マイホームは人生のなかでも大きな買い物といわれます。物件価格や間取り、ローンの金利など、さまざまなことに目を配る必要がありますが、税金については十分に理解する時間がない人もいるのではないでしょうか。
住宅に関する税金は毎年のようにかかるため、家計にとっては負担になります。優遇措置を理解しておけば、納める税額や家計への影響を抑えられます。
この記事では、行政の窓口で固定資産税を担当した筆者が、マイホームに関するさまざまな優遇措置を解説します。
1. 【購入時】活用したいマイホームの優遇措置
住宅を購入した際に利用できるマイホームの優遇措置には、以下のようなものがあります。
1.1 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)
- 年末の住宅ローン残高の0.7%を13年間にわたって、所得税から控除する
1.2 長期優良住宅・ZEH水準省エネ住宅に関する特例措置
- 住宅ローン控除の借入限度額の引き上げ
- 固定資産税・登録免許税・不動産取得税の減税
- 子育て世帯向けの補助金
- フラット35の金利引き下げ
代表的な優遇措置に、住宅ローン控除があります。13年間、年末時点でのローン残高の0.7%が所得税から直接差し引かれます。ローン残高や所得金額によっては、所得税がほとんどかからない場合もあります。ただし、現行制度は省エネ基準を満たさない住宅を建築した場合は控除対象外となるため、注意が必要です。
また、長期優良住宅やZEH水準省エネ住宅といった、高品質で環境性能の高い住宅を建築した場合は、さらにさまざまな措置を受けられます。たとえば、住宅ローン減税の借入限度額については、長期優良住宅なら5000万円まで、ZEH水準省エネ住宅なら4500万円までに拡大されます。
また、最大で金利が0.75%引き下げられた固定金利ローン「フラット35S」の利用が可能です。低金利で住宅用資金の借入ができます。
このほか、子育て世帯が所定の業者で条件を満たす長期優良住宅を新築した場合は、100万円の補助金を受け取れます。ZEH水準省エネ住宅を新築した場合でも80万円の補助が出るため、子育て世帯は有効活用したいところです。登録免許税や不動産取得税など、住宅を取得する際にかかる税金も軽減されます。
次章では、住宅所有中の優遇措置を解説します。
2. 【所有中】活用したいマイホームの優遇措置
住宅の所有中には、一定期間固定資産税が減免されます。新築戸建の場合の具体的な措置は、以下のとおりです。
2.1 一般の新築住宅
- 3年間固定資産税の2分の1が減免
2.2 長期優良住宅
- 5年間固定資産税の2分の1が減免
通常は3年間固定資産税の2分の1が減免されます。長期優良住宅を新築した場合は、減免期間が5年間に延長されます。ZEH水準省エネ住宅であっても、長期優良住宅の認定を受けていない場合は、一般住宅と同様に3年間の適用となります。
なお、マンションの購入時は一般住宅で5年間、長期優良住宅で7年間、固定資産税の2分の1が減免されます。
優遇措置自体は有効活用したいところですが、措置終了後の納税については注意が必要です。優遇措置が適用されている間は、固定資産税が半額になるため、負担が抑えられます。
ただし、4年目または6年目からは、税額が通常の金額に戻ります。そのため、納める固定資産税額が増える点には注意が必要です。
また、建物の固定資産税は経年劣化による価値の低下が資産の評価額に反映されるため、税額が減る傾向にあります。しかし、建築物価の上昇状況によっては、築年数が長くなっても固定資産税が下がらない場合もあります。地価の動き次第では、土地の固定資産税も変動する可能性があるでしょう。
優遇措置を活用している間に貯蓄や資産をつくっておき、措置終了後の負担増や毎年の納税に対して適切に対応できるよう、備えておくのが望ましいです。
次章では、住宅売却時に活用したい優遇措置を解説します。
3. 【売却時】活用したいマイホームの優遇措置
転勤や親の介護、老人ホームへの入所など、なんらかの事情で住宅を手放す可能性もあります。住宅を売却して所得が生じた場合には「3000万円の特別控除」という特例を活用しましょう。控除の詳細は以下のとおりです。
概要
- 所有期間の長短に関係なく、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる
適用要件
- 自分が住んでいる家屋
- 過去に住んでいた家屋で、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却するもの
など
手続きの仕方
- 確定申告時に「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]」を提出する
控除額が大きいため、長期間住んだ後に売却した場合は、譲渡益に所得がかからない可能性が高いです。転勤などにより、住宅を取得して間もない段階で売却する場合でも、譲渡益に対する税金を極力抑えられるようになっています。
控除を適用するには、売却翌年に確定申告をしなければなりません。申告をしないと譲渡益に対して税金がかかるため、住宅を売却した際は忘れずに確定申告を済ませてください。
4. まとめ
マイホームの購入時・所有中・売却時には、さまざまな優遇措置が使えます。こうした措置を知っておくだけで、購入時にかかる費用や税金、所有中にかかる固定資産税、売却時の所得税を抑えられます。
マイホームの購入は、大きな買い物だからこそ、家計にとって負担の大きいものです。優遇措置をフル活用して、負担を緩和しながら家計管理に努めましょう。
参考資料
- 国土交通省「住宅ローン減税」
- 国土交通省「認定長期優良住宅に対する税の特例(所得税、登録免許税、不動産取得税、固定資産税)」
- 国土交通省「優遇制度で建てたい人を応援!」
- 子育てエコホーム支援事業「対象要件の詳細」
- 国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」
石上 ユウキ