新年度を迎えて約1ヶ月が経ち、昇給や生活環境の変化をきっかけに家計の収支を見直すには良いタイミング。毎月の貯蓄を考えるときに気になるのが「どれくらいを貯蓄や投資に回したらいいのだろう?」というバランスです。

ここでは、実際のデータをもとに手取り収入から貯蓄・投資に回す割合や、無理なく資産を増やすためのポイントを解説します。

1. 「思ったより多い?少ない?」年収別でみる《手取り収入》の貯蓄割合はどれくらい?

貯蓄や投資に取り組んでいても、「もっと貯蓄額を増やした方がいいのかな?」「今の取り組み方で合っているのか不安」と感じるものです。特に、現在のように物価高や円安が続いている環境だとなおさらでしょう。

まずは、J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」をもとに、2人以上世帯における貯蓄と金融資産への振り分け割合を紹介します。

1.1 貯蓄への振り分け割合

前述の調査によると、手取り収入から預貯金に振り分けた年収別の割合は次のとおりです。

  • 300万円未満:21%
  • 300〜500万円未満:16%
  • 500〜750万円未満:17%
  • 750〜1000万円未満:17%
  • 1000〜1200万円未満:17%
  • 1200万円以上:18%

手取り収入から預貯金への振り分け割合(年収別・平均)1/2

手取り収入から預貯金への振り分け割合(年収別・平均)

出所:J-FLEC「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)二人以上世帯」より筆者作成

手取り収入から預貯金に振り分けた割合は手取り収入300万円未満で21%、それ以外の層では16〜18%となっており、収入によって大きな差がないことが分かります。

手取り収入が400万円の場合は16%が平均値ですので、年間64万円を預貯金に充てる計算です。

1.2 投資への振り分け割合

投資(債券・投資信託・株式)への振り分け割合は、次のとおりです。

  • 300万円未満:12%
  • 300〜500万円未満:12%
  • 500〜750万円未満:13%
  • 750〜1000万円未満:15%
  • 1000〜1200万円未満:14%
  • 1200万円以上:18%

手取り収入から投資(債券・投資信託・株式)への振り分け割合(年収別・平均)2/2

手取り収入から投資(債券・投資信託・株式)への振り分け割合(年収別・平均)

出所:J-FLEC「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)二人以上世帯」より筆者作成

手取り収入1200万円以上の世帯は18%と突出しているものの、それ以外の層では12〜15%となっており、比較的横並びの状況です。

たとえば手取り収入450万円の場合は12%が平均値ですので、年間54万円を債券や株式、投資信託に充てている計算となります。

2. 450万円が《手取り収入》の場合、貯蓄・投資に回すお金「何パーセントが目安?」

先ほどの調査結果を踏まえると、預貯金と投資への振り分けは合計で手取り収入の約30%が目安といえそうです。

たとえば、手取り収入が450万円の場合は年間135万円を貯蓄・投資に回す計算となり、1ヶ月あたり約11万円を振り分けることとなります。

ただし、適切な貯蓄・投資割合は住宅ローンの有無や子どもの人数、老後までの年数など、各世帯の状況によって大きく異なります。「30%」はあくまでひとつの参考値として捉え、自分の家計に合った無理のない金額で継続するようにしましょう。

3. 【元銀行員が解説】無理なく資産を増やすための3つのポイント

無理なく貯蓄や投資を続けていくためには、心がけたい3つのポイントがあります。

3.1 (1)生活防衛資金を先に確保する

株式や債券、投資信託などの金融商品への投資を始める際は、必ず手元に「生活防衛資金」を確保しておくことが大切です。生活防衛資金とは、病気やケガなど予想しない支出が発生したときのための資金です。

生活防衛資金を確保せずに投資を始めてしまうと、収入が途絶えたり、急な出費が発生したりしたときに金融商品を解約せざるを得なくなります。

長期投資を継続するためにも、まずは生活費の3〜6ヶ月分を目安に生活防衛資金を確保しておきましょう。

3.2 (2)税制優遇を活用する

資産形成を後押しする税制優遇を活用することもおすすめです。

たとえばNISAでは上場株式や投資信託で得た利益が非課税になり、効率よく資産運用に取り組むことができます。金融機関によっては少額から利用できますので、まずは無理のない範囲で始めてみるとよいでしょう。

また、私的年金のひとつであるiDeCo(個人型確定拠出年金)では、将来の年金を準備しながら所得控除を受けられるメリットがあります。「公的年以外の収入源を作っておきたい」という場合や、「資産形成に取り組みながら税負担の軽減にも取り組みたい」という場合は、iDeCoの活用が向いているかもしれません。

3.3 (3)ライフステージに応じて貯蓄・投資割合を見直す

貯蓄や投資に回す割合は、ライフステージに応じて変化します。たとえば、子どもの教育費の負担が大きい時期や住宅ローンの返済が続く時期、定年退職を迎えて収入が減少する時期など、それぞれで家計の状況は大きく変わります。

1度決めた配分比率を固定し続けるのではなく、定期的に見直しを行い、「現在の家庭の状況に合っているか」ということを点検するようにしましょう。

4. 自分なりの配分比率を決めて、コツコツと資産形成を続けよう

手取り収入から貯蓄・投資へ回す割合は、約30%がひとつの目安とされています。しかし、適切な配分比率は各世帯の状況によって異なります。

大切なのは「必ず30%を貯蓄・投資に回す」ことではなく、「自分に合った配分比率を続けること」です。まずは、現在の家計の状況を振り返ってみて、毎月どれくらいを貯蓄や投資に回せるか考えてみましょう。

参考資料