バイクやマリン製品で世界的なブランド力を誇るヤマハ発動機は、売上高2.5兆円超のうち、約62%をモーターサイクル(二輪)事業が稼ぎ出すグローバル企業です。
しかし直近の決算を紐解くと、利益を押し下げる要因として「関税」よりも巨額な「研究開発費」が計上されており、来期の販売計画では市場全体が縮小する中でも「自社は成長する」という極めて強気な予想を掲げています。
一体なぜ、これほどの先行投資が必要であり、どのような根拠でアグレッシブな計画を立てているのでしょうか。
この事業戦略の背景について、元機関投資家の泉田良輔氏がYouTubeチャンネル「イズミダイズム」にて分析します。
ココがポイント
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ヤマハ発動機のコア事業は売上の約6割を占めるモーターサイクル(二輪)事業である
- 2025年12月期の営業利益は、関税影響を上回る247億円もの研究開発費増が重しとなった
- 巨額R&Dの背景には、電動化や乗り物のコンセプト見直しに向けた先行投資があると推測される
- 2026年の二輪販売計画は、市場の成長率を大きく上回る「アグレッシブな前提」で組まれている
1. 売上の6割を占めるコア事業「二輪」の現在地
ヤマハ発動機といえば、多くの人が真っ先に思い浮かべるのがバイク(モーターサイクル)でしょう。実際に同社の事業構造を見てみると、そのイメージ通り、二輪事業が屋台骨を支えていることがわかります。
2025年12月期の実績では、全社の売上収益2兆5342億円に対して、モーターサイクル事業の売上は1兆5781億円にのぼります。
実に全体の約62%を、この一つの事業で稼ぎ出している計算になります。
動画内でインタビュワーから、他社の決算で二輪事業が好調だったことを引き合いに出し、「二輪が主業のヤマハ発動機も調子が良いのではないか」という疑問が投げかけられました。
しかし、同社の2025年12月期の営業利益は1264億円となり、前の期から約30%もの大幅な減益に着地しています。売上自体は1.6%の微減にとどまっているにもかかわらず、本業の儲けを示す営業利益が大きく削られているのです。
一体、事業の内部で何が起きているのでしょうか。
泉田氏が決算説明会資料のデータを読み解きながら、利益を押し下げた「本当の理由」に迫ります。
著者
金融・経済YouTubeチャンネル「イズミダイズム」
「イズミダイズム」は、株式会社モニクルリサーチが運営する金融・経済YouTubeチャンネルです。フィデリティ投信や日本生命でポートフォリオマネージャーや証券アナリストとしての勤務経験のある元機関投資家の泉田良輔が、プロの視点で金融や経済に関する様々なニュースの解説や、資産形成に役立つトピックをお届けします。新NISAの開始やインフレを背景に、個人の資産運用への関心が高まる中、機関投資家と個人投資家の「視点の違い」や、経済ニュースの裏側にある「構造」をロジカルに解説します。(最新更新日:2026年1月30日)
監修者
株式会社モニクルリサーチ
代表取締役/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。その他に株式会社モニクル取締役COO、株式会社モニクルフィナンシャル取締役COOも務める。LIMO&ファイナンス編集長。東京科学大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了(同研究科最優秀賞受賞)
1. 経歴
2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を原田慎司(現同社取締役)らとともに共同創業。2013年に個人投資家向け金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。Longineの立ち上げの経緯はBloombergにおいて「体力勝負アナリスト辞めます、元外資マン個人に長期投資指南」として掲載され大きな反響を呼ぶ。投資情報のサブスクモデルを確立する。その後、株初心者向けネットメディア「株1」、2015年にはくらしとお金の経済メディア「LIMO」の前身となる「投信1」を立ち上げる。2026年6月に専門家と実務家が情報発信をする金融経済ニュースサイト「LIMO&ファイナンス」を立ち上げ編集長に就任。
それ以前は、日本生命・国際投資部で外国株式ファンドマネージャー、フィデリティ投信・調査部や運用部にて10年に渡ってインターネット、電機(半導体・民生・産業エレクトロニクス)、機械(ロボットやセンサー企業中心)といったテクノロジーセクターの証券アナリストや中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー(最年少で就任)として従事。
2. 専門・研究領域
慶応義塾大学商学部卒業。国際金融及びコーポレート・ガバナンスを専攻。アジア通貨危機、昭和金融恐慌などの金融パニックのメカニズムを金融政策や金融機関への規制の観点から研究。それらの内容は「昭和金融恐慌からの教訓 平成恐慌になにをどう生かすべきか」(三田商学研究学生論文集)として発表。
3. 著書
・『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資』(ダイヤモンド社)
・『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)
・『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)
・『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』(KADOKAWA)
・『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)
4. 寄稿や講演他
「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」や「現代ビジネス」、「東洋経済オンライン」、「プレジデント」などへの寄稿や対談も多数。対談記事例としては「【未来予想】ブロックチェーン革命が、「半沢直樹」の世界に終わりを告げる」や「【未来予想】アマゾンとビットコインが、次世代の「銀行」になる理由」(いずれもNewsPicks)、「米独に遅れる日本の自動運転、自動車も電機の二の舞に?」(週刊ダイヤモンド)。海外ジャーナリストからインタビューされることも多く、Financial TimesやThe Economist、Bloombergにおいて自動車や金融業界についての国内外産業動向コメントも発信している。
講演会や動画での情報発信も盛んに行っており、NewsPicksのTHE UPDATE、日経ビジネススクール、慶應丸の内キャンパス、慶應義塾SDM、アカデミーヒルズなどでも講義を行う。またNewsPicksのNewSchoolではプロジェクトリーダーとして「本当に初心者のための資産運用」を開催。
最終更新日:2026年6月26日