今から注目しておきたい日本近海での海洋資源開発
メタンハイドレート(MH)は日本近海の海底にも豊富に存在する天然資源です。MHは天然ガスの主成分であるメタンと水が、海底の低温高圧下でシャーベット状になった物質で、別名「燃える氷」とも言われています。
日本近海には、日本の天然ガス使用量の100年分とも言われる大量のMHが存在することがわかっており(参考記事)、経済産業省の主導の下で開発が進められています。
経済産業省の開発ロードマップによると、平成28年度~30年度にかけて「中長期の海洋産出試験」を行い、平成30年代後半には「民間主導の商業化プロジェクトを開始」するとされています。
LNG(液化天然ガス)や原油価格の大幅な下落により、資源関連株は昨年から大幅な下落が続いています。また、それまで高騰が続いた輸入価格が下落しているため、現状では国産資源の商業化への期待は盛り上がっていません。
とはいえ、未来永劫にわたって供給過剰が続く保証はなく、いずれ供給不足となる可能性も否定できません。このため、資源開発は短期的な市況変動に惑わされることなく、中長期の観点から継続される可能性が高いと考えられます。
こうしたことを頭の片隅に入れて、MH関連銘柄を確認しておきましょう。漢字だけの企業名が並んでおり、見た目はちょっと“硬い”印象があります。しかし、“柔らかい”シャーベット状になったMHの開発には重要なポジションを占める企業ですから、今から注目しておきたいものです。
メタンハイドレート関連銘柄
それでは、具体的にメタンハイドレートの関連銘柄を見ていきましょう。
日本海洋掘削
日本海洋掘削(1606)は日本唯一の海洋掘削専門企業であり、世界の幅広い海域で石油・天然ガス開発のための掘削工事を行っています。海外でのMHボーリング調査の実績があり、国が実施する砂層型MHの中長期海洋産出試験等への参画を目指す新会社「日本メタンハイドレート調査株式会社」(以下、JMH)に資本参加しています。
石油資源開発
石油資源開発(1662)は日本海洋掘削の筆頭株主であり、原油やガス開発の専業企業です。2000年に国内で初めてMHを試験産出した実績を持ち、上記のJMHに資本参加しています。
三井海洋開発
三井海洋開発(6269)はFPSOと呼ばれる浮体式の原油生産貯蔵設備の設計・建造の大手です。現状では、MHの開発には直接は関わっていませんが、商用化した場合は、FPSOが活用されることになります。JMHに資本参加しています。
千代田化工建設
千代田化工建設(6366)は石油・ガスプラントの総合エンジニアリング会社で、2013年に買収した海底の原油や天然ガス探査の世界大手である英エクソダス社を活用することが期待できます。JMHに資本参加しています。
国際石油石油開発帝石
国際石油石油開発帝石(1605)は、石油・ガス開発生産の日本最大手です。2014年に石油資源開発、日本海洋掘削とともに、独立行政法人の石油天然ガス・金属鉱物資源機構が公募したMHの開発促進業務を受託した実績を持ち、JMHにも資本参加しています。
三井造船
三井造船(7003)は造船、重機大手で、MHの探査や採掘に活用が可能な水中ロボットを開発しています。また、2013年に愛知県の沖合で、世界で初めてMHからガス採取に成功した探査船「ちきゅう」の製造にも参加しています。
鉱研工業
鉱研工業(6297)はボーリングマシンおよび地下資源工事用掘削機械の大手であり、MHの開発が本格化した場合に恩恵を受けることが期待されます。
【2016年2月17日 投信1編集部】
■参考記事■
>>失敗しない投資信託の選び方:おさえるべき3つのNGと6つのポイント
LIMO編集部