2026年度から「子ども・子育て支援金」の徴収が始まることで、後期高齢者医療制度に加入する高齢者にとっても、新たな負担への関心が高まりそうです。

子育て支援の財源を医療保険の仕組みを通じて広く負担する制度であり、現役世代だけでなく高齢者も対象に含まれる点が大きな特徴です。

一方で、後期高齢者医療制度そのものも、所得に応じて医療費の窓口負担割合が変わる仕組みとなっており、保険料や自己負担の考え方を改めて確認しておきたい局面です。

新たな支援金の負担が加わるからこそ、自分がどの制度に加入し、どのような基準で負担額が決まるのかを整理しておくことが大切でしょう。

本記事では、2026年度から始まる子ども・子育て支援金の概要を確認したうえで、後期高齢者医療制度の仕組みや窓口負担割合の考え方を分かりやすく見ていきます。

制度変更が家計にどう関わるのか、押さえておきたいポイントを整理しましょう。

1. 2026年度から徴収開始の「子ども・子育て支援金」とは?

2026年度から始まる「子ども・子育て支援金」は、医療保険の仕組みを使って集める新たな負担で、集めた財源は児童手当の拡充や妊婦支援、育休関連給付、こども誰でも通園制度などの財源に充てられます。

こども家庭庁は、「こどもや子育て世帯を社会全体で支える制度」と位置づけています。

「子ども・子育て支援金制度」では、日本国内の公的医療保険に加入しているすべての人が、原則として支援金の負担対象となります。

  • 会社員や公務員などの被用者保険加入者(協会けんぽ・組合健保・共済組合など)
  • 自営業者やフリーランスなどの国民健康保険加入者
  • 75歳以上の高齢者で、後期高齢者医療制度に加入している方

つまり、現役世代だけでなく高齢者も一部負担する仕組みとなっており、「世代を超えて支え合う」という全世代型社会保障の理念が制度に反映されています。

1.1 「子ども・子育て支援金」の負担額はどのくらい?

令和8年度の支援金額(試算)1/4

令和8年度の支援金額(試算)

出所:こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度について」

1.2 【2026年度の支援金額の推計(平均月額)】

  • 健保組合:被保険者一人当たり 約550円
  • 国民健康保険:一世帯当たり 約300円
  • 後期高齢者医療制度:被保険者一人当たり 約200円

後期高齢者の場合、月額約200円が目安とされていますが、実際には年収によって負担額に差が生じます。

1.3 後期高齢者1人あたりの負担額はいくら? 

こども家庭庁によると、後期高齢者1人あたり(単身世帯・年金金収入のみ)の負担額は、以下のようになっています。

年収別の支援金額の試算(令和8年度)2/4

年収別の支援金額の試算(令和8年度)

出所:こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度について」

  • 年収80万円の場合:月額 50円
  • 年収100万円の場合:月額 50円
  • 年収125万円の場合:月額 50円
  • 年収150万円の場合:月額 50円
  • 年収175万円の場合:月額 100円
  • 年収200万円の場合:月額 200円

上記のとおり、年収に応じて月額50円~200円が目安とされています。

表面上の月額は小さく見えても、社会全体では確実に負担が積み上がっている点を理解しておくことが大切です。

2. そもそも「後期高齢者医療制度」とは?

「後期高齢者医療制度」は、2008年に創設された、75歳以上の高齢者を対象とした公的医療保険制度です。

制度が導入される以前は、高齢者も国民健康保険や被用者保険(協会けんぽ・健康保険組合など)に加入していました。

しかし、人口の高齢化が進むなかで、医療費の急増と財政負担の不均衡が深刻化。

現役世代と高齢者の間で公平な負担を保ちながら、制度を安定的に運営することが難しくなっていました。

こうした課題を解決するために、高齢者専用の独立した医療制度として新たに設けられたのが「後期高齢者医療制度」です。

日本に住民票がある方は、75歳の誕生日を迎えると自動的に後期高齢者医療制度へ移行します。

個別の申請手続きは不要で、お住まいの市区町村から「後期高齢者医療被保険者証(保険証)」が郵送で届きます。

また、65歳以上で一定の障害がある場合には、本人の申請によって75歳未満でも加入できる特例(障害認定による特例加入)も設けられています。

3. 【後期高齢者医療制度】窓口負担割合は所得に応じて「1割・2割・3割」

後期高齢者医療制度では、75歳以上の被保険者(または65~74歳で一定の障害があると認定された方)の医療費の自己負担割合は、所得に応じて1割・2割・3割のいずれかが適用されます。

3.1 一般所得者等:1割

下記の2割、3割に該当しない場合

3.2 一定以上所得のある人:2割

次の①と②の両方に該当する場合

①同じ世帯の被保険者の中に課税所得が28万円以上の方がいる。

②同じ世帯の被保険者の「年金収入」+「その他の合計所得金額」の合計額が以下に該当する。

  • 1人の場合は200万円以上
  • 2人以上の場合は合計320万円以上

3.3 現役並み所得者:3割

同じ世帯の被保険者の中に課税所得が145万円以上の方がいる場合

上記に加えて、以下の収入等の要件を満す人。

  • 世帯内に被保険者が1人の場合:被保険者の収入金額の合計が383万円以上
  • 世帯内に被保険者が2人以上の場合:被保険者全員の収入金額の合計が520万円以上
  • 世帯内に被保険者が1人で、かつ70歳以上75歳未満の人がいる場合:被保険者と70歳以上75歳未満の人の収入金額の合計が520万円以上

政府広報オンラインの資料から、自分の窓口負担割合を確認してみましょう。

4. まとめ

2026年度から始まる子ども・子育て支援金は、医療保険の仕組みを通じて幅広い世代が負担する制度で、後期高齢者医療制度の加入者も対象に含まれます。

後期高齢者の負担額は年収に応じて異なりますが、月額50円〜200円程度が目安とされており、高齢者にとっても新たな家計負担として意識しておきたい内容です。

また、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度では、医療費の窓口負担割合が所得に応じて1割・2割・3割に分かれています。

保険料だけでなく、受診時の自己負担も収入水準によって変わるため、自分がどの区分に当てはまるのかを把握しておくことが重要です。

新たな支援金の徴収が始まる今こそ、後期高齢者医療制度の仕組みや負担の基準をあらためて確認し、家計への影響を見通しておきましょう。

制度の全体像を理解しておくことで、老後の生活設計にも役立てやすくなります。

参考資料

加藤 聖人