4. 既存店データが語る崩壊構造:食品と非食品の明暗
この「値下げ地獄」の実態をさらに詳しく見るために、泉田氏はOlympicが月次で開示している「既存店売上高」のデータに注目しました。既存店売上高とは、新規出店や閉店の影響を除いた、純粋な店舗の実力を測る指標です。
データを食品部門と非食品部門に分けて見ると、明確なコントラストが浮かび上がってきます。
まず食品部門ですが、既存店売上高は前年比101.9%と堅調でした。内訳を見ると、客数が101%、客単価(顧客1人あたりの購入額)が100.6%となっており、泉田氏が個人的に「食品は美味しい」と評価していた通り、一定の支持を集めていたことがわかります。
問題は非食品部門です。既存店売上高は前年比92%と大きく落ち込んでいました。客数が91%に減少しているだけでなく、客単価も99.7%と前年を割っています。
泉田氏は、この非食品部門の不振こそが業績悪化の核心であると指摘します。
「問題は非食品部門にあって、この既存店が92%なんでマイナス8%ぐらい。だからやっぱり会社として変えなきゃいけないのはこの非食品部門」
5. なぜOlympicは値下げに走ったのか
では、なぜOlympicはこれほどまでに非食品部門で苦戦し、過度な値下げに走らざるを得なかったのでしょうか。
泉田氏の解説によれば、そこには「競合対策」「滞留在庫の圧縮」「閉店セール」という3つの悪循環が存在していました。
競合店に顧客を奪われないよう主力商品を値下げし、それでも売れ残った回転率の低い定番商品を処分するためにさらなる値下げを行う。また、不採算となった非食品分野の店舗を閉鎖する過程で「売り尽くしセール」を実施したことも、利益率を大きく引き下げる要因となりました。
さらに泉田氏は、マクロ経済の視点からも指摘します。近年の日本は物価高(インフレ)が続いており、他のスーパーマーケットでは値上げによって客単価が上昇傾向にありました。しかし、Olympicの客単価は食品で100.6%、非食品で99.7%と、ほとんど上がっていません。
世の中の物の値段が上がっているのに、自社の商品の値段を上げられない。それは裏を返せば、「店舗や商品に魅力がなく、安くしないと買ってもらえない」という厳しい現実を示しています。この価格転嫁の遅れと過度な安売り戦略が、最終的に巨額の赤字を生み出す結果となったのです。
