3. 支給停止基準額の引き上げで「実際の受給状況」はどう変わる?
支給停止基準額が65万円へ引き上げられたことで、実際の受給状況はどのように変わるのでしょうか。
たとえば、老齢厚生年金を月15万円受け取っている人が、毎月50万円の給与で働くケースを考えます。
- 合計額:15万円(年金) + 50万円(給与) = 65万円
2025年度までは、基準額51万円を超えた部分(65万円-51万円=14万円)の半分にあたる7万円が支給停止となっていました。
一方で、2026年4月以降は合計が65万円以内であれば減額は発生せず、年金は全額支給されます。
この水準を年収ベースで見ると、賞与を含めた給与収入が600万円程度、年金と合わせた総収入では780万円程度となり、年金を減らさずに受け取れる人の幅が広がることになります。
次章では、全額支給となる基準についてより具体的に確認していきます。
4. 給与(月額)+年金はいくらまでなら「年金」を満額受給できる?
給与と年金の合計が月額65万円以内であれば、支給停止は生じず、年金はそのまま受け取ることができます。
一方で、この基準を超えた場合には、超過分に応じて老齢厚生年金の一部が支給停止となる仕組みです。
参考として、日本年金機構の「在職老齢年金の計算方法」をもとに、満額受給となる目安を確認しましょう。
- 年金(月額)5万円:月給(総報酬月額相当額)は60万円まで
- 年金(月額)10万円:月給(総報酬月額相当額)は55万円まで
- 年金(月額)15万円:月給(総報酬月額相当額)は50万円まで
- 年金(月額)20万円:月給(総報酬月額相当額)は45万円まで
- 年金(月額)25万円:月給(総報酬月額相当額)は40万円まで
このように、年金を減らさずに受け取れるかどうかは「給与と年金の合計が65万円以内に収まるか」が判断基準となり、受給している年金額によって許容される収入の上限も変動します。
まずは自身の年金額と現在の給与水準を照らし合わせて、基準内に収まっているかを確認してみましょう。
必要に応じて、働き方や収入のバランスを見直すことが大切です。
5. 収入と年金の最適バランスを見極めることが重要
長年の課題だった、「年金支給停止基準額」のルールが変わったことは、働く意欲のあるシニアにとって、大きく影響のあるポイントとなります。
年金が満額受け取れるようになり、収入が増えることで、税金や健康保険料の負担も変化します。そのため、制度を理解した上で働き方のバランスを考えていくことが「手取りを最大化」するために重要となります。
この機会に、ご自身の年金見込み額を再度確認することで、これからの働き方について再検討するきっかけとしていただければと思います。
