4月下旬、新緑が目に鮮やかな季節になりました。
新年度が始まり、生活にも少しずつ慣れてきた頃かもしれません。
さて、日本の公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造です。
現役時代の働き方によって、将来受け取れる年金額は大きく異なります。
厚生労働省の資料によると、厚生年金+国民年金の平均受給額は月額約15万円です。
では、厚生年金+国民年金を月額15万円以上受け取っている人はどれくらいいるのでしょうか。
本記事では、全体・男性・女性において「厚生年金+国民年金」を月15万円以上もらえる人の割合を確認します。
さらに、2025年に実施される年金制度改正が与える影響や、今後の老後資金対策についても分かりやすく解説していきます。
1. 「厚生年金」と「国民年金」の仕組みとは?公的年金の「2階建て構造」を解説
日本の公的年金制度は、「国民年金」と「厚生年金」という2つの制度で構成されています。
この仕組みは、しばしば「2階建て構造」と呼ばれます。
1.1 公的年金の1階部分にあたる「国民年金」の概要
- 加入対象:原則として、日本国内に居住する20歳以上60歳未満のすべての人が対象です。
- 保険料:加入者全員が同じ金額を納付し、年度ごとに改定されます(※1)。
- 年金額:保険料を40年間(480カ月)すべて納付すると、65歳から満額の老齢基礎年金を受け取れます(※2)。未納期間がある場合は、その期間に応じて年金額が減額されます。
※1 国民年金保険料は月額1万7920円です(2026年度)。
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額は月額7万608円です(2026年度)。
1.2 公的年金の2階部分にあたる「厚生年金」の概要
- 加入対象:主に会社員や公務員などが加入します。
- 保険料:収入に応じて保険料が決まる報酬比例制が採用されており、上限が設けられています。
- 年金額:加入していた期間や納付した保険料に応じて金額が決定し、国民年金に上乗せして支給されます。
国民年金の保険料は、所得にかかわらず加入者全員が一律の金額を納めます。
それに対して、厚生年金の保険料は「報酬比例制」となっており、給与や賞与といった報酬額に応じて決まります。
毎月の報酬に定められた保険料率を掛けて算出するため、納める保険料は人によって異なります。
このように、現役時代に「国民年金」と「厚生年金」のどちらに、どのくらいの期間加入していたかによって、老後に受け取る年金額に大きな差が生じる仕組みです。
2. 【厚生年金+国民年金】「月額15万円以上受給できる」男性・女性は何%?
厚生年金の受給額は、現役時代の収入や加入期間によって個人差が生じますが、実際の金額が気になる方も多いのではないでしょうか。
厚生労働省年金局が公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、厚生年金(国民年金部分を含む)の平均受給額は、男女合計で月額15万289円となっています。
公的年金は原則として2カ月に1度支給されるため、平均額で計算すると、1回の支給でおよそ30万円が支払われることになります。
それでは、平均額の目安となる月額15万円以上を受け取っている人は、受給権者の中でどのくらいの割合を占めているのでしょうか。
※以下で示す厚生年金の月額には、国民年金(老齢基礎年金)の金額が含まれています。
2.1 【男女計】厚生年金を月15万円以上もらえる人の割合は?
【男女全体】厚生年金の平均年金月額:15万289円
- ~1万円:4万3399人
- 1万円以上~2万円未満:1万4137人
- 2万円以上~3万円未満:3万5397人
- 3万円以上~4万円未満:6万8210人
- 4万円以上~5万円未満:7万6692人
- 5万円以上~6万円未満:10万8447人
- 6万円以上~7万円未満:31万5106人
- 7万円以上~8万円未満:57万8950人
- 8万円以上~9万円未満:80万2179人
- 9万円以上~10万円未満:101万1457人
- 10万円以上~11万円未満:111万2828人
- 11万円以上~12万円未満:107万1485人
- 12万円以上~13万円未満:97万9155人
- 13万円以上~14万円未満:92万3506人
- 14万円以上~15万円未満:92万9264人
- 15万円以上~16万円未満:96万5035人
- 16万円以上~17万円未満:100万1322人
- 17万円以上~18万円未満:103万1951人
- 18万円以上~19万円未満:102万6888人
- 19万円以上~20万円未満:96万2615人
- 20万円以上~21万円未満:85万3591人
- 21万円以上~22万円未満:70万4633人
- 22万円以上~23万円未満:52万3958人
- 23万円以上~24万円未満:35万4人
- 24万円以上~25万円未満:23万211人
- 25万円以上~26万円未満:15万796人
- 26万円以上~27万円未満:9万4667人
- 27万円以上~28万円未満:5万5083人
- 28万円以上~29万円未満:3万289人
- 29万円以上~30万円未満:1万5158人
- 30万円以上~:1万9283人
厚生年金を月額15万円以上受給している人の割合は、男女を合わせた受給権者全体で見ると49.8%と、半数を下回っています。
厚生年金の受給資格がない人も含めると、この割合はさらに下がることになります。
2.2 【男女別】厚生年金を月15万円以上もらえる人の割合を比較
次に、男女別のデータを見ていきましょう。
【男性】厚生年金の平均年金月額:16万9967円
- ~1万円:3万446人
- 1万円以上~2万円未満:1万257人
- 2万円以上~3万円未満:5404人
- 3万円以上~4万円未満:5185人
- 4万円以上~5万円未満:1万4747人
- 5万円以上~6万円未満:3万9134人
- 6万円以上~7万円未満:13万4214人
- 7万円以上~8万円未満:23万186人
- 8万円以上~9万円未満:26万278人
- 9万円以上~10万円未満:26万99人
- 10万円以上~11万円未満:29万8838人
- 11万円以上~12万円未満:37万6357人
- 12万円以上~13万円未満:45万6689人
- 13万円以上~14万円未満:54万9337人
- 14万円以上~15万円未満:65万7775人
- 15万円以上~16万円未満:76万4713人
- 16万円以上~17万円未満:85万3718人
- 17万円以上~18万円未満:92万6462人
- 18万円以上~19万円未満:95万5327人
- 19万円以上~20万円未満:91万3998人
- 20万円以上~21万円未満:82万204人
- 21万円以上~22万円未満:68万2702人
- 22万円以上~23万円未満:50万9842人
- 23万円以上~24万円未満:34万1191人
- 24万円以上~25万円未満:22万4720人
- 25万円以上~26万円未満:14万7563人
- 26万円以上~27万円未満:9万2856人
- 27万円以上~28万円未満:5万4156人
- 28万円以上~29万円未満:2万9810人
- 29万円以上~30万円未満:1万4935人
- 30万円以上~:1万8801人
【女性】厚生年金の平均年金月額:11万1413円
- ~1万円:1万2953人
- 1万円以上~2万円未満:3880人
- 2万円以上~3万円未満:2万9993人
- 3万円以上~4万円未満:6万3025人
- 4万円以上~5万円未満:6万1945人
- 5万円以上~6万円未満:6万9313人
- 6万円以上~7万円未満:18万892人
- 7万円以上~8万円未満:34万8764人
- 8万円以上~9万円未満:54万1901人
- 9万円以上~10万円未満:75万1358人
- 10万円以上~11万円未満:81万3990人
- 11万円以上~12万円未満:69万5128人
- 12万円以上~13万円未満:52万2466人
- 13万円以上~14万円未満:37万4169人
- 14万円以上~15万円未満:27万1489人
- 15万円以上~16万円未満:20万322人
- 16万円以上~17万円未満:14万7604人
- 17万円以上~18万円未満:10万5489人
- 18万円以上~19万円未満:7万1561人
- 19万円以上~20万円未満:4万8617人
- 20万円以上~21万円未満:3万3387人
- 21万円以上~22万円未満:2万1931人
- 22万円以上~23万円未満:1万4116人
- 23万円以上~24万円未満:8813人
- 24万円以上~25万円未満:5491人
- 25万円以上~26万円未満:3233人
- 26万円以上~27万円未満:1811人
- 27万円以上~28万円未満:927人
- 28万円以上~29万円未満:479人
- 29万円以上~30万円未満:223人
- 30万円以上~:482人
月額15万円以上の年金を受け取っている人の割合は、男性が68.8%であるのに対し、女性は12.3%と大きな差があることが分かります。
公的年金は老後の生活を支える基盤ですが、それだけで生活費をまかなえるかを確認しておくことが重要です。
「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」などを活用してご自身の年金見込額を把握し、早めに資金計画を立ててみてはいかがでしょうか。
3. 2025年からの年金制度改正で標準報酬月額の上限が引き上げ。将来の年金額はどう変わる?
2025年6月13日に、年金制度改正法が国会で成立しました。
この改正には、現役世代の生活に深く関わる見直し点がいくつか含まれています。
ここでは、その中から「保険料や年金額の計算に用いる賃金の上限引き上げ」について解説します。
3.1 標準報酬月額の上限引き上げで保険料と年金額はどう変わるか
厚生年金や健康保険の保険料、そして年金額を算出する際には、「標準報酬月額」という基準が使われます。
これは、毎月の給与や賞与を一定の区間に分けたものです。
2025年7月時点での標準報酬月額の上限は65万円です。
月収が65万円を超えても、保険料や将来の年金額の計算基礎となるのは上限の65万円までとなり、いわゆる「頭打ち」の状態でした。
厚生労働省の発表によると、現在、男性会社員の約10%がこの上限に達しているとのことです。
収入が上限を超えると保険料の負担は相対的に軽くなりますが、その分、老後に受け取る年金額も低く抑えられてしまいます。
今回の法改正では、この標準報酬月額の上限を段階的に引き上げ、最終的に75万円とすることが決定しました。
標準報酬月額の上限《引き上げイメージ》
- 2027年9月~:月68万円
- 2028年9月~:月71万円
- 2029年9月~:月75万円
この変更によって、高所得者層の保険料負担は増加します。
しかし、その一方で、現役時代の収入により見合った年金を将来受け取れるようになります。
4. 公的年金以外の老後資金対策も検討を
ここまで、厚生年金の受給額の実態について詳しく見てきました。
老後、公的年金だけで生活できるとよいのですが、物価高で生活費の負担が増したり、「思ったよりもらえる年金が少なかった」というケースもあるでしょう。
そのため、公的年金だけに頼らず、ご自身で老後資金を準備することも大切です。
最近では、従来の預貯金に加えて、税制優遇制度の新NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)などを活用して資産運用を行い、老後の生活資金を準備する人が増加傾向にあります。
ただし、預貯金とは異なり元本が保証されているわけではないため、利益が期待できる一方でリスクも伴います。
まずはご自身で制度の内容や特徴をよく調べてみることからはじめてみてはいかがでしょうか。
※当記事は再編集記事です。



