物価上昇が続く中、家計が苦しいという世帯も少なくありません。新年度は何かと物入りとなるため、自治体独自の給付が役立ったという方も多いのではないでしょうか。
このように、物価高騰対策として国の重点支援地方交付金などを活用した独自の給付金を支給する自治体があります。
ほとんどは自動的に振込されますが、中には手続きが必要となるケースもあるため、期限などに注意が必要です。
本記事では、令和8年度(2026年度)における練馬区、荒川区、新宿区の事例を交えながら、給付金の最新の現状や、支給対象となりやすい「住民税非課税世帯」の仕組みについて解説します。
1. 【給付金】主な対象となる住民税非課税世帯とは?
今回の給付金の対象は自治体によってさまざまで、「全住民」「住民税非課税世帯」「住民税均等割のみ課税世帯」などがあります。
しばしば対象となる「住民税非課税世帯」とは、住民税の「均等割」と「所得割」の両方が免除されている世帯のことを指します。
- 均等割:所得の金額にかかわらず、一定以上の所得がある方に一律で課される税金です。
- 所得割:前年の所得金額に応じて課税される税金で、所得が多いほど税額も大きくなります。
この均等割と所得割の両方が課税されない状態を「住民税非課税」と呼び、世帯の構成員全員がこの条件に該当する場合を「住民税非課税世帯」といいます。
1.1 住民税非課税になるケース
具体的には、次のようなケースが非課税の対象となります。
- 生活保護(生活扶助)を受給している場合
- 障害者、未成年者、ひとり親、寡婦に該当し、前年の合計所得金額が一定の基準以下の場合
- 前年の合計所得金額が、各自治体の定める非課税限度額を下回っている場合
1と2の条件は全国で共通ですが、3の所得基準額は自治体ごとに異なることがあります。例えば神戸市の場合、住民税が非課税となる目安は「35万円 × (本人 + 同一生計配偶者※ + 扶養親族の人数) + 31万円」とされています。
また、同一生計配偶者や扶養親族がいない単身者の場合は、合計所得金額45万円以下が基準となります。
※同一生計配偶者:納税者と生計を一つにする配偶者で、前年の合計所得金額が58万円以下の人を指します。
※上記は東京23区や神戸市などの都市部(1級地)の例です。お住まいの自治体(2級地・3級地など)によっては、非課税となる目安の金額がこれより低くなる場合がありますので、必ず各市区町村のホームページ等でご確認ください
これを年収ベースに置き換えると、単身世帯の場合は給与収入であれば年収110万円、65歳以上で年金収入のみであれば155万円が非課税となる目安になります。
一方で、配偶者や扶養親族がいる世帯では、非課税となる収入の上限額が引き上げられます。
特に65歳以上で年金収入のみの世帯では、扶養親族が1人いる場合の収入目安が211万円以下となり、単身世帯と比較して基準が大幅に緩和される点が特徴です。
単身世帯の場合:合計所得金額が45万円以下
- 給与収入のみ:年収110万円以下
- 65歳以上で年金収入のみ:年金収入155万円以下
- 65歳未満で年金収入のみ:年金収入105万円以下
同一生計配偶者か扶養親族が1人いる場合:合計所得金額が101万円以下
- 給与収入のみ:年収166万円以下
- 65歳以上で年金収入のみ:年金収入211万円以下
- 65歳未満で年金収入のみ:年金収入171万3334円以下
このように、住民税が非課税になるかどうかは、世帯の構成や収入源によって大きく左右されます。
2. 2026年も「低所得世帯等への給付」が実施されている
ここでは、国の交付金を活用して令和8年度に独自の給付金を実施している自治体の例として、東京都の練馬区、荒川区、新宿区の取り組みをご紹介します。
2.1 練馬区:令和7年度第2回物価高騰対策給付金
支給対象は令和7年12月1日時点で練馬区に住民登録があり、以下のいずれかに該当する世帯です。
- 令和7年度住民税均等割が非課税の世帯
- 令和8年1月支給分の児童扶養手当を受給した世帯
- 令和7年1月以降に予期せず収入が減少し、非課税水準となった家計急変世帯
支給額は1世帯当たり2万円。
過去の給付金を受給した世帯には1月下旬に「支給のお知らせ」が届き、原則として手続き不要で2月下旬以降に順次振り込まれます。
対象の可能性があるものの受給実績のない世帯には、1月下旬以降に「確認書」が届くため、返送やオンラインでの申請が必要です。また、家計急変世帯の場合は自ら申請書の提出が必要となります。
申請期限は令和8年4月30日なので注意しましょう。
2.2 荒川区:物価高騰対応給付金
荒川区では、世帯単位ではなく個人単位での給付を実施しており、広く全区民を対象としているのが特徴です。
荒川区の給付金事例3/4
出所:荒川区「物価高騰対応給付金」
支給対象は令和7年12月25日時点で荒川区に住民登録がある方で、令和8年3月31日までに出生した子どもも対象となります。
支給額は区民1人当たり4000円で、世帯主の口座に世帯全員分を一括して振り込みするとしています。
過去に荒川区からの給付金を本人口座で受給した方などは原則申請不要で、2月中旬以降に「支給通知書(はがき)」が届き、一定期間経過後に自動的に振り込まれます。そのため、すでに完了していると考えられます。
ただし上記以外の方には3月下旬以降に「申請書(黄色い封書)」が送付されるため、オンラインまたは郵送での申請手続きが必要です。
申請期限は令和8年6月30日(必着)となっているので注意しましょう。
2.3 新宿区:新宿区物価高騰対策臨時給付金(令和7年度低所得者等支援)
新宿区では、住民税非課税世帯だけでなく、所得水準が一定以下の世帯にも対象を広げ、要件に応じて段階的な支給を行っています。
支給対象は令和7年12月1日時点で新宿区に住民登録があり、以下のいずれかに該当する世帯です。
- 世帯全員が令和7年度住民税の均等割または所得割が非課税等の世帯
- 世帯全員の令和7年度住民税における合計所得金額の合計が300万円未満の世帯
支給額は、上記1の非課税等の世帯は「世帯員1人当たり1万2000円」。上記2の所得300万円未満世帯の場合、世帯員1人当たり6000円です。
公金受取口座を登録している方や、過去に口座振込で給付金を受給した方には、2月27日以降順次「支給案内(圧着はがき)」が送られ、原則手続き不要で3月27日より順次支給されています。
一方、口座情報の確認が必要な方には、3月9日より順次「確認書」が発送されるため、内容を記入して申請を行う必要があります。
申請期限は令和8年6月30日なので注意しましょう。
新宿区の給付金例4/4
出所:新宿区「新宿区物価高騰対策臨時給付金(令和7年度低所得者等支援)のご案内」
申請期限である令和8年6月30日を過ぎると受け取れなくなってしまうため、手元に書類が届いた方は早めの手続きが呼びかけられています。
3. 期限内に手続きしないと「辞退した」と見なされるケースも
給付金の支給対象であっても、自治体から「確認書」が送られてきた場合には注意が必要です。
記載された内容を確認し、口座情報などの必要事項を記入して期限内に返送(またはオンライン申請)しなければ、給付金を受け取ることはできません。
提出期限を過ぎてしまうと「給付金の受け取りを辞退した」と見なされてしまうため、書類が手元に届いたらできる限り速やかに手続きを済ませましょう。
自治体によっては現金給付ではなく商品券や電子クーポンを配布するところもあります。
お住まいの地域の情報については、広報誌や公式ホームページ等でご確認ください。
4. まとめにかえて
物価高騰の影響が続く中、国の交付金を活用した各自治体の独自給付金は、生活を支える心強い制度です。
ただし、今回ご紹介した事例からもわかるように、自治体によって「世帯一律の定額支給」「区民1人当たりの支給」「所得額に応じた支給」など、制度の仕組みや対象者、申請スケジュールは大きく異なります。
手続き漏れを防ぐためにも、お住まいの自治体からのお知らせや広報誌、公式ホームページをこまめにチェックし、対象となる方は忘れずに申請手続きを行いましょう。
参考資料
- 総務省「個人住民税」
- 神戸市「住民税(市県民税)とは」
- 練馬区「令和7年度第2回物価高騰対策給付金のご案内」
- 荒川区「物価高騰対応給付金」
- 新宿区「新宿区物価高騰対策臨時給付金(令和7年度低所得者等支援)のご案内」
太田 彩子