春を迎え、新年度が始まる4月は、家計の見直しを考える良い機会です。

年金で生活している方のなかには、「公的年金以外にもらえるお金はあるのだろうか」と疑問に思っている方もいるかもしれません。

所得が一定基準以下の年金受給者を支える制度として「年金生活者支援給付金」があります。この制度は、対象者の年金に上乗せする形で給付金が支給されるものです。

年金は原則として偶数月に支給されるため、条件を満たしていれば、4月15日といった年金支給日に給付金も一緒に支給されます。

ただし、この給付金はすべての年金受給者が受け取れるわけではありません。所得や世帯の状況など、定められた条件を満たす必要があります。また、状況によっては申請手続きが求められることもあります。

本記事では、年金生活者支援給付金の対象となる条件や2026年度の給付額、申請手続きの流れをわかりやすく解説します。日本年金機構から届く通知書の確認方法もあわせて紹介します。

1. 年金生活者支援給付金とは?低所得の年金受給者を支える制度を解説

年金生活者支援給付金制度について1/10

年金生活者支援給付金制度について

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」

年金生活者支援給付金とは、公的年金に加えて支給される給付金のことで、次の3つの種類に分けられます。

  • 老齢年金生活者支援給付金
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

この制度は、老齢・障害・遺族の各基礎年金を受け取っている方で、公的年金などを含めた所得が一定の基準を下回る場合に、2カ月に1回支給されるものです。

2. 【種類別】年金生活者支援給付金の対象者となる支給要件

3種類ある年金生活者支援給付金には、それぞれ異なる支給要件が定められています。すべての給付金に共通する基準として、受給者本人の「前年の所得」が挙げられます。

特に老齢年金生活者支援給付金については、所得以外にもいくつかの要件が設けられています。

2.1 「老齢年金生活者支援給付金」支給要件

  • 65歳以上で老齢基礎年金を受給していること
  • 同じ世帯に住む全員の市町村民税が非課税であること
  • 前年の公的年金などの収入金額(※1)と、それ以外の所得の合計額が、昭和31年4月2日以降に生まれた方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれた方は80万6700円以下であること(※2)。

※1 障害年金や遺族年金といった非課税収入は、この計算には含まれません。
※2 昭和31年4月2日以降生まれの方で合計額が80万9000円を超え90万9000円以下の場合、また昭和31年4月1日以前生まれの方で80万6700円を超え90万6700円以下の場合は、「補足的老齢年金生活者支援給付金」の支給対象となります。

2.2 「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」の対象者

  • 障害基礎年金または遺族基礎年金のいずれかを受給していること
  • 前年の所得額(※)が479万4000円以下であること(扶養親族の人数などに応じて上限額は上がります)

※ 所得の計算には、障害年金や遺族年金などの非課税収入は含みません。

それぞれの給付金について、ここに挙げた要件をすべて満たしている場合に、年金生活者支援給付金を受け取ることが可能です。

3. 【2026年度】年金生活者支援給付金の支給額はいくら?

2026年度における年金生活者支援給付金の額は、前年の物価変動を反映し、3.2%の引き上げが決定しました。

3.1 【2026年度】年金生活者支援給付金の給付額

年金生活者支援給付金の給付額3/10

年金生活者支援給付金の給付額

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成

  • 老齢年金生活者支援給付金(基準額):月額5620円
  • 障害年金生活者支援給付金:障害等級1級は月額7025円、2級は月額5620円
  • 遺族年金生活者支援給付金:月額5620円

このうち老齢年金生活者支援給付金については、上記の基準額をベースに、保険料を納付した期間や免除された期間に応じて、実際に支給される金額が算出されます。

4. 年金生活者支援給付金の申請方法は?手続きの流れを3つのケース別に解説

年金生活者支援給付金の支給対象となる可能性がある方には、日本年金機構から請求手続きに関する書類が送られてきます。

書類の形式や送付される時期は、年金の受給状況によって変わります。ここでは3つのパターンに分けて、封筒の種類や手続きの方法を解説します。

4.1 【ケース1】これから老齢年金を受け取り始める人(緑の封筒)

今後、老齢年金の受給を開始する方には、65歳に到達する3カ月前に、年金を受け取るために必要な「年金請求書(事前送付用)」と一緒に「年金生活者支援給付金請求書」が郵送されます。

請求書に必要事項を記入したら、受給を開始する年齢の誕生日前日以降に、年金の請求書とあわせて年金事務所へ提出してください。

4.2 【ケース2】すでに年金を受給している人の場合(うす緑の封筒)

現在すでに基礎年金を受け取っており、新たに給付金の対象となる方へは、2025年9月1日から順次「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が送付されます。

はがきに必要事項を記入し、付属の目隠しシールを貼付します。差出人欄にご自身の住所と氏名を書き、切手を貼ってから郵便ポストへ投函します。

※支給要件に当てはまるかどうかの確認が取れない方には、A4サイズの年金生活者支援給付金請求書と、所得情報を確認するための所得状況届が送付される場合があります。

4.3 【ケース3】老齢基礎年金を繰上げ受給中の場合(うすだいだい色の封筒)

老齢基礎年金を繰上げ受給している方で、給付金の受給資格が生じると考えられる場合、65歳になる誕生月の初め頃(1日生まれの方はその前月の初め頃)に「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が届きます。

はがきに必要事項を記入後、同封されている目隠しシールを貼り付け、差出人欄に住所・氏名を明記の上、切手を貼って投函してください。

※支給要件を満たすか確認できない方には、A4サイズの請求書と所得状況届が送付されることがあります。

一度申請を済ませれば、支給要件を満たし続ける限り、翌年度以降の申請手続きは原則として必要ありません。もし所得の増加などで要件から外れた場合は、「年金生活者支援給付金不該当通知書」が送付され、給付金の支給は止まります。

ちなみに、2025年1月以降に65歳になり、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき)」が送られてきた方は、電子申請での提出も可能になりました。

電子申請を利用した場合は、請求書を郵送する必要はありません。

5. 支給見込額はいくら?年金生活者支援給付金の通知書で確認しよう

ご自身が年金生活者支援給付金をいくら受け取れるのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。

日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書の見込額(月額)の記載箇所」9/10

日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書の見込額(月額)の記載箇所」

出所:日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書の見込額(月額)の記載箇所」

まず、送られてくる「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」には、「支給される見込額(月額)」※が記載されていますので、こちらで確認できます。

※この見込額は、毎年8月時点での年金受給額を基に計算されたものです。

日本年金機構「「年金生活者支援給付金請求書」の提出をお願いします!(令和7年度版)」10/10

日本年金機構「「年金生活者支援給付金請求書」の提出をお願いします!(令和7年度版)」

出所:日本年金機構「「年金生活者支援給付金請求書」の提出をお願いします!(令和7年度版)」

「年金生活者支援給付金請求書」を提出し、支給が決定した方には、後日、以下の通知書が届きます。

5.1 年金生活者支援給付金に関する通知書

  • 「年金生活者支援給付金 支給決定通知書」
  • 「年金生活者支援給付金 振込通知書」

このうち「振込通知書」は、支給月の初め頃に送付されます。実際に支給される金額はこちらで確認してください。

6. まとめ:年金生活者支援給付金は対象条件の確認と申請が大切

年金生活者支援給付金は、所得が低い方の生活を支えるため、年金に上乗せして支給される大切な制度です。老齢基礎年金だけでなく、障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取っている方も対象になる場合があります。

この給付金は、年金と同じく原則として偶数月に支給され、例えば4月15日などの年金支給日にあわせて支給されます。

ただし、受給するには所得や世帯の状況といった条件をクリアする必要があり、ご自身での申請手続きが求められるケースもあります。

日本年金機構から送付される通知書には、支給見込額などの重要な情報が記載されていることがあります。制度を適切に活用するためにも、案内をよく読み、必要な手続きを進めることが重要です。

利用可能な公的制度について理解を深め、ご自身が対象になるか早めに確認しておくことで、より安心して年金生活を送ることにつながるでしょう。

※当記事は再編集記事です。

参考資料