最新の消費者物価指数は、2020年を100として112.2と、前月比では0.2%下落したものの、前年同月比では1.3%の上昇となっています。物価高は、依然として私たちの日常生活に影響を及ぼしています。

とくに、年金を収入源とするシニア世代は、日々の家計管理に頭を悩ませているのではないでしょうか。

所得の少ない年金世帯には、年金とあわせて「年金生活者支援給付金」が支給されます。

この給付金の支給額は一定の基準をもとに決定します。2026年度の基準額はいくらで、どういった仕組みで制度運営されているのでしょうか。

この記事では、年金生活者支援給付金の基準額や概要を解説します。

1. 2026年度の年金生活者支援給付金の基準額はいくら?

2026年度の年金生活者支援給付金の基準額は、以下のようになっています。

2026年度の年金生活者支援給付金の基準額1/7

2026年度の年金生活者支援給付金の基準額

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとに筆者作成

老齢年金生活者支援給付金基準額

  • 2025年度:5450円
  • 2026年度:5620円(前年比+170円)

障害年金生活者支援給付金基準額

  • 2025年度
    ・1級:6813円
    ・2級:5450円
  • 2026年度
    ・1級:7025円(前年比+212円)
    ・2級:5620円(前年比+170円)

遺族年金生活者支援給付金基準額

  • 2025年度:5450円
  • 2026年度:5620円(前年比+170円)

基準額は、前年度の5450円から170円増加し、5620円となりました。正式な支給金額はこの金額をもとに決定されますが、年間で約7万円を受け取れる形です。障害年金生活者支援給付金の障害等級1級のみ、障害年金と同様に基準額の1.25倍が支給されます。

給付金は、年金に上乗せされる形で支給されます。年金は2ヵ月に1回支給されるため、1回の支給で約1万円が追加支給される仕組みです。具体的な支給額については、後述します。

次章では、給付額が増加するタイミングについて解説します。

2. 給付額の増加は「6月から」

年金生活者支援給付金の給付額が増加するのは4月分の支給からですが、実際に増額された給付金を受け取れるのは4月ではなく6月からです。

前述のとおり、日本の公的年金は2ヵ月に1回支給されます。具体的には「偶数月の15日」(15日が土日祝日の場合は直前の平日)に、前月・前々月分がまとめて支給される仕組みです。

つまり、4月15日に支給される年金および年金生活者支援給付金は、2月・3月分であり、前年度の基準額にもとづく金額なのです。

2026年度の基準額にもとづく金額が支給されるのは、4月分・5月分が支払われる6月15日からです。4月に年金の振込口座を見ても金額は変わらないため、慌てることのないようにしましょう。

次章では、年金生活者支援給付金の仕組みをさらに深掘りしていきます。

3. 年金生活者支援給付金の仕組みとは

年金生活者支援給付金は、所得の少ない年金世帯を支援するための給付金として、2019年10月から制度が始まりました。給付金は老齢・障害・遺族と各年金に対応する形で用意されています。

給付金を受け取るには、以下の要件を満たす必要があります。

老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金

  • 以下を満たす場合に対象となる。
    ・65歳以上の老齢基礎年金の受給者である。
    ・世帯全員が市町村民税非課税である。
    ・前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後生まれの人は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの人は80万6700円以下(※2)である。

障害年金生活者支援給付金

  • 以下を満たす場合に対象となる。
    ・障害基礎年金の受給者である。
    ・前年の所得(※1)が「479万4000円+扶養親族の数×38万円(※3)」以下である。

遺族年金生活者支援給付金

  • 以下を満たす場合に対象となる。
    ・遺族基礎年金の受給者である。
    ・前年の所得(※1)が「479万4000円+扶養親族の数×38万円(※3)」以下である。

※1障害年金・遺族年金などの非課税収入を除く。
※2昭和31年4月2日以後生まれで80万9000円を超え90万9000円以下の人や昭和31年4月1日以前生まれで80万6700円を超え90万6700円以下の人には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される。
※3同一生計配偶者のうち70歳以上の人または老人扶養親族の場合は48万円、特定扶養親族または16歳以上19歳未満の扶養親族の場合は63万円となる。

障害年金生活者支援給付金や遺族年金生活者支援給付金は、受給要件となる所得金額の範囲が広く、比較的多くの人が受給できるよう設計されています。一方、老齢年金生活者支援給付金は、受給要件となる所得金額の範囲が狭いうえ「住民税非課税世帯であること」という要件が追加されています。所得の少ない人を集中的に支援するために設計されているのです。

給付金の支給金額については、以下のとおりです。

老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金

  • 以下の計算式で算出した金額の合計額
    ・保険料納付済期間にもとづく額(月額) = 5620円 × 保険料納付済期間 / 被保険者月数480月
    ・保険料免除期間にもとづく額(月額)= 1万1768円 × 保険料免除期間/ 被保険者月数480月
    ※補足的老齢年金生活者支援給付金は5620円 × 保険料納付済期間 / 被保険者月数480月×調整支給率※ 保険料免除期間に乗じる金額は、毎年度の老齢基礎年金の改定に応じて変動します。」と記載あり。昭和31年4月2日以後と以前で異なります。

障害年金生活者支援給付金

  • 障害等級2級: 月額5620円
  • 障害等級1級: 月額7025円

遺族年金生活者支援給付金

  • 月額5620円
    ※2人以上の子が遺族基礎年金を受給している場合は、5620円を子の数で割った金額をそれぞれに支給する

障害年金生活者支援給付金、遺族年金生活者支援給付金は、基本的に基準額がそのまま支給されます。遺族年金生活者支援給付金については、遺族基礎年金を受給する子どもの人数によっては1人あたりの給付金額が少なくなることをおさえておきましょう。

そして、老齢年金生活者支援給付金のみ、年金保険料の納付状況によって支給額が変わります。金額は納付済期間・免除期間に応じて決まります。免除期間にもとづく給付額を計算する際の基準額は1万1768円となっており(免除期間がある場合、生年月日や免除の種類によって基準となる金額が変わります)、免除期間が長いほど支給額も高くなる仕組みです。

次章では、年金生活者支援給付金の受け取り方を解説します。

4. 給付金は申請必須

年金生活者支援給付金を受け取るには、申請手続きが必要です。手続きはすでに年金を受給している人とこれから受給する人で異なりますが、いずれも簡単なものであり、すぐに完了します。それぞれの手続き方法は以下のとおりです。

年金生活者支援給付金の請求手続き4/7

年金生活者支援給付金の請求手続き

出所:日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」 

すでに年金を受給している人の請求手続き5/7

すでに年金を受給している人の請求手続き

出所:日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」をもとに筆者作成

  1. 日本年金機構から、はがきの年金生活者支援給付金請求書が届く
  2. 書類の太枠内を記入する(記入後に「同封の目隠しシールを貼る」)
  3. 切手を貼ってポストに投函する

新規に年金を受給する人の請求手続き7/7

新規に年金を受給する人の請求手続き

出所:日本年金機構「65歳の誕生日を迎え、老齢基礎年金を新規に請求する方」をもとに筆者作成

  1. 65歳になる3ヵ月前に、日本年金機構からの老齢基礎年金の新規裁定手続きの案内に「年金生活者支援給付金の請求書」が同封されて送られてくる
  2. 両方の書類の必要事項を記入する
  3. 受給開始年齢の誕生日の前日以降に、年金の請求書と一緒に年金事務所へ提出する

書類が届いたら、早めに手続きを済ませて給付金を受け取るようにしましょう。

5. まとめ

年金生活者支援給付金の基準額は、前年度から170円増加し5620円となりました。基準額が増えれば支給される金額も増えるため、所得の少ない年金世帯にとっては収入増が期待できます。

上記の基準額での支給が始まるのは、4月分・5月分の年金が支給される6月からです。4月ではない点に注意しておきましょう。

参考資料