子育て世帯と親世帯が近くに住むことで、育児や日常生活で支え合いやすくなる「三世代同居・近居」。

福岡市では2026年度から、こうした住み替えを後押しする「三世代同居・近居住替え支援事業」が始まりました。

住宅取得費や家賃、引っ越し費用などに対して助成を受けられる可能性があり、条件によっては最大125万円の支援が受けられます。

この記事では、制度の概要や主な対象要件、助成額の内訳を確認しながら、あわせて福岡県の年金受給水準にも目を向けていきます。

1. 福岡市で始まった「三世代同居・近居住替え支援事業」とは

令和8年度福岡市三世代同居・近居住替え支援事業1/4

出所:福岡市「三世代同居・近居住替え支援事業」

福岡市の「三世代同居・近居住替え支援事業」は、子育て世帯とその親世帯が、三世代で同居または近くに住むために転居した場合、住み替えにかかる費用の一部を助成する制度です。

福岡市は、2026年4月1日以降に福岡市内へ転居した子育て世帯や親世帯を対象に、住宅取得費、民間賃貸住宅の家賃、引越し費用などを支援するとしています。

三世代で近くに住むことができれば、子育て世帯にとっては親の手助けを受けやすくなり、親世帯にとっても子や孫とのつながりを保ちやすくなります。

今回の制度は、こうした家族の支え合いを住まいの面から後押しする仕組みといえるでしょう。

2. どんな世帯が対象?三世代同居・近居住替え支援事業の主な要件

福岡市の「三世代同居・近居住替え支援事業」は、子育て世帯と親世帯が三世代で同居または近くに住むために転居した場合に利用できる制度です。

助成を受けるためには、以下のような要件を満たす必要があります。

世帯の要件(共通)2/4

出所:福岡市「三世代同居・近居住替え支援事業」

2.1 【主な対象要件】

  • 2026年4月1日以降に転居していること
  • 「子育て世帯」またはその親・祖父母にあたる「親世帯」であること
  • 福岡市内で三世代同居または近居を始めること
  • 近居の場合は、子育て世帯と親世帯の住まいが直線距離1.2km以内であること

福岡市がいう「子育て世帯」とは、扶養する子どもがいる世帯、または転居日時点で母子手帳の交付を受けている妊娠中の方がいる世帯を指します。

親世帯は、その子育て世帯の親または祖父母です。

2.2 【あわせて確認したい条件】

  • 転居前の住宅で家賃滞納がないこと
  • 生活保護などを受給していないこと
  • 福岡市税や転居前住所地の市町村税に滞納がないこと
  • 同じ内容の他の補助金を受けていないこと
  • 過去にこの助成金などを受けていないこと など

また、子育て世帯と親世帯がともに福岡市外から転入する場合は対象外です。

原則として、申請者や同居者が所有する持ち家からの住み替えも対象外ですが、すでに処分済みの場合や、離婚・配偶者からの暴力などを理由とする転居では対象になることがあります。

さらに、転居後の住宅にも条件があります。

世帯人数に応じた専用面積を満たし、原則として1981年6月1日以降に建築された新耐震基準の住宅であることが求められます。

このように、助成を受けるための要件が細かく設定されているので、詳細はホームページで確認するか、窓口で問い合わせましょう。

3. 助成額はいくら?「最大125万円」の内訳を確認

三世代同居・近居住替え支援助成金の内訳3/4

出所:【概要版】令和8年度三世代同居・近居住替え支援助成金

福岡市の「三世代同居・近居住替え支援事業」は、最大125万円の支援を受けられる仕組みです。

福岡市の公式案内では、住宅取得費助成、民間賃貸住宅家賃負担軽減助成、引越し費用等助成の3種類が示されており、一定の要件を満たせば一部は併用できます。

助成の内訳は次のとおりです。

  • 住宅取得費助成:基本額20万円/年 × 最長5年間
    → 最大100万円
  • 民間賃貸住宅家賃負担軽減助成:基本額10万円/年 × 最長5年間
    → 最大50万円
  • 引越し費用等助成:基本上限額20万円
    → 多子世帯は上限25万円

このうち、住宅取得費助成と引越し費用等助成、または民間賃貸住宅家賃負担軽減助成と引越し費用等助成は、要件を満たせば併用可能です。

たとえば、住宅を取得した世帯が引越し費用等助成も受ける場合は、最大100万円+25万円で125万円となります。

一方で、賃貸住宅へ住み替える場合は、家賃負担軽減助成が最大50万円、これに引越し費用等助成の最大25万円を合わせて、最大75万円となります。

どの助成を受けられるかは、転居後の住宅の種類や契約内容によって異なるため、申請前に自分のケースがどれに当てはまるのかを確認しておきたいところです。

4. 【厚生年金・国民年金】福岡県の老後事情「平均年金月額」はいくら?

老後の暮らしを考えるうえで、気になるのが「実際に年金をいくら受け取っている人が多いのか」という点です。

厚生労働省が公表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、全国ベースの平均年金月額は、厚生年金が15万1142円、国民年金が5万9431円となっています。

福岡県の状況を見ると、基礎年金を含む厚生年金の平均年金月額は14万5822円となっており、全国平均を下回っています。

厚生年金受給額ランキング4/4

出所:厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

4.1 【厚生年金保険(第1号)】平均年金月額ランキング

  • 1位:神奈川県(17万457円)
  • 2位:千葉県(16万5103円)
  • 3位:東京都(16万3892円)
  • 4位:奈良県(16万2292円)
  • 5位:埼玉県(16万1752円)
  • 6位:愛知県(16万766円)
  • 7位:兵庫県(15万9086円)
  • 8位:大阪府(15万6272円)
  • 9位:滋賀県(15万4456円)
  • 10位:茨城県(15万2963円)
  • 11位:静岡県(15万1960円)
  • 12位:三重県(15万1949円)
  • 13位:京都府(15万1483円)
  • 14位:広島県(15万745円)
  • 15位:岐阜県(14万9910円)
  • 16位:栃木県(14万9631円)
  • 17位:群馬県(14万8666円)
  • 18位:山口県(14万8166円)
  • 19位:岡山県(14万6429円)
  • 20位:和歌山県(14万5933円)
  • 21位:福岡県(14万5822円)
  • 22位:宮城県(14万4920円)
  • 23位:長野県(14万4668円)
  • 24位:山梨県(14万4665円)
  • 25位:富山県(14万4644円)
  • 26位:香川県(14万4026円)
  • 27位:石川県(14万1792円)
  • 28位:北海道(14万1069円)
  • 29位:福井県(14万787円)
  • 30位:愛媛県(14万301円)
  • 31位:新潟県(13万8683円)
  • 32位:福島県(13万6880円)
  • 33位:長崎県(13万6825円)
  • 34位:大分県(13万6507円)
  • 35位:佐賀県(13万4191円)
  • 36位:徳島県(13万4131円)
  • 37位:島根県(13万3918円)
  • 38位:鳥取県(13万3459円)
  • 39位:鹿児島県(13万3343円)
  • 40位:岩手県(13万2943円)
  • 41位:熊本県(13万2740円)
  • 42位:高知県(13万2202円)
  • 43位:山形県(13万1169円)
  • 44位:秋田県(12万9503円)
  • 45位:宮崎県(12万9224円)
  • 46位:沖縄県(12万8819円)
  • 47位:青森県(12万8129円)

なお、厚生年金は会社員や公務員などが対象で、平均額には老齢基礎年金分も含まれます。

自営業やフリーランスなど、主に国民年金のみで老後を支える人にとっては、年金だけで生活費のすべてをまかなうのは簡単ではないでしょう。

こうした受給水準を踏まえると、福岡市が進める三世代同居・近居の支援制度は、子育て世帯だけでなく、親世帯の住まいや暮らしを考えるうえでも注目したい制度といえそうです。

5. まとめ

福岡市の「三世代同居・近居住替え支援事業」は、子育て世帯と親世帯が支え合いながら暮らしやすい住環境を整えるための制度です。

子育てのしやすさだけでなく、親世帯の見守りや助け合いにつながる点も、この制度の大きな特徴です。

一方で、税の滞納の有無や過去の助成利用歴、住み替え前後の住宅条件など確認すべき点は多いため、申請前に公式案内をよく確認しておく必要があります。

また、老後の暮らしを考えるうえでは、公的年金の受給水準も無視できません。

厚生労働省の統計では、全国ベースでも公的年金だけで十分な余裕を持つのが簡単ではない実態がうかがえます。

だからこそ、住まいに関する支援制度を上手に活用し、家族で支え合える環境を整えることは、子育て世帯にも親世帯にも意味のある選択肢といえるでしょう。

参考資料