近年の物価高を受けて、「今の貯蓄額で老後資金は足りているのか」「自分は将来いくら年金を受け取れるのか」と不安に思う人も多いでしょう。
年金額は毎年物価の変動を受けて見直されており、2026年は前年度に引き続き増額改定となっています。
今回は2026年度の最新の年金額のほか、年金の平均月額や手取り額の仕組みについて詳しく解説します。
1. 日本の公的年金制度は「2階建て構造」が基本
まずは公的年金制度についておさらいしましょう。
日本の公的年金制度は、国民年金と厚生年金の2階建て構造です。
〈1階部分〉国民年金(基礎年金)
- 20歳以上60歳未満のすべての人が加入する
- 納付した期間に応じて年金支給額が決められる
〈2階部分〉厚生年金
- 会社員や公務員として働いている人が加入する
- 現役時代の給料や加入期間に応じて年金支給額が決められる
自営業者や専業主婦は国民年金のみを、会社員や公務員は国民年金と厚生年金を受け取ることになります。
2. 【2026年度の最新年金額】最大「+2.0%」の増額改定!
厚生労働省によると、2026年度の年金額は、国民年金で「+1.9%」、厚生年金で「+2.0%」の増額改定となりました。
- 国民年金(満額1人分):月額7万608円(前年度比+1300円)※昭和31年4月1日以前に生まれた人は満額で月額7万408円
- 厚生年金(標準的な夫婦2人分):月額23万7279円(前年度比+4495円)
国民年金の月額は、保険料未納期間などがある場合は減額となります。
また、年金は偶数月に2ヶ月分がまとめて振り込まれます。
2026年4月・5月分が振り込まれるのは6月の支給日であるため、4月15日に支給される年金は改定前の金額であることに注意しましょう。
2.1 「標準的な夫婦世帯」とは?
厚生労働省が示す厚生年金の月額「23万7279円」は、以下のようなモデル夫婦世帯が前提です。
- 夫:男性の平均的な収入(賞与含む月額換算45.5万円)で会社員として40年間就業
- 妻:専業主婦やパートなどで厚生年金の加入歴なし
つまり、夫の厚生年金と、夫婦それぞれの国民年金(満額)を合わせた年金月額が「23万7279円」となります。
実際の年金は2ヶ月分まとめての支給であるため、上記のモデル夫婦世帯では一度の支給日に「47万4558円」が振り込まれます。
3. みんなはいくらもらってる?令和シニアの年金「平均月額」を紹介
ここからは、厚生労働省年金局の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、シニアが受給している年金の平均月額を確認しましょう。
3.1 「厚生年金」の平均年金月額
厚生年金の平均年金月額
- 全体:15万289円
- 男性:16万9967円
- 女性:11万1413円
※国民年金部分を含む
3.2 「国民年金」の平均年金月額
国民年金の平均年金月額
- 全体:5万9310円
- 男性:6万1595円
- 女性:5万7582円
厚生年金の平均年金月額は、男性約17万円、女性約11万円という結果でした。
一方、国民年金の平均年金月額は、男女ともに約6万円です。
現役時代の収入や加入期間によって年金額が異なる厚生年金は特に個人差が開きやすく、平均年金月額は男女で約6万円の差があることがわかります。
4. 年金からも税金が引かれる!手元に残る金額はいくら?
ここまで2026年度の年金額や平均年金月額について解説しましたが、実際には額面通りの金額が振り込まれるわけではありません。
年金からは、以下の税金・社会保険料が天引きされます。
- 介護保険料
- 国民健康保険料(税)
- 後期高齢者医療保険料
- 住民税および森林環境税
- 所得税および復興特別所得税(※復興特別所得税は2013年1月1日から2037年12月31日までの間に生ずる所得についてのみ徴収)
ただし、天引きされる税金・社会保険料の種類や金額は、年金受給者の収入や年齢、住んでいる地域によっても異なります。
ご自身の正確な手取り額は、毎年6月に送付される「年金振込通知書」で確認しましょう。
年金の支給総額(額面)は「年金支払額」欄で、実際の手取り額は「控除後振込額」欄でチェックできます。
5. おわりに
年金受給額は現役時代の働き方や加入期間によって大きく異なり、特に厚生年金の支給額は個人差が開きやすいことがわかりました。
また、年金からも税金・社会保険料が天引きされるため、額面通りの金額をそのまま受け取れるわけではありません。
老後資金に備えるためには、年金平均月額からシニアの実態を知ることはもちろん、ご自身の年金見込額を知ることも重要です。
まずは「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で将来の年金見込額を確認し、老後の資金計画に取り組んでみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省「いっしょに検証!公的年金」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税および森林環境税を特別徴収されるのはどのような人ですか。」
- 国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」
- 日本年金機構「年金振込通知書」
池田 夕華