前述の回答を、「2人とも退職済み」「自身のみ退職済み」「相手のみ退職済み」「どちらも就業中」で分けると、夫婦仲が「やや悪い」「とても悪い」ともっとも多く回答したのは「自身のみ退職済み」の女性(15.9%)となりました。

ワースト2位は「どちらも就業中」の女性(9.9%)となっており、男性のワースト1位も「どちらも就業中」(7.9%)となっています。

こちらは意外な結果となりました。

どちらも就業中は、お互いが忙しいので家事・育児の分担などで関係が悪くなることも想像できます。もっとも多い「妻が先に退職した」夫婦については、妻が1人の時間をうまく過ごせていない可能性が考えられます。

今まで家事や育児、そして仕事にと忙しくしていた女性が、突然時間に余裕ができたら困ってしまうのかもしれません。しかし夫にはまだ仕事があるため、夫婦でどこかへ行くことも限られます。そのため、夫への不満がたまってしまうのかもしれません。

「2人とも退職済み」の夫婦関係にも男女差が

夫婦いずれか、あるいは両方が退職している人に対して「働いていた時と比べて夫婦仲はどうですか?」との質問もしています。

ここでも、「働いていた時の方が仲良し」の回答がもっとも多かったのは、「相手のみ退職済み」の女性(20.7%)となっています。

しかし「2人とも退職済み」の女性においても、「働いていた時の方が仲良し」(12%)の方が多くなっています。「2人とも退職済み」の男性においては、「退職後の方が仲良し」の方が多く15.8%となっています。

「働いていた時の方が仲良し」と回答した人の理由に、
・「終日、顔を突き合わせているのが苦痛になる。お互いに遠慮が無くなり、言いたいことなど遠慮なく言いあう。相手を重んじることが少なくなる」(70代男性、2人とも退職済み)
という意見があり、男女ともに夫婦の時間が長すぎるのも考えものなのかもしれません。

再雇用も「卒婚」も1つの選択

老後2000万円問題もあり、老後資金に不安を覚えている方もいるでしょう。

厚生労働省が2018年に公開した『平成29年簡易生命表』によると、日本人の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.26歳で、過去最高を記録しています。

長い老後生活、夫婦だけで過ごすのではなく、「再雇用」も1つの選択肢となっています。

また、「卒婚」をする夫婦も増加傾向にあるようです。「卒婚」とは、「離婚しないが、配偶者に必要以上に干渉しない。自分のライフスタイルを楽しむ夫婦関係」のことを言います。

明治安田生活福祉研究所が1万2000人の男女に対して行なった『2018年人生100年時代の結婚に関する意識と実態』によると、卒婚を良いと思う割合(「良い」と「どちらかと言えば良い」)は、60代前半の男性は61.4%、女性は78.7%と6割以上の人が肯定的という結果になっています。

再雇用も「卒婚」も、夫婦の1つの選択です。老後資金だけではなく、「どのように老後を過ごすか」考え話し合ってみる必要がありそうです。

【参考】
『夫婦関係の山場は結婚「15~35年」と「50年後」!?「退職後の方が仲良し」と回答する男性が多かった一方で、女性は「退職前の方が仲良し」が多数派に。~エアトリが「夫婦関係」に関するアンケートを実施~』旅行サイト「エアトリ」調べ
『平成29年簡易生命表』厚生労働省
『2018年人生100年時代の結婚に関する意識と実態』明治安田生活福祉研究所

LIMO編集部