4. 投資を検討する際の3つの注意点
高い利回りは大変魅力的ですが、投資を検討する際は、以下の3つの「劣後債特有のリスク」を必ず理解しておきましょう。
4.1 普通社債に比べて返済順位が低い(劣後特約)
万が一、ソフトバンクグループに関し清算手続や破産手続などが開始された場合、銀行からの借り入れや「普通社債」の保有者への返済が優先されます。
今回の「劣後債」への返済は文字通り後回し(劣後)になるため、すべての優先する債務が全額支払われない限り、元本の全部または一部が戻ってこないリスクが通常の社債よりも高くなっています。
4.2 利息の支払いが先送りされるケースがある(利払繰延条項)
発行体の任意の裁量によって、事前の通知により利息の支払いの全部または一部が一時的にストップ(繰り延べ)される可能性があります。
毎期必ず予定通りに利息がもらえるわけではない点に注意が必要です(※ただし繰り延べられた利息には追加利息が付与されます)。
この「停止」は、基本的には支払時期が「繰り延べ(後回し)」になる仕組みであり、後回しにされた期間分も追加で利息が計算されます。
ただし、目論見書には「未払金額の全部の支払を受けることができない可能性」についても明記されており、発行体の業績等によっては、最悪の場合、繰り延べられた利息の一部または全部が最終的に支払われない(消滅する)リスクも潜んでいる点には十分な注意が必要です。
4.3 最長35年間、資金が拘束される可能性がある(延長リスク)
前述のステップアップ条項があるため実質的には「5年で期限前償還される」のが一般的ですが、これはあくまで「発行体の選択(権利)」です。
大幅な金利上昇や経営環境の変化などでソフトバンクグループが任意償還を行わないと判断すれば、5年後に元本が返ってこず、最長2061年(35年後)の満期償還日まで資金が引き出せない(換金しづらい)リスクがあります。
5. まとめ:高利回りの裏にある仕組みとリスクの理解を
ソフトバンクグループの第8回ハイブリッド債は、一般的な普通社債を上回る高い利回りが設定されています。
しかし、その金利の上乗せ分は、「返済順位の低さ」や「利払い先送り・最長35年の資金拘束リスク」といった、複雑な条件を引き受けることに対する対価にほかなりません。
加えて、満期(あるいは実質的な5年後の早期償還日)まで持ち切らずに途中で売却しようとした場合、市場金利の動向や発行体の信用状況によっては、債券価格が下落し元本割れとなるリスクも存在します。
「当面使う予定のない余裕資金か」「万が一の元本割れリスクや、5年で戻ってこないリスクを許容できるか」など、本債券の特殊な仕組みとご自身の投資スタンスを冷静に照らし合わせることが求められます。
購入を検討される際は、証券会社から交付される目論見書等で詳細な条件を必ず確認し、最終的な投資判断はご自身の責任で行うことが重要です。
参考資料
- ソフトバンクグループ 訂正発行登録書
- ソフトバンクグループ 社債情報
- JCR 【ソフトバンクグループ】格上げ:A-→A/安定的,BBB+→A-(劣後),BBB→BBB+(劣後),据置:J-1(2024年4月11日)
- JCR 【ソフトバンクグループ】据置・見通し変更:A/安定的→ネガティブ,A-(劣後),BBB+(劣後),J-1(2025年4月1日)
- 名古屋鉄道 無担保社債の発行条件決定のお知らせ
- 三菱HCキャピタル 第24回無担保社債(個人投資家向け)発行に関するお知らせ
- T&Dホールディングス 格付け・社債情報
- 第33回無担保社債(社債間限定同順位特約付)(グリーンボンド)発行のお知らせ
※免責事項
- 本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、特定の債券の購入や売却について助言や推奨するものではありません。
- 本記事上の情報に起因、また関連して生じた損害や損失に関しては一切の責任を負いません。投資判断は最新の決算資料や市場動向などをご自身でご確認の上、自己責任で行ってください。
- 募集要項の内容や条件などは変更される可能性があるため、必ず公式サイトでご確認ください
高原 祥子