5. 投資家が注目すべき「消費者目線」の分析法
では、個人投資家がこれからバンダイナムコに投資を考える際、どのような点に注目すればよいのでしょうか。
泉田氏は、同社の最大の強みである「IP(知的財産=キャラクターなどの権利)とテクノロジーの掛け合わせ」に注目すべきだと語ります。
バンダイナムコは、「機動戦士ガンダム」「ドラゴンボール」「ONE PIECE」といった強力なIPを持っていますが、ただ昔のキャラクターに依存しているわけではありません。
かつて紙のカードダスとして親しまれたものが、現在では高度な技術を用いたトレーディングカードゲームやアーケードゲームへと進化し、新たな世代の支持を集め続けています。
「IPと新しい技術掛け合わせて、ちゃんとハードウェアとして遊べる体験作ってるっていうのがこの会社の付加価値じゃない」
デジタル化が進み、スマートフォンで手軽にゲームができる現代においても、リアルな「体験」や「手触り」を提供し続けることでブランド価値を高める好循環を生み出しているのです。
したがって、投資家としては、同社が常に目新しいプロダクトを生み出し、新しい世代のファンを獲得できているかを注視する必要があります。
難しい財務データや経済ニュースを読み解くことだけが投資の分析ではありません。身近な消費者のリアルな声に耳を傾け、ブームの兆しを感じ取ること。
「これが株式投資の調査の醍醐味なのよ」
泉田氏のこの言葉には、日々の生活の中にこそ、次に成長する企業を見つけ出すための最も確実で、かつ楽しいヒントが隠されているというメッセージが込められています。
【動画】なぜバンダイナムコは強い?元機関投資家が業績好調の理由を解説
6. まとめ
バンダイナムコホールディングスは、強力なIPと新しいテクノロジーを掛け合わせることで、景気に左右されにくい強固な事業基盤を築き上げています。
直近では増収減益という決算が発表されましたが、通期での増収増益見通しや増配の発表からは、会社側の株主に対する真摯な姿勢がうかがえます。
また、借金ゼロの「ネットキャッシュ」状態でありながら高いROEを維持し、毎年1200億円規模のフリーキャッシュフローを生み出す財務体質は、機関投資家の目から見ても非常に魅力的です。
豊富な資金力は、今後のさらなる成長投資や手厚い株主還元への期待を抱かせます。
投資を検討する際は、財務データだけでなく「今、子供たちの間で何が流行っているのか」という身近な消費者目線を持つことが、同社の将来性を測る上で重要なカギとなるでしょう。
参考資料
※リンクは記事作成時点のものです。
著者
金融・経済YouTubeチャンネル「イズミダイズム」
「イズミダイズム」は、株式会社モニクルリサーチが運営する金融・経済YouTubeチャンネルです。フィデリティ投信や日本生命でポートフォリオマネージャーや証券アナリストとしての勤務経験のある元機関投資家の泉田良輔が、プロの視点で金融や経済に関する様々なニュースの解説や、資産形成に役立つトピックをお届けします。新NISAの開始やインフレを背景に、個人の資産運用への関心が高まる中、機関投資家と個人投資家の「視点の違い」や、経済ニュースの裏側にある「構造」をロジカルに解説します。(最新更新日:2026年1月30日)
監修者
株式会社モニクルリサーチ
代表取締役/日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)
株式会社モニクルリサーチ代表取締役。その他に株式会社モニクル取締役COO、株式会社モニクルフィナンシャル取締役COOも務める。東京科学大学大学院非常勤講師。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修了(同研究科最優秀賞受賞)
1. 経歴
2013年に株式会社ナビゲータープラットフォーム(現:株式会社モニクルリサーチ)を原田慎司(現同社取締役)らとともに共同創業。2013年に個人投資家向け金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、編集長に就任。Longineの立ち上げの経緯はBloombergにおいて「体力勝負アナリスト辞めます、元外資マン個人に長期投資指南」として掲載され大きな反響を呼ぶ。投資情報のサブスクモデルを確立する。その後、株初心者向けネットメディア「株1」、2015年にはくらしとお金の経済メディア「LIMO」の前身となる「投信1」を立ち上げる。
それ以前は、日本生命・国際投資部で外国株式ファンドマネージャー、フィデリティ投信・調査部や運用部にて10年に渡ってインターネット、電機(半導体・民生・産業エレクトロニクス)、機械(ロボットやセンサー企業中心)といったテクノロジーセクターの証券アナリストや中小型株ファンドのアシスタント・ポートフォリオ・マネージャー(最年少で就任)として従事。
2. 専門・研究領域
慶応義塾大学商学部卒業。国際金融及びコーポレート・ガバナンスを専攻。アジア通貨危機、昭和金融恐慌などの金融パニックのメカニズムを金融政策や金融機関への規制の観点から研究。それらの内容は「昭和金融恐慌からの教訓 平成恐慌になにをどう生かすべきか」(三田商学研究学生論文集)として発表。
3. 著書
・『機関投資家だけが知っている「予想」のいらない株式投資』(ダイヤモンド社)
・『テクノロジーがすべてを塗り変える産業地図』(クロスメディア・パブリッシング)
・『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)
・『Google vs トヨタ 「自動運転車」は始まりにすぎない』(KADOKAWA)
・『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)
4. 寄稿や講演他
「日経BizGate」での連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」や「現代ビジネス」、「東洋経済オンライン」、「プレジデント」などへの寄稿や対談も多数。対談記事例としては「【未来予想】ブロックチェーン革命が、「半沢直樹」の世界に終わりを告げる」や「【未来予想】アマゾンとビットコインが、次世代の「銀行」になる理由」(いずれもNewsPicks)、「米独に遅れる日本の自動運転、自動車も電機の二の舞に?」(週刊ダイヤモンド)。海外ジャーナリストからインタビューされることも多く、Financial TimesやThe Economist、Bloombergにおいて自動車や金融業界についての国内外産業動向コメントも発信している。
講演会や動画での情報発信も盛んに行っており、NewsPicksのTHE UPDATE、日経ビジネススクール、慶應丸の内キャンパス、慶應義塾SDM、アカデミーヒルズなどでも講義を行う。またNewsPicksのNewSchoolではプロジェクトリーダーとして「本当に初心者のための資産運用」を開催。
最終更新日:2026年2月21日