総務省が6月5日に公表した「家計調査報告(二人以上の世帯)2026年(令和8年)4月分」によれば、勤労者世帯の実収入は1世帯当たり61万2163円となり、実質で前年同月比2.4%の増加となったことが分かりました。
足元の収入事情に関心が向く一方で、これからのセカンドライフを考える上で、公的年金は家計の大きな支えになるものです。
「自分は将来いくら年金を受け取れるのだろう」「周りの同世代はどのくらいもらっているの?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
日々メディアの編集部でお金や年金に関する動向を見つめる筆者の立場からも、世間のリアルな受給額を知っておくことは、将来への非常に有益な判断材料になると感じています。
この記事では、公的なデータに基づき、60歳代から90歳以上までの厚生年金と国民年金の平均受給額を、年齢別にわかりやすく一覧表でご紹介します。ご自身の状況と照らし合わせながら、今後のライフプランを考えるきっかけとして、ぜひ最後までご覧ください。
1. 日本の公的年金制度の基本構造を解説
まずは年金のしくみについて解説します。
公的年金は、基礎部分となる「国民年金」と上乗せ部分にあたる「厚生年金」から成り立つ、いわゆる2階建て構造です。下の図をイメージするとわかりやすいでしょう。
下にある国民年金には、原則として「国内在住の20歳以上60歳未満の全ての人」が加入します。ちなみに、国民年金保険料(※1)は全員一律です。
上乗せとなる厚生年金には、企業や官公庁などで働く人たちが加入しますす。毎月の給与や賞与に応じた年金保険料(※2)を納めるため、個人差があるのが特徴です。
では、将来もらえる「年金額」はどのように決まるのでしょうか。
まず国民年金の場合、国民年金保険料を全期間(480月)納めれば、65歳以降で満額(※3)の老齢基礎年金を受け取ることができます。逆に未納期間等があった場合は、その月数に応じて満額から差し引かれるしくみです。
厚生年金の場合、「年金加入月数」と「納めた保険料」に応じた老齢厚生年金額が決まります。一般的には長く働いた人、たくさん稼いだ人が多くの年金をもらえることになります。
※1 国民年金保険料:2026年度は月額1万7920円
※2 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
※3 国民年金の満額:2026年度は月額7万608円
2. 【年齢別】厚生年金の平均受給月額一覧(60歳~90歳以上)
厚生労働省年金局が発表した「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」のデータをもとに、年齢1歳刻みにおける「平均年金月額」を一覧表でご紹介します。
まずは厚生年金(国民年金部分を含む)の平均年金月額を見ていきましょう。年齢による違いはあるのでしょうか。
2.1 60歳代(60~69歳)における厚生年金の平均月額
- 60歳:9万9664円
- 61歳:10万4455円
- 62歳:10万9323円
- 63歳:6万8758円
- 64歳:8万3901円
- 65歳:14万9862円
- 66歳:15万2378円
- 67歳:15万2356円
- 68歳:15万2709円
- 69歳:15万1284円
※65歳未満の厚生年金受給者は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢が引き上げられたため、報酬比例部分のみ受給している方も含みます
2.2 70歳代(70~79歳)における厚生年金の平均月額
- 70歳:15万455円
- 71歳:14万8371円
- 72歳:14万6858円
- 73歳:14万5583円
- 74歳:14万7774円
- 75歳:15万1410円
- 76歳:15万1241円
- 77歳:15万962円
- 78歳:15万862円
- 79歳:15万3115円
2.3 80歳代(80~89歳)における厚生年金の平均月額
- 80歳:15万3729円
- 81歳:15万5460円
- 82歳:15万7744円
- 83歳:15万9994円
- 84歳:16万2555円
- 85歳:16万3947円
- 86歳:16万5577円
- 87歳:16万5557円
- 88歳:16万6200円
- 89歳:16万6767円
2.4 90歳以上における厚生年金の平均月額
- 90歳以上:16万4027円
標準的な年金受給開始年齢は65歳となっていますが、65歳以降の各年齢で受け取れる厚生年金の平均年金月額を見ると、14万円~16万円台であることがわかりました。
年齢があがるほどに、ゆるやかに平均額が上昇する傾向があります。
3. 【年齢別】国民年金の平均受給月額一覧(60歳~90歳以上)
本章では国民年金(老齢基礎年金)について、各年齢で受給できる平均年金月額を見ていきます。年齢による違いはあるのでしょうか。
3.1 60歳代(60~69歳)における国民年金の平均月額
- 60歳:4万5186円
- 61歳:4万6371円
- 62歳:4万7784円
- 63歳:4万7258円
- 64歳:4万7896円
- 65歳:6万1240円
- 66歳:6万1369円
- 67歳:6万1345円
- 68歳:6万1293円
- 69歳:6万978円
※65歳未満の国民年金(老齢基礎年金)受給者は繰上げ受給を選択した方。
3.2 70歳代(70~79歳)における国民年金の平均月額
- 70歳:6万1011円
- 71歳:6万770円
- 72歳:6万234円
- 73歳:6万32円
- 74歳:5万9813円
- 75歳:5万9659円
- 76歳:5万9555円
- 77歳:5万9349円
- 78歳:5万9124円
- 79歳:5万8676円
3.3 80歳代(80~89歳)における国民年金の平均月額
- 80歳:5万8623円
- 81歳:5万8269円
- 82歳:5万8003円
- 83歳:5万7857円
- 84歳:5万9675円
- 85歳:5万9425円
- 86歳:5万9228円
- 87歳:5万9204円
- 88歳:5万8756円
- 89歳:5万8572円
3.4 90歳以上における国民年金の平均月額
- 90歳以上:5万5633円
一般的に年金受給開始となる65歳以降の場合、国民年金(老齢基礎年金)の平均年金月額は5万円~6万円台となりました。
4. 厚生年金と国民年金における受給額の個人差について
老齢年金の受給額は、現役当時の年金加入状況により個人差が生じます。
厚生年金と国民年金の平均月額をみたのちに、受給額ごとの人数も見ることで、その個人差がどれほどかを見ていきましょう。
4.1 厚生年金受給額の個人差と分布
- 〈全体〉平均年金月額:15万289円
- 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
- 〈女性〉平均年金月額:11万1413円
※国民年金の金額を含む
受給額の分布状況(1万円ごと)
- ~1万円:4万3399人
- 1万円以上~2万円未満:1万4137人
- 2万円以上~3万円未満:3万5397人
- 3万円以上~4万円未満:6万8210人
- 4万円以上~5万円未満:7万6692人
- 5万円以上~6万円未満:10万8447人
- 6万円以上~7万円未満:31万5106人
- 7万円以上~8万円未満:57万8950人
- 8万円以上~9万円未満:80万2179人
- 9万円以上~10万円未満:101万1457人
- 10万円以上~11万円未満:111万2828人
- 11万円以上~12万円未満:107万1485人
- 12万円以上~13万円未満:97万9155人
- 13万円以上~14万円未満:92万3506人
- 14万円以上~15万円未満:92万9264人
- 15万円以上~16万円未満:96万5035人
- 16万円以上~17万円未満:100万1322人
- 17万円以上~18万円未満:103万1951人
- 18万円以上~19万円未満:102万6888人
- 19万円以上~20万円未満:96万2615人
- 20万円以上~21万円未満:85万3591人
- 21万円以上~22万円未満:70万4633人
- 22万円以上~23万円未満:52万3958人
- 23万円以上~24万円未満:35万4人
- 24万円以上~25万円未満:23万211人
- 25万円以上~26万円未満:15万796人
- 26万円以上~27万円未満:9万4667人
- 27万円以上~28万円未満:5万5083人
- 28万円以上~29万円未満:3万289人
- 29万円以上~30万円未満:1万5158人
- 30万円以上~:1万9283人
月額1万円未満から30万円以上と、幅広い受給額に分布していることがわかります。
4.2 国民年金受給額の個人差と分布
- 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
- 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
- 〈女性〉平均年金月額:5万7582円
受給額の分布状況(1万円ごと)
- 1万円未満:5万1828人
- 1万円以上~2万円未満:21万3583人
- 2万円以上~3万円未満:68万4559人
- 3万円以上~4万円未満:206万1539人
- 4万円以上~5万円未満:388万83人
- 5万円以上~6万円未満:641万228人
- 6万円以上~7万円未満:1715万5059人
- 7万円以上~:299万7738人
国民年金の平均年金月額は全体で5万円台となりました。男性は6万円台、女性は5万円台と、ほんのわずかですが男女差が見られます。
ボリュームゾーンを見ると、多くの人が満額に近い年金額を受け取っていることがわかります。
厚生年金ほどではありませんが、国民年金においても月額1万円未満~7万円以上と個人差がみられます。
5. 高齢者世帯の平均所得と収入の内訳
高齢者世帯の「1世帯あたりの平均所得金額」を見ていきましょう。厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」という資料を参考にします。
なお、資料内における高齢者世帯とは「65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯」と定義されます。
5.1 高齢者世帯における平均所得額
資料によると、高齢者世帯の総所得は314万8000円 です。総所得に占める金額や割合も見ていきましょう。
5.2 高齢者世帯の所得構成
- 稼働所得:79万7000円(25.3%)
- うち雇用者所得(※):66万5000円(21.1%)
- 公的年金・恩給:200万円(63.5%)
- 財産所得:14万4000円 (4.6%)
- 公的年金・恩給以外の社会保障給付金:1万8000円 (0.6%)
- 仕送り・企業年金・個人年金等・その他の所得18万9000円(6.0%)
月額に換算すると約26万円の所得のうち、3分の2となる約16万6000円が「公的年金」となります。次いで約5万5000円の「雇用者所得」が続きます。
高齢者世帯の生計が公的年金をベースとしながら、主に仕事による収入で補われている様子がうかがえます。
※雇用者所得:世帯員が勤め先から支払いを受けた給料・賃金・賞与の合計金額で、税金や社会保険料を含む
6. 国民年金の受給額を増やす「付加年金」とは
働き方の多様化する中で、厚生年金に加入しないフリーランスや自営業の方なども増えています。
一方で、国民年金しか受け取れないとなると、老後の年金が少なくなる傾向にあります。
国民年金の受給額を増やす方法のうち、今回は「付加保険料の納付」について解説します。
付加年金とは、「付加保険料(月額400円)」を定額の国民年金保険料(2026年度は1万7920円)に上乗せで支払うことで、将来の年金額を増やすことができるしくみです。
6.1 付加保険料を納付できる対象者
- 国民年金第1号被保険者
- 65歳未満の任意加入被保険者
6.2 付加保険料を納付できない対象者
- 国民年金保険料の納付を免除されている人(法定免除、全額免除、一部免除、納付猶予、または学生納付特例)
- 国民年金基金の加入員である人
個人型確定拠出年金(iDeCo)と付加年金には、同時に加入することができます。ただし、個人型確定拠出年金の納付額によっては併用ができない場合もあるので注意が必要です。
6.3 付加保険料を40年間納付した場合のシミュレーション
20歳から60歳の40年間、付加保険料を納付したとしましょう。
65歳以降に受け取れる「付加年金額」は「200円×付加保険料納付月数」で試算できます。
- 40年間に納付した付加保険料の総額:19万2000円(400円×480カ月)
- 65歳以降に受け取れる付加年金額(年間):9万6000円(200円×480カ月)
40年間に納付した付加保険料は19万2000円。毎年の年金受給額に9万6000円が上乗せされることから、2年で元が取れる計算です。
7. まとめ
今回は、60歳代から90歳以上までの年齢別に、厚生年金と国民年金の平均的な受給月額をデータで確認しました。
厚生年金は月額14万円~16万円台、国民年金は5万円~6万円台がひとつの目安となることがお分かりいただけたかと思います。
ただし、これらの金額はあくまで平均値であり、年金の受給額は現役時代の働き方や加入期間によって一人ひとり大きく異なります。
平均額との比較だけでなく、ご自身の「ねんきん定期便」などで正確な見込み額を把握することが大切です。
また、記事の後半でご紹介した「付加年金」のように、将来の受給額を増やすための制度もありますので、ご自身のライフプランに合わせて利用できる制度を調べてみてはいかがでしょうか。
これからの人生をより豊かに過ごすために、この記事がご自身の年金について改めて考える一助となれば幸いです。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」
- 日本年金機構「国民年金付加年金制度のお知らせ」
- 総務省「家計調査報告(二人以上の世帯)2026年(令和8年)4月分」
中本 智恵