老後の生活を支える年金ですが、受け取る金額は人によって大きく異なります。
受給額の差は、現役時代の働き方によって決まる仕組みです。
これは会社員や公務員として働いた人が「国民年金」と「厚生年金」の両方を受給できる一方で、会社員や公務員経験がない自営業者や専業主婦は国民年金のみしか受け取れないためです。
そこで本記事では、国民年金と厚生年金をどちらも受け取る人と国民年金のみを受け取る人の年金受給額の差を紹介します。平均年収別に見た目安年金受給額も紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
1. 「国民年金のみ」受給者の年金受給額はいくら?
会社員や公務員経験がない専業主婦や自営業者は、国民年金のみを受け取ります。
では、国民年金はいくらもらえるのでしょうか。
厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」によると、2026年度の国民年金の満額受給額は7万608円です。
- 国民年金(老齢基礎年金(満額)):7万608円(1人分 ※1)
- 厚生年金:23万7279円(夫婦2人分 ※2)
※1 昭和31年4月1日以前に生まれた方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額7万408円(対前年度比+1300円)となります。
※2 男性の平均的な収入(平均標準報酬45万5000円、賞与含む月額換算)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。
4年連続でプラス改定となり、2026年度は国民年金(基礎年金)が前年度比1.9%、厚生年金の報酬比例部分が2.0%引き上げられています。
国民年金のみを受給する人は、保険料を全期間納めて満額(※3)になったとしても、年金月額は約7万円となります。
仮に、受給開始を75歳まで繰下げて増額(※4)したとしても、月額13万円には届かない水準です。
※3 国民年金(老齢基礎年金)の満額:国民年金保険料を480カ月納付した場合に、65歳から受け取れる年金額を指します。
※4 繰下げ受給:老齢年金の受給開始年齢を66歳から75歳までの間に遅らせる制度です。「繰下げ月数×0.7%」の増額率が適用され、75歳で受給を開始した場合の増額率は84%になります。
受給額の少なさに驚いた人もいるかもしれません。
また、現役時代に未納期間などがあると、さらに受給額は少なくなる仕組みです。
では「厚生年金受給者」の平均年金月額はいくらなのでしょうか。
2. 「厚生年金受給者」の年金受給額はいくら?
先ほど国民年金のみ受給者の年金額を確認しましたが、会社員や公務員としての勤務経験がある人は厚生年金も受給可能です。
では、厚生年金受給者はいくらの年金をもらえるのでしょうか。
厚生労働省年金局「令和6年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金受給者の年金受給額(国民年金+厚生年金)の分布は以下のとおりです。
2.1 厚生年金受給者の年金受給額分布(国民年金+厚生年金)
- 年金受給額:分布人数
- 月額1万円未満:4万3399人
- 月額1万円以上2万円未満:1万4137人
- 月額2万円以上3万円未満:3万5397人
- 月額3万円以上4万円未満:6万8210人
- 月額4万円以上5万円未満:7万6692人
- 月額5万円以上6万円未満:10万8447人
- 月額6万円以上7万円未満:31万5106人
- 月額7万円以上8万円未満:57万8950人
- 月額8万円以上9万円未満:80万2179人
- 月額9万円以上10万円未満:101万1457人
- 月額10万円以上11万円未満:111万2828人
- 月額11万円以上12万円未満:107万1485人
- 月額12万円以上13万円未満:97万9155人
- 月額13万円以上14万円未満:92万3506人
- 月額14万円以上15万円未満:92万9264人
- 月額15万円以上16万円未満:96万5035人
- 月額16万円以上17万円未満:100万1322人
- 月額17万円以上18万円未満:103万1951人
- 月額18万円以上19万円未満:102万6888人
- 月額19万円以上20万円未満:96万2615人
- 月額20万円以上21万円未満 85万3591人
- 月額21万円以上22万円未満 70万4633人
- 月額22万円以上23万円未満 52万3958人
- 月額23万円以上24万円未満 35万4人
- 月額24万円以上25万円未満 23万211人
- 月額25万円以上26万円未満 15万796人
- 月額26万円以上27万円未満 9万4667人
- 月額27万円以上28万円未満 5万5083人
- 月額28万円以上29万円未満 3万289人
- 月額29万円以上30万円未満 1万5158人
- 月額30万円以上 1万9283人
- 平均年金月額 15万289円
*厚生年金保険受給権者には、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢の引上げにより、定額部分のない報酬比例部分のみの 65歳未満の受給権者が含まれている
厚生年金+国民年金の平均年金受給額は月15万289円となっています。
国民年金の満額受給額は7万608円のため、その差は月7万9681円です。
厚生年金受給者は、国民年金のみ受給者と比較して年金額が多い傾向にあることがわかります。
3. 現役時代の「平均年収別」に年金受給額の目安をシミュレーション!
では、平均年収の違いによってどのくらい受給額に差が出るのでしょうか。
以下の条件で、平均年収別にもらえる年金額(国民年金+厚生年金)をシミュレーションしてみましょう。
- 1973年生まれ
- 23歳から65歳到達まで会社員として勤務
- 65歳から年金受取を開始
シミュレーションの結果は以下のとおりです。
3.1 平均年収ごとの目安年金受給額(額面)
平均年収 年金受給額の目安(額面)※百の位を四捨五入しています。
- 200万円:月額10万8000円
- 300万円:月額12万8000円
- 400万円:月額14万3000円
- 500万円:月額16万3000円
- 600万円:月額18万3000円
- 700万円:月額19万8000円
- 800万円:月額21万3000円
- 900万円:月額23万5000円
3.2 厚生年金は、現役時代の平均年収と勤務期間などによって受給額が異なる
あくまでもシミュレーション結果ではありますが、平均年収200万円の人と平均年収900万円の人がもらう年金の差は、月に12万7000円ほどです。
現役時代の平均年収が、年金受給額にいかに大きな影響を与えるのかがわかります。
平均年収900万円だと、試算結果では厚生年金+国民年金を「月額23万5000円※額面」受給できるため、年金だけで暮らせる人も多いのではないでしょうか。
ただし、厚生年金+国民年金の平均年金受給額は「月15万289円※額面」です。
厚生年金と国民年金を合わせて受給する人の割合で、もっとも多いのは「月額10万円以上11万円未満の層」です。
その次に多くの割合を占めているのは「月額11万円以上12万円未満の層」なので、平均年収900万円で厚生年金+国民年金を「月額23万5000円※額面」受給できる人は少数派であることがわかります。
4. 年金を増やす選択肢もある!年金の「繰下げ受給」とは?
厚生労働省の「公的年金シミュレーター」をもとに本記事で紹介した《平均年収別の年金受給額の目安※額面》をご覧になり、年金額の少なさに驚いた人もいるかもしれません。
年金だけで暮らせるか、不安になった人もいるでしょう。
そのような人は、年金の「繰下げ受給」で年金を増やすことも選択肢の1つとなります。
繰下げ受給とは、年金の受給開始期間を65歳よりも遅らせることで、受給額を増やす方法です。
最長75歳まで受給を遅らせることができ、仮に75歳で受給を開始すれば、65歳から受け取りを開始する場合と比較して年金受給額を84%増額できます。
少しでも年金を増やしたいと考えている人は、定年退職後も再就職や再雇用で働いたり、年金の繰下げ受給を選択したりするなど、家計やライフスタイルに合った方法で年金受給額の増額を検討してみてはいかがでしょうか。
また、年金制度にも目を向けて「老後の家計」について計画しておくことも大切です。
参考資料
苛原 寛