新緑が目に鮮やかな季節を迎えましたが、日中と朝晩の寒暖差などで体調を崩しやすく、医療機関にかかるケースも少なくありません。

年齢を重ねて高齢期を迎えると、ケガや病気のリスクが高くなり、医療費の負担も重くなりやすいです。

日本では長寿化が進んでいるからこそ、高齢期の医療費リスクについてしっかりと考えておくことが大切です。

今回は、長寿化に伴う医療費リスクや後期高齢者医療制度の内容、長寿リスクに備える医療費準備のポイントを解説します。

ぜひ本記事を参考に、高齢期に向けた医療費準備を進めましょう。

1. 長寿化で高まる医療費リスク

現代の日本は「人生100年時代」と言われており、世界でもトップクラスに長寿化が進んでいます。

健康に長生きできることは素晴らしいことですが、一方で医療費がかさむリスクも考慮しなければなりません。

ここでは、2024年時点での平均寿命と医療費について解説します。

1.1 2024年時点の平均寿命

主な年齢の平均余命1/3

主な年齢の平均余命の画像

出所:厚生労働省「1 主な年齢の平均余命」

厚生労働省の「令和6年簡易生命表」によると、男性の平均寿命は81.09歳、女性の平均寿命は87.13歳です。

男女ともに平均で80歳を超えており、日本が長寿大国であることが分かります。

75歳時点での平均余命を見てみると、男性は12.08年、女性は15.75年となっています。

後期高齢者と言われる世代になっても、まだまだ元気に長生きするシニアが多いということです。

1.2 医療費は「長期的な支出」に

平均寿命や75歳時点での平均余命を見ても、高齢期を迎えてから長生きするケースが非常に多いです。

そのため、老後の医療費は一時的なものではなく「長期的な支出」として考えなければなりません。

年齢を重ねるとケガや病気のリスクが高まり、医療機関にかかる機会が多くなります。

長生きをするほど継続的に医療費がかかり、家計に負担をかける可能性が高いです。

こうしたリスクを踏まえた上で、高齢期の医療費を早い段階から準備しておくことが大切です。

2. 後期高齢者医療制度で医療費の負担はどう変わる?

長寿化による医療費リスクを考える上で「後期高齢者医療制度」についての理解を深めることが大切です。

ここでは、後期高齢者医療制度の基本的な内容と医療費の負担割合について解説します。

2.1 75歳以上で加入する「後期高齢者医療制度」

75歳になると、それまで加入していた国民健康保険や会社の健康保険から、後期高齢者医療制度に移行します。

後期高齢者医療制度は「75歳以上の人」もしくは「65歳から74歳までで一定の障害状態にあると認定された人」が加入する公的医療保険です。

保険料は原則年金から天引きとなり、保険料額は所得に応じて決まる仕組みです。

保険料率は自治体によって異なるため、詳しくはお住まいの自治体のホームページ等で確認しておきましょう。

なお、後期高齢者医療制度に「扶養」という概念はなく、被保険者本人が保険料を納めます。

それまで配偶者の扶養に入っていた方も、75歳を迎えると扶養から外れて個人で加入することになるため注意が必要です。

2.2 医療費の負担割合は1〜3割に

後期高齢者医療制度では、被保険者の所得に応じて医療費の窓口負担の割合が変化します。

窓口負担割合を決める所得基準は以下の通りです。

75歳以上の方は原則1割の医療費負担となりますが、所得によっては2割・3割となるため注意が必要です。

高齢期にまとまった額の年金を受け取る見込みがあったり、年金以外の収入を得る予定があったりする方は、医療費の負担が重くなる可能性を考慮しておきましょう。

※なお、2022年10月から導入された「2割負担」の対象者に向けて設けられていた負担軽減措置(配慮措置)は2025年9月末で終了しているため、該当する方の医療費負担は実質的に増しています。

3. 長寿リスクに備える医療費準備《3つのポイント》

長寿に伴う医療費リスクに備えるためには、しっかりと準備を進めておくことが大切です。

ここでは、長寿リスクに備える医療費準備のポイントを3点ご紹介します。

3.1 公的制度を正しく理解して活用する

まず、公的制度への理解を深め、正しく制度を活用することが重要となります。

特に、医療費の自己負担額を抑える「高額療養費制度」についてはきちんと理解しておく必要があるでしょう。

高額療養費制度とは、1ヶ月の医療費の窓口負担額が「自己負担限度額」を超えた場合に、その超えた部分の払い戻しを受けられる制度です。

年齢や所得に応じて自己負担限度額が決まっており、入院や手術などで高額な医療費がかかっても限度額以上の自己負担になることはありません。

また、また、事前に「限度額適用認定証」の交付を受けるか、「マイナ保険証」を医療機関の窓口で利用すれば、一時的な立て替えも不要となり、窓口での支払いを自己負担限度額までに抑えることができます。

こうした制度を理解して上手く活用できれば、高齢期の医療費負担が過度に重くなる心配をしなくても良いでしょう。

3.2 医療費専用の資金を予備で準備する

高額療養費制度があることを踏まえても、入院・手術の際にはある程度まとまった医療費が必要となります。

老後の資金準備をする際、日常の生活費とは別に医療費専用の予備資金を準備しておくと良いでしょう。

先ほどご紹介した高額療養費制度は、公的医療保険が適用となる費用を対象とした制度です。

保険が適用されない入院時の差額ベッド代や食事代、先進医療を受ける際の技術料などは対象となりません。

こうした費用をカバーするためにも、ある程度まとまった予備資金を準備しておく必要があります。

「年間〇〇万円は医療費専用の資金枠を準備する」と決め、老後の資金計画を設計しましょう。

3.3 民間の医療保険を活用する

医療費や入院・手術時の諸費用を貯蓄だけで準備することが難しい場合、民間の医療保険の活用も視野に入れておくと良いでしょう。

医療保険に加入していると入院・手術の際に給付金を受け取れるため、ケガや病気のときにかかる費用を抑えることができます。

最近では、特定の疾病(がんや三大疾病など)と診断されたときに一時金が支払われたり、通院日数に応じて給付金がもらえたりするタイプの商品も多くなっています。

通院治療でもしっかりと給付金を受け取れるため、通院が多くなる高齢期の医療費リスクをしっかりとカバーできるでしょう。

ただし、医療保険は保障を充実させるほど保険料が高額になり、毎月の支払い負担が重くなってしまいます。

保障内容と保険料のバランスを見極め、必要最低限のシンプルな保険プランを設計しましょう。

4. 高齢期に向けた医療費準備を計画的に進めましょう

現在の日本は世界でもトップクラスの長寿大国であり、男女ともに平均して80歳以上まで長生きしています。

長生きするほど医療費がかさむリスクがあるため、高齢期を見据えた医療費準備を進めておくことが大切です。

長寿リスクに備える医療費準備のポイントとして「医療費専用の資金を予備で準備する」「民間の医療保険を活用する」といった点が挙げられます。

また、後期高齢者医療制度・高額療養費制度といった公的制度への理解を深めることも重要です。

早いうちから高齢期に向けた医療費準備を進め、安定した老後生活を送りましょう。

参考資料

丸山 大輝