これは過去の実績であり、将来の運用成果を保証するものではありません。直近10年は米国株を中心とした歴史的な上昇相場であった点に留意が必要です。
2.3 条件③:無理のない積立額を設定する
3つ目のポイントが積立額です。無理なく続けられるよう、投資は余裕資金から行い、積立額は生活に影響しない範囲で設定しましょう。
「ほったらかし投資」は、長く運用することで利益を積み上げる効果に期待できます。頻繁に売買するとこの効果が弱まり、運用効率の低下が懸念されます。
できるだけ長く継続するため、運用は生活費を除いた余剰資金で行いましょう。生活費を運用に回すと、せっかく投資した資産を取り崩す事態が想定されます。当面の生活費を確保し、積み立ては月々の収支に影響しない金額で行うことが大切です。
3. 【NISAほったらかし投資】20年でみた「3つの運用シミュレーション」をみる!
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)によると、2024年までの30年間と同様の経済状況が続くと仮定したとき、各資産の期待リターンは株式が国内と外国の平均で年率5.1%、債券が同1.35%です。
これを前提にシミュレーションしてみましょう。毎月5万円を20年間積み立てる想定です。
3.1 株式70%、債券30%の運用シミュレーション
・株式多めの積極的ポートフォリオ
・期待リターン3.975%、20年間の利益614万円
全体の7割を株式で構成した積極的なポートフォリオです。構成比からポートフォリオの期待リターンは3.975%となります。20年間の積み立てで利益は614万円、総額は1814万円に達する計算です。
3.2 株式50%、債券50%の運用シミュレーション
・GPIFと同じポートフォリオ
・期待リターン3.225%、20年間の利益474万円
株式と債券を半分ずつ保有するポートフォリオで、GPIFと同様の資産構成です。20年間で利益は474万円、資産総額は1674万円に達します。
3.3 株式30%、債券70%の運用シミュレーション
・債券を厚めにした保守的ポートフォリオ
・期待リターン2.475%、20年間の利益346万円
全体の7割を債券で構成する保守的なポートフォリオです。期待リターンは上記2ケースと比べ低いものの、20年間の積み立てで資産は346万円増え、総額は1546万円に届きます。
※本シミュレーションは過去の実績を基にした試算であり、将来の成果を保証するものではありません。市場環境により資産が大きく減少するリスクもあり、常に右肩上がりで推移しない点に注意が必要です。
4. 【NISAほったらかし投資】長期目線で 過度な売買はNG
「ほったらかし投資」は最初の設定が大切です。目標額にもよりますが、積立投資の場合は株式比率を高めにし、インデックス型ファンドを中心に選びましょう。また、積立額は無理のない範囲で設定するようおすすめします。
「ほったらかし投資」を始めたら、頻繁な売買は禁物です。相場の上下に慌てず、できるだけ長期運用を心がけましょう。
参考資料
- 金融庁「NISAを知る」
- 金融庁『「国内運用会社の運用パフォーマンスを示す代表的な指標(KPI)の測定と国内公募投信についての諸論点に関する分析」の公表について』
- 年金積立金管理運用独立行政法人「第5期中期目標期間における基本ポートフォリオについて~ 詳細 ~」
- 金融庁「つみたてシミュレーター」
- 国税庁「源泉所得税の改正のあらまし令和8年4月」
若山 卓也