日本年金機構は2026年3月13日、国民年金保険料の「学生納付特例制度」について、4月以降はマイナポータルとねんきんネットを連携させることで、より手軽に申請が可能になると発表しました。
2026年度(令和8年度)の国民年金保険料は、前年度より引き上げられ月額1万7920円となります。年間に換算すると約21万5000円にのぼり、仕送りやアルバイトで生計を立てる学生にとって、気軽に支払える金額ではないでしょう。
この記事では、学生の経済的負担を軽減する「学生納付特例制度」に焦点を当て、申請方法から注意点までをわかりやすく解説します。
1. 【2026年度】国民年金保険料は月額1万7920円に決定。年間の負担額は?
日本に住んでいる20歳から60歳未満のすべての人が、国民年金に加入する義務を負っています。
しかし、その保険料は毎年見直されており、2026年度(令和8年度)の金額が以下の通り決定されました。
1.1 2025年度から2027年度までの国民年金保険料の推移
- 2025年度(令和7年度):月額1万7510円(前年度比+530円)
- 2026年度(令和8年度):月額1万7920円(前年度比+410円)
- 2027年度(令和9年度):月額1万8290円(前年度比+370円)
国民年金保険料の負担は決して軽いものではありません。学業や研究に専念しているため収入がない、あるいはアルバイト収入があっても生活費でほとんどなくなってしまうという学生も多いのではないでしょうか。
そのような学生のために、国は「学生納付特例制度」という救済策を用意しています。
2. 学生の年金保険料、支払えない場合の救済策「学生納付特例制度」とは
この制度は、所得が一定基準以下の学生が申請することで、在学期間中の国民年金保険料の納付を先送りにできる(猶予される)仕組みです。
2.1 「未納」と「猶予」は全く違う!知っておきたい制度上の大きな差
「どうせ支払えないのだから」と手続きをせずに保険料を未納のまま放置してしまうと、将来的に大きなリスクを背負うことになりかねません。
未納
保険料を納めていない状態のため、万が一、在学中に病気や事故で障害が残ってしまった場合に「障害基礎年金」を受け取ることができません。
猶予(特例承認)
保険料の納付はしていなくても、年金の加入期間としては扱われます。そのため、不慮の事態が起きた際には「障害基礎年金」や「遺族基礎年金」の受給資格を得ることが可能です。
また、将来受け取る「老齢基礎年金」の受給資格期間(最低10年)にも算入されます。ただし、猶予された分を後から納付(追納)しない限り、将来の年金額そのものは増えない点には注意が必要です。
3. 学生納付特例制度の対象者とは?所得や学校の種類に関する要件を解説
「学生納付特例制度」は多くの学生が利用できますが、対象となる要件を事前に確認しておきましょう。
3.1 対象となる所得基準は学生本人の収入で決まる
この制度は、親など家族の所得額に関わらず、学生本人の所得のみで判断されるのが特徴です。本人の所得が以下の計算式で算出される金額の範囲内であれば対象となります。
128万円 + 扶養親族等の数 × 38万円 + 社会保険料控除等
アルバイト収入の場合、給与所得控除(55万円)を差し引いた金額で計算するため、年収がおおむね「193万円以下」であれば対象になると考えてよいでしょう。
3.2 制度の対象となる学校の種類
- 大学(大学院)、短期大学
- 高等学校、中等教育学校
- 高等専門学校、専修学校
- 各種学校(修業年限が1年以上で、都道府県知事の認可を受けている学校)
- 夜間部、定時制課程、通信制課程も対象に含まれます
4. スマホで簡単!マイナポータルを使った学生納付特例の申請手順
かつて学生納付特例制度の申請は、市区町村の役所窓口に出向いたり、申請書を郵送したりする必要がありましたが、現在ではスマートフォン一台で手続きが完了します。
2026年3月13日に日本年金機構が発表した通り、マイナポータルとねんきんネットを連携させる方法が最もスムーズです。
4.1 具体的な申請の4ステップ
- マイナポータルへのログイン:スマートフォンでマイナンバーカードを読み取ります。
- 「ねんきんネット」との連携:初めて利用する場合は、連携設定が必要です。
- 申請メニューの選択:「国民年金保険料に関する手続き」の中から「学生納付特例」を選びます。
- 学生証のアップロード:スマートフォンのカメラで学生証を撮影し、画像を添付して送信します(裏面に有効期限の記載がある場合は両面の撮影が必要です)。
4.2 オンライン申請のメリット
- 基礎年金番号などが自動で入力されるので、記入ミスを防げます。
- 24時間いつでも、自宅など好きな場所から申請ができます。
- 申請後の承認結果もマイナポータル上で確認することが可能です。
5. 学生納付特例を申請する際の注意点:年度の切り替わり時期
学生納付特例制度は、年度ごと(4月から翌年3月まで)に申請が必要です。
- 継続して申請する場合:前年度に承認を受けており、新年度も引き続き在学する方には、日本年金機構から申請用のハガキが届くことがあります。このハガキを返送するだけでも手続きは可能ですが、スマートフォンでの申請の方がより確実です。
- さかのぼって申請する場合:「去年の申請を忘れていた」という場合でも、過去2年1カ月前までさかのぼって申請することができます。
【納付書が届いても、学生納付特例が承認されれば支払う必要はない】
20歳になった時や4月の年度替わりの時期には、手続きの行き違いで国民年金保険料の「納付書」が自宅に届くことがあります。
もし学生納付特例を申請している最中であれば、その納付書ですぐに支払わず、まずは申請結果の通知を待つようにしてください。
無事に承認されれば、その期間の納付は不要になるため、届いた納付書は破棄して問題ありません。
6. 猶予された保険料は卒業後に「追納」すべき?制度の仕組みとメリット
学生納付特例制度で猶予された期間の保険料は、将来受け取る年金額には反映されません。
この期間をそのままにしておくと、将来受け取る老齢基礎年金が満額よりも少なくなってしまいます。
そこで活用したいのが「追納」という制度です。
猶予された保険料は、10年以内であれば後から納めること(追納)が可能です。
社会人になり経済的に余裕ができてから、将来の自分のために少しずつ納めていくというイメージです。
追納した保険料の全額が、その年の所得から控除される「社会保険料控除」の対象となるため、所得税や住民税の負担を軽減できるメリットがあります。学生時代に無理に納めるよりも、就職後に追納する方が税制面で有利になることが多いのです。
7. まとめ:学生時代の年金保険料は特例制度を賢く活用しよう
2026年度の国民年金保険料は、前年度から410円上がり、月額1万7920円となります。
学生には、この支払いを法律に基づいて待ってもらえる「学生納付特例」という権利があります。
この制度を申請して承認を受ければ、万が一の際の「障害年金」というセーフティネットを確保しつつ、将来の年金の受給資格期間も守ることができます。
マイナポータルを利用すれば、申請は数分の作業で完了します。ぜひ早めに手続きを済ませて、安心して学生生活を送りましょう。
7.1 【参考】国民年金保険料のこれまでの推移
※再編集記事
参考資料
- 日本年金機構「【令和8年4月1日発送】令和8年度の国民年金保険料納付書をお送りします」
- 日本年金機構「国民年金保険料の変遷」
- 日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」
- 日本年金機構「マイナポータルとねんきんネットの連携で4月以降の学生納付特例がお手軽に申請できます」
- 日本年金機構「学生納付特例制度のポイント」
- LIMO「【国民年金保険料】2026年度は「月額1万7920円」に!学生なら「学生納付特例制度」で納付が猶予される?!《スマホで申請可能》」
和田 直子