ゴールデンウィークの大型連休が明け、日常のペースを取り戻しつつあるこの時期。連休の疲れが出たり、季節の変わり目で体調を崩して医療機関を受診したりした方もいらっしゃるのではないでしょうか。
年齢を重ねるにつれ、医療費について考える機会は多くなり、将来の負担に対して不安を感じている方も少なくありません。
75歳以上で加入する「後期高齢者医療制度」は、所得によって医療費の窓口負担割合が決まります。
現役世代のうちから制度に対する理解を深め、計画的に老後の医療費を準備しておくことが大切です。
今回は、後期高齢者医療制度の医療費負担を決める所得の目安額や、新たに2割負担が設けられた理由を解説します。
高齢期に向けた医療費準備のポイントも解説しますので、ぜひ本記事を参考に老後の医療費についての理解を深めましょう。
1. 【後期高齢者医療制度】医療費の窓口負担を決める所得の目安は?
後期高齢者医療制度では、被保険者の所得によって医療費の窓口負担が1割〜3割になります。
窓口負担を決める所得の基準は以下の通りです。
窓口負担を決める所得の基準2/2
各種資料をもとに筆者作成
所得が多くなるほど窓口負担割合が重くなります。
高齢期にまとまった額の年金を受け取る見込みがある方や、年金以外の収入が多い方は医療費負担が大きくなる可能性を頭に入れておきましょう。
2. なぜ2割負担が新たに設けられた?
以前まで、後期高齢者医療制度の医療費負担割合は1割または3割の区分しかありませんでした。
しかし2022年10月1日から新たに2割負担の区分が導入されています。
2割負担が設けられたのは、現役世代の負担を軽減しつつ、公的医療保険制度を維持させることが大きな理由です。
日本は超高齢社会に突入しており、高齢者の医療費はどんどん増えています。
しかし高齢者を支える現役世代の人数は減少しており、1人あたりの負担が重くなっています。
こうした状況を改善するため、一定以上の所得がある高齢者に医療費を2割負担してもらう仕組みとなったのです。
2.1 金融所得が医療費負担割合に反映される可能性も
近年、株式や債券などの金融資産からの所得を医療費の負担割合を決める基準所得に反映させるという議論も行われています。
現状、金融所得は確定申告を行わなければ課税所得に含まれず、窓口負担割合を決める基準所得にも反映されません。
金融資産から多額の所得を得ている人であっても、医療費の窓口負担割合が1割で済むようなケースがあるのです。
こうした不公平を解消するために、株式や債券などからの金融所得を含めて医療費の窓口負担を決めるべきであるという議論が行われています。
株式や債券から配当・利子などの所得を得ている方は、特に今後の動向に注目しておくと良いでしょう。
3. 高齢期に向けた医療費準備のポイント
原則1割負担となる後期高齢者医療制度ですが、所得によっては2割・3割の負担となる可能性があります。
高齢期にはケガや病気のリスクも高まり、医療費の負担が重くなるケースが多いため、事前にしっかりと準備しておくことが大切です。
ここでは、高齢期に向けた医療費準備のポイントを解説していきます。
3.1 高額療養費制度への理解を深める
まず、高額療養費制度への理解を深めておくことが重要です。
高額療養費制度とは、1ヶ月の医療費の自己負担額が年齢・所得で定められた上限額を超えた場合に、その超えた部分が払い戻される制度のことです。
所得が多いほど上限額は高くなりますが、医療費の負担が過剰にならないような仕組みになっています。
つまり、過度に老後の医療費負担を恐れる必要はないということです。
また、事前に「限度額適用認定証」の交付を受けて提示したり、「マイナ保険証」や「資格確認書」を利用したりすることで、医療機関の窓口での支払いを最初から高額療養費の上限額までとすることができます。一時的な立て替え払いが不要になるため、事前の準備として覚えておきましょう。
3.2 医療費専用の予備資金を用意しておく
高齢期の資金計画を立てる際、生活費とは別に医療費専用の予備資金を準備しておくことも大切です。
生活費しか準備していないと、突発的な手術・入院等で出費が嵩んだときに生活に支障をきたす恐れがあるためです。
前述の通り、高額療養費制度によって医療費の負担が過度に重くなる心配はありません。
しかし、入院時の差額ベッド代や食事代、先進医療を受ける際の治療費などは公的医療保険の対象とならないため、自分で準備しなければなりません。
急な出費にも対応できるよう、医療費のための予備資金を用意しておきましょう。
3.3 民間の医療保険は「不足分」をカバーする
突発的な医療費をカバーする目的で民間の医療保険に加入するというのもひとつの手です。
しかし民間の医療保険を活用する場合、不足分だけをカバーする意識を持っておきましょう。
繰り返しになりますが、高額療養費制度のおかげで医療費はそこまで大きな負担にはなりません。
民間医療保険を手厚く備えようとすると保険料の負担が重くなるため、不足分だけをカバーする最低限の保障プランを設計することが大切です。
ご自身の貯蓄状況や想定される医療費を踏まえ、必要最低限の保障内容で民間医療保険を活用しましょう。
4. 高齢期の医療費負担について理解を深めておきましょう
75歳以上で加入する後期高齢者医療制度は医療費の窓口負担が原則1割となりますが、所得が多ければ2割・3割の負担になる可能性があります。
高齢期に多くの所得を得る予定がある方は、医療費負担についても頭に入れておくと良いでしょう。
老後の医療費準備を進める際、まずは高額療養費制度への理解を深めることが大切です。
医療費の負担が過剰にならないような仕組みとなっていることを踏まえ、高齢期の医療費を準備しましょう。
参考資料
丸山 大輝