日本の実質GDPはバブル期より約4割拡大。でも豊かさを感じられないのは?

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今の日本はバブル期より豊かだ、と久留米大学商学部の塚崎公義教授は説きます。

今の日本の実質GDPはバブル期よりはるかに大きい

平成時代の幕開けはバブルでしたが、その後の平成時代はバブル崩壊後の長期低迷期でした。この時代、ゼロ成長であったという印象を持つ人も多いと思いますが、実は緩やかに成長していたのです。

現在の日本の実質GDPは、バブル期より4割程度大きくなっています。その間、人口はそれほど変化していませんから、一人当たりGDPは増えていることになります。我々の生活は、実質GDPを見る限り、当時より豊かなのです。

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バブル期と言えば、多くの人が贅沢を楽しんでいたわけで、それより今の生活の方が豊かだというのは意外な気もしますが、統計は嘘をつきません。

スマホは当時の100万円の機器より高性能

今では中学生でもスマホを持っていますが、その機能は当時の100万円の機器より遥かに高性能です。

携帯電話機能だけをとっても、当時の携帯電話は大変高価で重くて、記者たちが現場取材の時に持ち歩く程度でした。あとは、社長車に積んでおき、急ぎの連絡の時に使っていた程度でしょう。到底庶民の手が届くものではありませんでした。

スマホで遊べるゲームは、当時のものとは比べものにならないほど高性能です。カメラ機能も音楽プレーヤー機能も、当時の高級機器に劣らない品質のはずです。

当時は、普通の人はインターネットを使っていませんでしたが、今ではインターネットによって新聞や本などに載っている情報の一部が無料で得られるようになりました。

読者は今、拙稿を無料で読んでいますが、バブル期であれば、拙稿を読むためには拙稿が掲載された市販の雑誌を購入する必要があったはずです。

当時であれば、ファックスや郵便で送る必要があったものも、今ではメールで済ませられる場合が多いでしょう。

このように、技術進歩によって良いものが安く手に入るようになったので、給料は増えていなくても豊かに暮らせるようになっているのです。

タワマンも手が届く存在に

バブル当時、タワーマンションは庶民には全く手が届かない高嶺の花でした。しかし、その後の地価の下落と技術進歩により、庶民でも夫婦とも正社員の共働きであれば手が届くかもしれない、というところまで身近な存在になってきました。

実際、数多くのタワーマンションが建設され、多くの人々が便利で快適なタワマン生活をエンジョイしているわけです。バブル当時は単なる憧れであったものが、給料は増えていないのに手が届くようになったのです。

生活の便利さも豊かさと言えよう

インターネットがなかった時代の生活は、不便なものでした。調べ物をする時には図書館へ行ったり辞書を引いたりする必要があったのです。

飲み会の日程調整は、今ならメールで「全員に返信」をすれば良いだけですが、当時は全員に電話をして日程を決め、それを再び全員に電話をして連絡する必要があったわけです。

携帯電話のない生活も、不便でした。待ち合わせの時間に遅れそうでも、相手に連絡を取ることは困難でした。駅の東口の改札と西口の改札でお互いがイライラしながら相手を待っている、といったこともありました。

ハイテク製品だけではありません。バブル崩壊後には巨額の公共投資によって多くの道路が作られましたから、多くの道路を自由に使うことができるわけです。

このように、我々の生活はバブル当時よりはるかに便利になっています。これも、豊かに暮らせていると考えて良いでしょう。

見栄を張らない文化も実質的な豊かさに

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塚崎 公義

1981年 東京大学法学部卒業、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行
おもに経済調査関連業務に従事した後、2005年に退職し、久留米大学へ
(近著)
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