2026年度の後期高齢者医療保険料の全国平均は、月額7,989円。過去最高の水準です。
ただし、全員が同じ金額を払っているわけではありません。都道府県によっては月額1万円を超える地域がある一方、5,000円以下の地域も存在します。後期高齢者医療制度は都道府県ごとに運営されており、地域によって保険料に幅があるのが特徴です。
本記事では全47都道府県の保険料一覧とともに、2026年度から始まった新たな上乗せ負担についても解説します。
1. 後期高齢者医療保険料が上がった3つの理由
1.1 ①医療費総額の増加
後期高齢者医療制度の保険料は2年ごとに見直される仕組みになっています。75歳以上の方が医療機関を受診する件数や医療費の総額が増えると、それに伴って保険料も引き上げられます。高齢化が進む日本では医療費の増加が続いており、今回の改定もその流れを受けたものです。
1.2 ②保険料軽減措置の段階的縮小
以前は低所得者向けの特例的な軽減措置が手厚く設けられていましたが、この軽減が段階的に縮小されてきました。軽減が小さくなるということは、その分、実際に納める保険料が増えることを意味します。
1.3 ③賦課限度額(上限額)の引き上げ
保険料の年間上限額(賦課限度額)が80万円から85万円に引き上げられました。これにより、一定以上の所得がある方の負担額が増えています。
なお、2026年度からは「子ども・子育て支援金」の上乗せも始まっています。この点については後半で詳しく解説します。
2. 後期高齢者医療制度とは?保険料の仕組みをわかりやすく解説
2.1 後期高齢者医療制度の基本
後期高齢者医療制度とは、75歳以上のすべての方が加入する医療保険制度です。一定の障害があると認定された65歳以上の方も対象となります。
運営は、都道府県内のすべての市区町村が共同で設立した「後期高齢者医療広域連合」が担っており、保険料の設定や給付の管理を行います。
75歳の誕生日を迎えると、それまで加入していた健康保険(会社の健保組合や国民健康保険など)から自動的に後期高齢者医療制度へ移行します。
2.2 医療費の自己負担割合
後期高齢者医療制度に加入すると、医療機関での自己負担割合は原則1割となります。ただし、所得に応じて異なります。
- 3割:現役並みの所得がある方 (課税所得145万円以上)
- 2割:一定以上の所得がある方(課税所得28万円以上かつ、「年金収入+その他の合計所得金額」が単身200万円以上、複数世帯320万円以上)
- 1割:上記以外の方(課税所得28万円未満、または課税所得28万円以上でも上記の収入要件を満たさない方)
※3割負担の現役並み所得者に該当する場合でも、収入が一定基準に満たない場合は、申請等により1割・2割負担となる場合があります。
2.3 保険料の2本立て構造
後期高齢者医療制度の保険料は主に以下の部分で構成されています。
- 均等割額:所得にかかわらず、加入者全員が一律に負担する固定の金額です。広域連合ごとに金額が異なります。
- 所得割額:前年の所得(収入から必要経費などを差し引いた金額)に応じて計算される部分です。所得が多いほど高くなります。
2026年度(令和8年度)より、従来の「均等割額」と「所得割額」に加え、新たに「子ども・子育て支援金(子ども分)」が上乗せされています。
毎年の保険料は「均等割額+所得割額」で算出され、2年ごとに見直されます。そのため、改定のタイミングでまとまった変更が生じることがあります。
2.4 保険料の支払い方法
特別徴収(年金からの天引き) 年金の受取額が年額18万円以上の方は、原則として年金から自動的に差し引かれます。これを「特別徴収」といいます。手続きは不要で、年金支給のたびに保険料が引かれる仕組みです。
普通徴収(自分で納付) 年金額が月額1万5,000円未満の方などは、口座振替や納付書によって自分で納めます。これを「普通徴収」といいます。なお、介護保険料と後期高齢者医療保険料の合計額が、年金額の2分の1を超える場合は、年金天引きの対象外(普通徴収)となります。
3. 【全47都道府県】2026年度・ひとりあたり平均保険料(月額)一覧表
後期高齢者医療制度では、各都道府県の広域連合が「その地域の後期高齢者にかかった医療費の総額」をもとに保険料を計算します。
3.1 ひとりあたり平均保険料(月額)
最も高いのは東京都の1万352円、最も低いのは青森県の4,990円です。
- 東京都:1万352円
- 神奈川県:9,842円
- 愛知県:9,045円
- 大阪府:9,010円
- 沖縄県:8,731円
- 奈良県:8,622円
- 福岡県:8,330円
- 兵庫県:8,301円
- 京都府:8,280円
- 千葉県:8,237円
- 埼玉県:8,189円
- 佐賀県:8,159円
- 石川県:8,065円
- 滋賀県:8,051円
- 岡山県:7,891円
- 福井県:7,840円
- 山口県:7,836円
- 広島県:7,831円
- 静岡県:7,415円
- 香川県:7,388円
- 岐阜県:7,317円
- 富山県:7,296円
- 北海道:7,295円
- 大分県:7,283円
- 三重県:7,263円
- 鹿児島県:7,174円
- 茨城県:7,128円
- 熊本県:7,088円
- 山梨県:7,070円
- 宮城県:6,933円
- 群馬県:6,877円
- 徳島県:6,829円
- 和歌山県:6,771円
- 高知県:6,747円
- 長野県:6,745円
- 鳥取県:6,568円
- 島根県:6,561円
- 栃木県:6,476円
- 長崎県:6,192円
- 愛媛県:6,186円
- 山形県:6,014円
- 宮崎県:5,875円
- 新潟県:5,852円
- 秋田県:5,847円
- 福島県:5,744円
- 岩手県:5,496円
- 青森県:4,990円
- 全国平均:7,989円
3.2 年金収入84万円の場合(月額)
年金収入が84万円の場合、公的年金等控除により所得がゼロとなるため、所得割はかからず均等割のみの負担となります。年金収入が84万円以下の方も同様です。
令和8年度 後期高齢者医療制度の保険料率等 年金収入84万円の場合(月額)

出所:厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和8・9年度の保険料率について」をもとにLIMO編集部作成
最も高いのは鹿児島県の1,625円、最も低いのは岩手県の1,133円です。
- 鹿児島県:1,625円
- 佐賀県:1,603円
- 福岡県:1,548円
- 大阪府:1,515円
- 大分県:1,492円
- 山口県:1,482円
- 熊本県:1,470円
- 徳島県:1,423円
- 沖縄県:1,423円
- 高知県:1,409円
- 岡山県:1,400円
- 北海道:1,392円
- 京都府:1,390円
- 和歌山県:1,371円
- 兵庫県:1,363円
- 香川県:1,353円
- 石川県:1,337円
- 島根県:1,334円
- 奈良県:1,325円
- 愛知県:1,308円
- 長崎県:1,308円
- 富山県:1,302円
- 秋田県:1,300円
- 宮崎県:1,300円
- 愛媛県:1,298円
- 岐阜県:1,292円
- 滋賀県:1,292円
- 広島県:1,285円
- 三重県:1,280円
- 福井県:1,263円
- 東京都:1,242円
- 山梨県:1,228円
- 山形県:1,225円
- 神奈川県:1,225円
- 埼玉県:1,217円
- 鳥取県:1,217円
- 宮城県:1,216円
- 静岡県:1,192円
- 千葉県:1,183円
- 青森県:1,175円
- 茨城県:1,155円
- 新潟県:1,148円
- 栃木県:1,146円
- 福島県:1,143円
- 長野県:1,139円
- 岩手県:1,133円
- 全国平均:1,309円
4. 2026年度から「子ども・子育て支援金」が上乗せ!月いくら増えた?
2026年4月から、後期高齢者医療保険料に「子ども・子育て支援金」が上乗せされることになりました。
子ども・子育て支援金とは、少子化対策の財源として新たに設けられた仕組みで、医療保険料に上乗せする形で徴収されます。
令和8年度 後期高齢者医療制度の保険料率等(子ども分)

出所:厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和8・9年度の保険料率について」をもとにLIMO編集部作成
後期高齢者医療制度も対象となっており、全国平均で月額194円が追加されます。
上乗せ額も都道府県によって異なります。最も高いのは東京都の265円、最も低いのは青森県の115円です。
- 東京都:265円
- 神奈川県:243円
- 愛知県:215円
- 千葉県:213円
- 埼玉県:210円
- 茨城県:204円
- 奈良県:203円
- 沖縄県:203円
- 静岡県:195円
- 広島県:194円
- 京都府:193円
- 大阪府:191円
- 福井県:190円
- 兵庫県:190円
- 三重県:186円
- 宮城県:185円
- 岐阜県:185円
- 滋賀県:184円
- 石川県:183円
- 長野県:183円
- 富山県:182円
- 山梨県:182円
- 香川県:182円
- 岡山県:179円
- 福岡県:176円
- 群馬県:174円
- 栃木県:173円
- 北海道:172円
- 新潟県:168円
- 山口県:167円
- 島根県:165円
- 佐賀県:163円
- 熊本県:161円
- 和歌山県:159円
- 岩手県:158円
- 鳥取県:158円
- 高知県:157円
- 大分県:156円
- 山形県:155円
- 福島県:154円
- 徳島県:154円
- 長崎県:154円
- 愛媛県:153円
- 鹿児島県:151円
- 宮崎県:145円
- 秋田県:144円
- 青森県:115円
- 全国平均:194円
この制度は、現役世代・高齢世代を問わず、社会全体で子育てを支えることを目的として設計されています。世代を超えた相互扶助という考え方を基本とし、厚生労働省の資料においても、幅広い世代が薄く広く負担を分担する仕組みとして位置づけられています。
5. まとめ
2026年度の後期高齢者医療保険料の全国平均は月額7,989円と過去最高水準となりました。保険料は都道府県ごとに異なり、最も高い東京都(1万352円)と最も低い青森県(4,990円)では約2倍の差があります。
また、2026年4月からは子ども・子育て支援金が上乗せされ、全国平均で月額194円が追加されています。
ご自身の保険料について詳しく知りたい方は、お住まいの広域連合または市区町村の窓口にお問い合わせください。
参考資料
- 厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和8・9年度の保険料率について」
- 厚生労働省「後期高齢者医療の保険料の賦課限度額について」
- 厚生労働省「高齢者医療制度」
- 厚生労働省「後期高齢者医療制度等の仕組み」
- 厚生労働省「後期高齢者の窓口負担割合の変更等(令和3年法律改正について)」
- こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度について」
小西 雅美