2. Q3短信の衝撃:売上737億円で営業損失16億円へ転落
Olympicの経営状態がどれほど厳しかったのかは、直近の決算数字に如実に表れています。泉田氏は、2026年2月期の第3四半期累計(9ヶ月間)の決算短信に注目し、その衝撃的な内容を読み解きました。
まず、売上高にあたる「営業収益」は737.72億円で、前年同期比マイナス0.1%とほぼ横ばいを維持していました。これだけを見ると、売上規模自体は大きく崩れていないように見えます。
しかし、利益面を見ると状況は一変します。
本業の儲けを示す「営業利益」は、前年同期が1,300万円の黒字だったのに対し、当期はなんと16.6億円の巨額の赤字(営業損失)に転落してしまったのです。さらに、最終的な儲けである「純利益」に至っては、25.14億円の赤字へと拡大しています。
泉田氏はこの大幅な赤字転落について、企業として相当厳しい状況に追い込まれていた証左であると指摘します。売上が維持できているのに利益が吹き飛んでいるということは、利益率が極端に悪化するような「無理な商売」をしていたことを意味するからです。
【動画で解説】「Olympic」はなぜドン・キホーテに買収された?
3. 通期業績予想の下方修正:営業赤字は当初の約2.5倍に
この第3四半期の厳しい結果を受けて、Olympicは4月6日に通期の業績予想を大きく下方修正しました。ディール(買収)発表の直前に出されたこの悪材料は、同社が自力での再建が困難になっていたことを物語っています。
修正前の予想では、通期の営業損失は9.8億円と見込まれていました。しかし、修正後にはこれが24.5億円の赤字へと拡大。当初見込みの約2.5倍という大幅な悪化です。さらに、純利益に至っては「未定」とされ、決算の着地すら見通せない異常事態となっていました。
なぜこれほどまでに利益が圧迫されたのでしょうか。泉田氏は、会社側の説明資料を基に、その背景にある「価格政策のミス」を次のように解説します。
「これ簡単に言うと、値下げしちゃったとか、在庫溜まってたのを一斉処分しちゃったとか、そういった価格政策のミスというところで下方修正に至っていますね」
つまり、売上を維持するために過度な値下げに走り、さらに売れ残った商品を投げ売りした結果、利益が全く残らない構造に陥ってしまったということです。
著者
金融・経済YouTubeチャンネル「イズミダイズム」
「イズミダイズム」は、株式会社モニクルリサーチが運営する金融・経済YouTubeチャンネルです。フィデリティ投信や日本生命でポートフォリオマネージャーや証券アナリストとしての勤務経験のある元機関投資家の泉田良輔が、プロの視点で金融や経済に関する様々なニュースの解説や、資産形成に役立つトピックをお届けします。新NISAの開始やインフレを背景に、個人の資産運用への関心が高まる中、機関投資家と個人投資家の「視点の違い」や、経済ニュースの裏側にある「構造」をロジカルに解説します。(最新更新日:2026年1月30日)
監修者
株式会社モニクルリサーチ
代表取締役/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。その他に株式会社モニクル取締役COO、株式会社モニクルフィナンシャル取締役COOも務める。LIMO&ファイナンス編集長。東京科学大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了(同研究科最優秀賞受賞)
1. 経歴
2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を原田慎司(現同社取締役)らとともに共同創業。2013年に個人投資家向け金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。Longineの立ち上げの経緯はBloombergにおいて「体力勝負アナリスト辞めます、元外資マン個人に長期投資指南」として掲載され大きな反響を呼ぶ。投資情報のサブスクモデルを確立する。その後、株初心者向けネットメディア「株1」、2015年にはくらしとお金の経済メディア「LIMO」の前身となる「投信1」を立ち上げる。2026年6月に専門家と実務家が情報発信をする金融経済ニュースサイト「LIMO&ファイナンス」を立ち上げ編集長に就任。
それ以前は、日本生命・国際投資部で外国株式ファンドマネージャー、フィデリティ投信・調査部や運用部にて10年に渡ってインターネット、電機(半導体・民生・産業エレクトロニクス)、機械(ロボットやセンサー企業中心)といったテクノロジーセクターの証券アナリストや中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー(最年少で就任)として従事。
2. 専門・研究領域
慶応義塾大学商学部卒業。国際金融及びコーポレート・ガバナンスを専攻。アジア通貨危機、昭和金融恐慌などの金融パニックのメカニズムを金融政策や金融機関への規制の観点から研究。それらの内容は「昭和金融恐慌からの教訓 平成恐慌になにをどう生かすべきか」(三田商学研究学生論文集)として発表。
3. 著書
・『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資』(ダイヤモンド社)
・『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)
・『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)
・『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』(KADOKAWA)
・『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)
4. 寄稿や講演他
「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」や「現代ビジネス」、「東洋経済オンライン」、「プレジデント」などへの寄稿や対談も多数。対談記事例としては「【未来予想】ブロックチェーン革命が、「半沢直樹」の世界に終わりを告げる」や「【未来予想】アマゾンとビットコインが、次世代の「銀行」になる理由」(いずれもNewsPicks)、「米独に遅れる日本の自動運転、自動車も電機の二の舞に?」(週刊ダイヤモンド)。海外ジャーナリストからインタビューされることも多く、Financial TimesやThe Economist、Bloombergにおいて自動車や金融業界についての国内外産業動向コメントも発信している。
講演会や動画での情報発信も盛んに行っており、NewsPicksのTHE UPDATE、日経ビジネススクール、慶應丸の内キャンパス、慶應義塾SDM、アカデミーヒルズなどでも講義を行う。またNewsPicksのNewSchoolではプロジェクトリーダーとして「本当に初心者のための資産運用」を開催。
最終更新日:2026年6月26日