6. プロの「お財布」はすでに満杯。次なるターゲットとは?

しかし、市場が2008年から約5.7倍に急拡大したことで、新たな問題が浮上しています。それは、機関投資家たちが設定していた「高リスク資産の枠」が限界に達しつつあるということです。

泉田氏は現在の状況を次のように分析します。

「投資のプロ、機関投資家のポートフォリオ、お財布はもうすでに、内部規制、内部規定の基準に対してはもう満杯になっている」

機関投資家からの新たな資金流入が期待できなくなった今、プライベートクレジット市場は次なる資金の出し手を求めています。

それが、一般の個人投資家や、彼らの退職金口座(アメリカの401kなど)です。金融業界はこれを「投資の民主化」という言葉でパッケージングし、本来はプロ向けだった高リスク商品を一般に販売しようとしています。

7. まとめ

今回の動画では、リーマンショック後の銀行規制を背景に急成長したプライベートクレジット市場の仕組みについて、泉田氏の解説を紹介しました。

クローズドエンド型という堅牢な仕組みによって守られ、機関投資家の超長期運用のニーズと合致して250兆円規模にまで膨れ上がったこの市場。しかし、プロの投資枠が満杯になったことで、そのリスクは徐々に一般の個人投資家へと向かいつつあります。

次回の記事では、このプライベートクレジット市場に潜む3つの構造的リスク — 「マーク・トゥ・モデル」という自己評価の罠、ファンドを延命させる「NAVローン」、そして個人を巻き込む「投資の民主化」の危うさ — について、泉田氏のさらなる深掘り解説をお届けします。

参考資料