2. 外来特例は終了。今後は本来の2割負担に!

2割負担の導入当初は、外来医療費の負担増を月3000円以内に抑える経過措置が設けられていました。

しかし、この特例は2025年9月末で終了しています。

そのため現在は、該当者が本来の2割負担を支払う仕組みとなっています。医療機関の受診回数が多い人は、支払い額が増えている可能性があります。

3. 万が一の際に安心な「高額療養費制度」

「医療費が2割や3割になると、万が一大きな病気をしたときに支払えなくなるのでは?」と不安に感じる人もいるかもしれません。

しかし、後期高齢者医療制度にも「高額療養費制度」が用意されています。

この制度により、1か月の医療費の自己負担額には上限が設けられます。

4. 後期高齢者医療制度の「保険料」はいくら?負担が重くなる人の特徴

次に、毎月納める「保険料」について見ていきましょう。

後期高齢者医療制度の保険料は、加入者全員が等しく負担する「均等割」と、所得に応じて負担額が増える「所得割」の2つを合計して計算されます。

保険料の金額や計算基準は全国一律ではなく、各都道府県に設置された広域連合が定めているため、お住まいの地域によって負担額に差が出ます。

令和8・9年度の見込みでは、全国平均の保険料(医療分)は月額7989円ですが、東京都では月額1万円台(10352円)、青森県などでは月額4000円台(4990円)と大きな開きがあります。

さらに令和8年度からは、これに加えて「子ども・子育て支援金(子ども分)」の負担が上乗せされます。子ども分も地域によって異なり、全国平均で月額194円、東京都で月額265円、青森県で月額115円となっています。

また、75歳への移行にともない、以下の条件に当てはまる人は保険料の負担が重くなったと感じやすい傾向があります。

4.1 74歳まで家族の扶養に入っていた人

会社員である子どもの健康保険などに「扶養家族」として加入していた方は、これまで自身で保険料を負担する必要がありませんでした。しかし、後期高齢者医療制度には扶養という概念がないため、75歳になると自動的に扶養から外れ、自分の名義で保険料を納めることになります。

4.2 会社の健康保険から切り替えた人

現役時代の健康保険料は「労使折半」といって、会社が保険料の半分を負担してくれていました。しかし、後期高齢者へ移行すると保険料は全額自己負担となるため、同じ所得水準でも実際の支払額が増えることがあります。

上記のように、被用者保険(会社の健康保険など)の扶養に入っていた人については、急激に負担が増えることを防ぐための軽減措置が用意されています。

具体的には、「所得割」は当面の間かからず、「均等割」が制度加入から2年間に限り5割軽減されるという特例です。

また、所得が一定の基準を下回る世帯に対しては、均等割額が軽減される制度もあるため、自身の保険料通知書を確認しましょう。

5. 2026年4月から始まった「子ども・子育て支援金」による追加負担

75歳以上の後期高齢者にとってもう一つ知っておきたいトピックが、2026年4月から新たに導入された「子ども・子育て支援金制度」です。

この制度は、児童手当の拡充や妊娠・出産・育児期の支援強化といった少子化対策の財源を確保するために設けられます。子育て世帯を支えるための財源を、社会全体で広く薄く負担するという趣旨から、後期高齢者医療制度の加入者も支援金を負担することになります。支援金は、毎月の医療保険料に上乗せして徴収されています。

支援金の負担額は所得に応じて段階的に設定されており、所得が低い人の負担が大きくなりすぎないよう配慮されています。後期高齢者の平均的な負担額は、月額200円程度(2026年度)と見込まれています。

6. 制度の変化を理解し、老後の家計管理に役立てよう

75歳という年齢は、公的医療保険の切り替えによって「医療費の窓口負担」と「毎月の保険料」の両方が変化する重要な分岐点です。

一定の年金収入がある人は医療費が2割負担になり、これまでご家族の扶養に入っていた人は新たに保険料の支払いが発生します。

さらに、2026年4月からは「子ども・子育て支援金」も始まっています。

後期高齢者医療保険料は、多くの場合、支給される年金から天引き(特別徴収)されます。

そのため、気づかないうちに手取りの年金額が減っていると感じるケースも少なくありません。

まずは、自分の現在の年金収入やその他の所得を正確に把握することが大切です。そして、毎年届く保険料の決定通知書や年金振込通知書をしっかりと確認し、いくら保険料を支払い、窓口負担が何割になっているのかを認識しておきましょう。

制度の仕組みを正しく理解し、急な出費にも対応できる余裕を持った家計管理を心がけてみてください。

和田 直子

窓口負担の「2割化」や新しい支援金の導入など、負担増のニュースが続くと不安になりますよね。しかし、かつてアドバイザーとして多くのシニア世代の相談に乗ってきた視点、そして現在は金融メディアで最新の制度変化を追う立場から言えるのは、家計を守るための軽減措置もしっかり用意されているということです。

大切なのは、変化をただ恐れるのではなく「自分の場合はいくらになるのか」を正しく把握することです。毎年届く通知書をチェックし、仕組みを理解して味方に付けることが、これからの安心な暮らしへの確かな第一歩になります。

参考資料

苛原 寛