4. 慎重かつ着実な出店戦略
最後に、同社の今後の成長を占う「出店戦略」について見てみましょう。
丸千代山岡家は当期末時点で全国に195店舗を展開しており、来期(2027年1月期)は新たに15店舗の出店を計画しています。
195店舗の規模に対して15店舗の出店というのは、決して急激な拡大戦略ではありません。実際、前期は10店舗の出店計画に対して、実績は8店舗にとどまりました。これは計画未達というネガティブな捉え方もできますが、泉田氏は別の視点から分析します。
会社側は無理に計画の数字を追うのではなく、「良い物件が見つかるかどうか」を慎重に見極めて出店を判断していると推測できるからです。
「逆に言うと安心感あるね。もう絶対計画通り何十店舗やるんだっていう感じではないから」
出店を急ぐあまり条件の悪い物件に手を出して収益を悪化させる企業もある中、丸千代山岡家の着実で堅実な経営姿勢は、投資家にとっても大きな安心材料と言えるでしょう。
【動画で解説】山岡家、逆張りの「24時間営業」が生み出す競合優位性
5. まとめ
丸千代山岡家の急成長の裏には、単なるラーメンブームやSNSのバズりといった一過性の要因だけではない、構造的な強みがありました。
- アプリを活用した地道なマーケティングによるリピーター獲得
- コロナ後もブレずに継続した24時間営業による競合優位性の確立
- 高回転による固定費レバレッジを活かした高い利益率
- 材料費高騰を吸収する緻密なコスト管理と従業員への還元
- 優良物件を厳選する慎重な出店戦略
これらすべてが噛み合い、強固なビジネスモデルを形成していることが、現在の好業績と株価上昇を支えています。
今後も、同社がこの独自の戦略を維持し、消費者の支持を集め続けることができるのか。既存店売上高の推移とともに、その動向から目が離せません。
参考資料
※リンクは記事作成時点のものです。
著者
金融・経済YouTubeチャンネル「イズミダイズム」
「イズミダイズム」は、株式会社モニクルリサーチが運営する金融・経済YouTubeチャンネルです。フィデリティ投信や日本生命でポートフォリオマネージャーや証券アナリストとしての勤務経験のある元機関投資家の泉田良輔が、プロの視点で金融や経済に関する様々なニュースの解説や、資産形成に役立つトピックをお届けします。新NISAの開始やインフレを背景に、個人の資産運用への関心が高まる中、機関投資家と個人投資家の「視点の違い」や、経済ニュースの裏側にある「構造」をロジカルに解説します。(最新更新日:2026年1月30日)
監修者
株式会社モニクルリサーチ
代表取締役/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。その他に株式会社モニクル取締役COO、株式会社モニクルフィナンシャル取締役COOも務める。東京科学大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了(同研究科最優秀賞受賞)
1. 経歴
2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を原田慎司(現同社取締役)らとともに共同創業。2013年に個人投資家向け金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。Longineの立ち上げの経緯はBloombergにおいて「体力勝負アナリスト辞めます、元外資マン個人に長期投資指南」として掲載され大きな反響を呼ぶ。投資情報のサブスクモデルを確立する。その後、株初心者向けネットメディア「株1」、2015年にはくらしとお金の経済メディア「LIMO」の前身となる「投信1」を立ち上げる。
それ以前は、日本生命・国際投資部で外国株式ファンドマネージャー、フィデリティ投信・調査部や運用部にて10年に渡ってインターネット、電機(半導体・民生・産業エレクトロニクス)、機械(ロボットやセンサー企業中心)といったテクノロジーセクターの証券アナリストや中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー(最年少で就任)として従事。
2. 専門・研究領域
慶応義塾大学商学部卒業。国際金融及びコーポレート・ガバナンスを専攻。アジア通貨危機、昭和金融恐慌などの金融パニックのメカニズムを金融政策や金融機関への規制の観点から研究。それらの内容は「昭和金融恐慌からの教訓 平成恐慌になにをどう生かすべきか」(三田商学研究学生論文集)として発表。
3. 著書
・『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資』(ダイヤモンド社)
・『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)
・『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)
・『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』(KADOKAWA)
・『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)
4. 寄稿や講演他
「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」や「現代ビジネス」、「東洋経済オンライン」、「プレジデント」などへの寄稿や対談も多数。対談記事例としては「【未来予想】ブロックチェーン革命が、「半沢直樹」の世界に終わりを告げる」や「【未来予想】アマゾンとビットコインが、次世代の「銀行」になる理由」(いずれもNewsPicks)、「米独に遅れる日本の自動運転、自動車も電機の二の舞に?」(週刊ダイヤモンド)。海外ジャーナリストからインタビューされることも多く、Financial TimesやThe Economist、Bloombergにおいて自動車や金融業界についての国内外産業動向コメントも発信している。
講演会や動画での情報発信も盛んに行っており、NewsPicksのTHE UPDATE、日経ビジネススクール、慶應丸の内キャンパス、慶應義塾SDM、アカデミーヒルズなどでも講義を行う。またNewsPicksのNewSchoolではプロジェクトリーダーとして「本当に初心者のための資産運用」を開催。
最終更新日:2026年2月21日