相場の催促が効き始めた1週間

先週(1月18日‐1月22日)の世界の主要株式市場では、欧米の株式市場が反発しました。週央までは下落相場が続きましたが、週末に向け世界的に株式市場は値を戻しています。年初来で見ると、TOPIXはまだ週次ベースで続落していますが、欧米は初めて週次で上昇しました。

前回(1月17日)の記事で、現在の相場は各国当局の政策対応を促す「催促相場」であると述べましたが、その催促に応えたのは欧州中央銀行(ECB)でした。金融政策は据え置かれましたが、3月の理事会では追加金融緩和を検討するというメッセージが出て、株価反発のきっかけになっています。日銀の追加緩和への期待も高まっています。

これと関連して、市場のセンチメントに影響を与えたのは原油価格の反発です。一部で原油価格の見通しに楽観論が出始めていたところに、欧州の金融緩和期待や北米などでの寒波到来が重なっています。

しかし実態経済を見ると警戒すべきシグナルが続いています。中国のマクロ指標は引き続き減速基調にありますし、IMFの経済見通しでも米国と新興国の成長率が引き下げられました。海外企業を中心に決算発表が続いていますが、新興国やエネルギー関連、スマホ関連で注意すべき材料が見られます。

先週の主要市場の動き

注:現地通貨ベース、為替は円安が+、円高が‐表示

年初来の主要市場の動き 

注:現地通貨ベース、為替は円安が+、円高が‐表示

日米の金融政策と内外企業の決算、両にらみの1週間に

今週(1月25日‐1月29日)は、海外企業の決算発表のピークと日本企業の決算本格化が重なるうえ、日米の金融政策を待つ重要な1週間になります。

催促相場に促されるように欧州中央銀行は今後の追加緩和策に含みを持たせて市場は落ち着きを取り戻しましたが、バトンは日本と米国の中央銀行に渡されました。米国のFOMC(26、27日)と日銀の金融政策決定会合(28、29日)が最大の注目材料です。ただし米国については次の利上げが1月に行われるという可能性は低いと見られます。どちらかといえば、今後の金利引き上げのペースについてどんな見解が示されるのかが注目です。

海外企業の決算が続きますが、今週はアップル、フェイスブック、アマゾン、アリババなどに注目が集まるでしょう。こうした企業の成長期待に市場参加者が乗れるかどうかで、参加者のセンチメントが変わると思われます。

日本でも、三井住友フィナンシャルグループ(8316)、キヤノン(7739)、ファナック(6954)、信越化学(4063)、本田技研工業(7267)、NTTドコモ(9437)、ソニー(6758)、村田製作所(6981)、小松製作所(6301)など主力企業の決算が出ます。新興国の景気変調、原油安、円安一服、スマホ需要の一服などの環境の変化の中で、来季に向けてしっかりした利益成長のストーリーが見えはじめるかがポイントになりそうです。

【2016年1月24日 投信1編集部】

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LIMO編集部