新年度が始まり、桜の便りが聞かれる2026年4月、新しい生活をスタートされた方も多いのではないでしょうか。

気候が暖かくなる一方で、物価の上昇は続いており、将来のお金、特に老後の生活を支える年金について、改めて関心が高まっているかもしれません。

「周りの同世代は、一体いくらくらい年金をもらっているのだろう」「年金だけで生活していくのは現実的に可能なのか」といった疑問や不安を感じることもあるでしょう。

この記事では、公的年金の基本的な仕組みから、60歳代から90歳以上までの年齢別に見た厚生年金と国民年金の平均受給額を詳しく解説します。

さらに、年金生活者のリアルな家計収支や、国民年金を少しでも増やすための方法についてもご紹介しますので、ご自身の状況と照らし合わせながら、今後のライフプランを考える一助としてお役立てください。

1. 日本の公的年金、その基本的な仕組みとは?

公的年金は、基礎部分となる「国民年金」と上乗せ部分にあたる「厚生年金」から成り立つ、いわゆる2階建て構造です。下の図をイメージするとわかりやすいでしょう。

厚生年金と国民年金の仕組み1/14

厚生年金と国民年金の仕組み

出典:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」

下にある国民年金には、原則として「国内在住の20歳以上60歳未満の全ての人」が加入します。ちなみに、国民年金保険料(※1)は全員一律です。

上乗せとなる厚生年金には、企業や官公庁などで働く人たちが加入しますす。毎月の給与や賞与に応じた年金保険料(※2)を納めるため、個人差があるのが特徴です。

では、将来もらえる「年金額」はどのように決まるのでしょうか。

まず国民年金の場合、国民年金保険料を全期間(480月)納めれば、65歳以降で満額(※3)の老齢基礎年金を受け取ることができます。逆に未納期間等があった場合は、その月数に応じて満額から差し引かれるしくみです。

厚生年金の場合、「年金加入月数」と「納めた保険料」に応じた老齢厚生年金額が決まります。一般的には長く働いた人、たくさん稼いだ人が多くの年金をもらえることになります。

※1 国民年金保険料:2026年度は月額1万7920円
※2 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
※3 国民年金の満額:2026年度は月額7万608円

2. 【年齢別】厚生年金の平均受給月額一覧(60歳~90歳以上)

厚生労働省年金局が発表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」のデータをもとに、年齢1歳刻みにおける「平均年金月額」を一覧表でご紹介します。

まずは厚生年金(国民年金部分を含む)の平均年金月額を見ていきましょう。年齢による違いはあるのでしょうか。

2.1 60歳代(60~69歳)の厚生年金平均月額

  • 60歳:9万9664円
  • 61歳:10万4455円
  • 62歳:10万9323円
  • 63歳:6万8758円
  • 64歳:8万3901円
  • 65歳:14万9862円
  • 66歳:15万2378円
  • 67歳:15万2356円
  • 68歳:15万2709円
  • 69歳:15万1284円

※65歳未満の厚生年金受給者は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢が引き上げられたため、報酬比例部分のみ受給している方も含みます

2.2 70歳代(70~79歳)の厚生年金平均月額

  • 70歳:15万455円
  • 71歳:14万8371円
  • 72歳:14万6858円
  • 73歳:14万5583円
  • 74歳:14万7774円
  • 75歳:15万1410円
  • 76歳:15万1241円
  • 77歳:15万962円
  • 78歳:15万862円
  • 79歳:15万3115円

2.3 80歳代(80~89歳)の厚生年金平均月額

  • 80歳:15万3729円
  • 81歳:15万5460円
  • 82歳:15万7744円
  • 83歳:15万9994円
  • 84歳:16万2555円
  • 85歳:16万3947円
  • 86歳:16万5577円
  • 87歳:16万5557円
  • 88歳:16万6200円
  • 89歳:16万6767円

2.4 90歳以上の厚生年金平均月額

  • 90歳以上:16万4027円

標準的な年金受給開始年齢は65歳となっていますが、65歳以降の各年齢で受け取れる厚生年金の平均年金月額を見ると、14万円~16万円台であることがわかりました。

年齢があがるほどに、ゆるやかに平均額が上昇する傾向があります。

3. 【年齢別】国民年金の平均受給月額一覧(60歳~90歳以上)

本章では国民年金(老齢基礎年金)について、各年齢で受給できる平均年金月額を見ていきます。年齢による違いはあるのでしょうか。

3.1 60歳代(60~69歳)の国民年金平均月額

  • 60歳:4万5186円
  • 61歳:4万6371円
  • 62歳:4万7784円
  • 63歳:4万7258円
  • 64歳:4万7896円
  • 65歳:6万1240円
  • 66歳:6万1369円
  • 67歳:6万1345円
  • 68歳:6万1293円
  • 69歳:6万978円

※65歳未満の国民年金(老齢基礎年金)受給者は繰上げ受給を選択した方。

3.2 70歳代(70~79歳)の国民年金平均月額

  • 70歳:6万1011円
  • 71歳:6万770円
  • 72歳:6万234円
  • 73歳:6万32円
  • 74歳:5万9813円
  • 75歳:5万9659円
  • 76歳:5万9555円
  • 77歳:5万9349円
  • 78歳:5万9124円
  • 79歳:5万8676円 

3.3 80歳代(80~89歳)の国民年金平均月額

  • 80歳:5万8623円
  • 81歳:5万8269円
  • 82歳:5万8003円
  • 83歳:5万7857円
  • 84歳:5万9675円
  • 85歳:5万9425円
  • 86歳:5万9228円
  • 87歳:5万9204円
  • 88歳:5万8756円
  • 89歳:5万8572円

3.4 90歳以上の国民年金平均月額

  • 90歳以上:5万5633円

一般的に年金受給開始となる65歳以降の場合、国民年金(老齢基礎年金)の平均年金月額は5万円~6万円台となりました。

4. 厚生年金と国民年金における受給額の個人差について

老後の生活を支える大切な収入源である、公的年金。できればたくさんもらいたいと思うものです。どれほど支給されるのか気になる方も多いでしょう。

年金受給額は年金加入状況により決まるため、個人差が大きい点に注意が必要です。

これを踏まえた上で、どれくらいの個人差があるのかを見てみましょう。

4.1 厚生年金の男女別平均月額と受給額分布

  • 〈全体〉平均年金月額:15万289円
  • 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
  • 〈女性〉平均年金月額:11万1413円

※国民年金の金額を含む

4.2 厚生年金の受給額分布(1万円ごと)

  • ~1万円:4万3399人
  • 1万円以上~2万円未満:1万4137人
  • 2万円以上~3万円未満:3万5397人
  • 3万円以上~4万円未満:6万8210人
  • 4万円以上~5万円未満:7万6692人
  • 5万円以上~6万円未満:10万8447人
  • 6万円以上~7万円未満:31万5106人
  • 7万円以上~8万円未満:57万8950人
  • 8万円以上~9万円未満:80万2179人
  • 9万円以上~10万円未満:101万1457人
  • 10万円以上~11万円未満:111万2828人
  • 11万円以上~12万円未満:107万1485人
  • 12万円以上~13万円未満:97万9155人
  • 13万円以上~14万円未満:92万3506人
  • 14万円以上~15万円未満:92万9264人
  • 15万円以上~16万円未満:96万5035人
  • 16万円以上~17万円未満:100万1322人
  • 17万円以上~18万円未満:103万1951人
  • 18万円以上~19万円未満:102万6888人
  • 19万円以上~20万円未満:96万2615人
  • 20万円以上~21万円未満:85万3591人
  • 21万円以上~22万円未満:70万4633人
  • 22万円以上~23万円未満:52万3958人
  • 23万円以上~24万円未満:35万4人
  • 24万円以上~25万円未満:23万211人
  • 25万円以上~26万円未満:15万796人
  • 26万円以上~27万円未満:9万4667人
  • 27万円以上~28万円未満:5万5083人
  • 28万円以上~29万円未満:3万289人
  • 29万円以上~30万円未満:1万5158人
  • 30万円以上~:1万9283人

男女別では、男性16万9967円、女性11万1413円と、6万円ほどの差があります。

上のグラフの受給額分布が示すとおり、「月額1万円未満から30万円以上」と幅広く分布していることから、個別での確認が重要であるといえます。

4.3 国民年金の男女別平均月額と受給額分布

  • 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
  • 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万7582円

4.4 国民年金の受給額分布(1万円ごと)

  • 1万円未満:5万1828人
  • 1万円以上~2万円未満:21万3583人
  • 2万円以上~3万円未満:68万4559人
  • 3万円以上~4万円未満:206万1539人
  • 4万円以上~5万円未満:388万83人
  • 5万円以上~6万円未満:641万228人
  • 6万円以上~7万円未満:1715万5059人
  • 7万円以上~:299万7738人

国民年金の平均年金月額は男女全体、男性・女性ともに5万円台です。上のグラフが示すとおり、「月額1万円未満~7万円以上」と分布していることがわかります。

国民年金では満額が固定されていることから、厚生年金ほどばらけることはありません。

ボリュームゾーンは「6万円以上~7万円未満」となっており、多くの人が満額を受け取れていることも読み取れます。

5. モデルケースで見る「65歳以上・無職夫婦世帯」の家計収支

この章では、65歳以上無職の夫婦世帯と単身世帯のひと月の家計収支を見ていきます。

総務省が公表する「家計調査報告〔家計収支編〕2025年(令和7年)平均結果の概要」を参考にしましょう。

5.1 65歳以上・無職夫婦世帯の収入内訳

  • 実収入:25万4395円
  • うち社会保障給付:22万8614円 ※主に年金

5.2 65歳以上・無職夫婦世帯の支出内訳

  • 実支出:29万6829円
  • うち消費支出:26万3979円

消費支出とは、いわゆる生活費のことです。内訳は以下のとおりです。

  • 食料:7万8964円
  • 住居:1万7739円
  • 光熱・水道:2万3540円
  • 家具・家事用品:1万1237円
  • 被服及び履物:5354円
  • 保健医療:1万7941円
  • 交通・通信:3万1325円
  • 教育:0円
  • 教養娯楽:2万6538円
  • その他の消費支出:5万1341円
    • うち諸雑費:2万2047円
    • うち交際費:2万3257円
    • うち仕送り金:1135円

なお、非消費支出は3万2850円となっており、内訳は次のとおりです。

  • 直接税:1万2547円
  • 社会保険料:2万296円

この夫婦世帯の場合、ひと月の実収入25万4395円に対し、支出は合計29万6829円で、月の家計収支は4万2434円の赤字となっています。

6. モデルケースで見る「65歳以上・無職単身世帯」の家計収支

続いて、単身世帯の家計収支も同様に見ていきましょう。

6.1 65歳以上・無職単身世帯の収入内訳

  • 実収入:13万1456円
  • うち社会保障給付:12万212円 ※主に年金

6.2 65歳以上・無職単身世帯の支出内訳

  • 支出:16万1435円
  • うち消費支出:14万8445円

消費支出の内訳は次のとおりです。

  • 食料:4万2545円
  • 住居:1万1416円
  • 光熱・水道:1万5565円
  • 家具・家事用品:6069円
  • 被服及び履物:3049円
  • 保健医療:8388円
  • 交通・通信:1万3601円
  • 教育:0円
  • 教養娯楽:1万6132円
  • その他の消費支出:3万1681円
    • うち諸雑費:1万4052円
    • うち交際費:1万6956円
    • うち仕送り金:591円

非消費支出の平均は1万2990円でした。

  • 直接税:7072円
  • 社会保険料:5912円

単身世帯の場合は、ひと月の実収入13万1456円に対し、支出は合計16万1435円で、月の家計収支は毎月2万9980円の赤字となっています。

7. 国民年金の受給額を増やす「付加年金」という選択肢

働き方の多様化する中で、厚生年金に加入しないフリーランスや自営業の方なども増えています。

一方で、国民年金しか受け取れないとなると、老後の年金が少なくなる傾向にあります。

国民年金の受給額を増やす方法のうち、今回は「付加保険料の納付」について解説します。

国民年金付加年金制度14/14

国民年金付加年金制度

出典:日本年金機構「国民年金付加年金制度のお知らせ」

付加年金とは、「付加保険料(月額400円)」を定額の国民年金保険料(2026年度は1万7920円)に上乗せで支払うことで、将来の年金額を増やすことができるしくみです。

7.1 付加保険料を納付できる対象者

  • 国民年金第1号被保険者
  • 65歳未満の任意加入被保険者

7.2 付加保険料を納付できない対象者

  • 国民年金保険料の納付を免除されている人(法定免除、全額免除、一部免除、納付猶予、または学生納付特例)
  • 国民年金基金の加入員である人

個人型確定拠出年金(iDeCo)と付加年金には、同時に加入することができます。ただし、個人型確定拠出年金の納付額によっては併用ができない場合もあるので注意が必要です。

7.3 40年間、付加保険料を納付した場合のシミュレーション

20歳から60歳の40年間、付加保険料を納付したとしましょう。

65歳以降に受け取れる「付加年金額」は「200円×付加保険料納付月数」で試算できます。

  • 40年間に納付した付加保険料の総額:19万2000円(400円×480カ月)
  • 65歳以降に受け取れる付加年金額(年間):9万6000円(200円×480カ月)

40年間に納付した付加保険料は19万2000円。毎年の年金受給額に9万6000円が上乗せされることから、2年で元が取れる計算です。

8. まとめ

今回は、公的年金の仕組みから年齢別の平均受給額、そして年金生活者の家計の実態まで、具体的なデータをもとに詳しく見てきました。

ご自身の状況や将来の生活設計と照らし合わせて、新たな発見や気づきがあったのではないでしょうか。

厚生年金は現役時代の働き方によって受給額が大きく変わる一方、国民年金は比較的差がつきにくい構造であることがわかります。

また、平均的な家計収支では、年金収入だけでは赤字になるケースも示されており、老後資金の準備の重要性を改めて感じさせられます。

将来の年金額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認できますので、まずはご自身の受給見込額を把握することから始めてみてはいかがでしょうか。

その上で、付加年金やiDeCo、新NISAといった制度の活用も視野に入れ、ご自身に合った方法で、ゆとりあるセカンドライフに向けた準備を進めていくことが大切です。

参考資料

中本 智恵