日差しに春の訪れを感じる3月となりました。新年度を前に、生活費について考える機会も増えるのではないでしょうか。
公的年金を受給している方のうち、年金に加えて給付金を受け取れる「年金生活者支援給付金」という制度があることをご存じでしょうか。
この制度は、所得が一定の基準額を下回る方々の生活を支えることを目的としています。
この記事では、年金生活者支援給付金がどのような制度なのか、ご自身が対象になるかの確認方法、具体的な給付額や手続きの流れについて、わかりやすく解説していきます。
大切な制度を見逃さないためにも、ぜひ最後までご覧ください。
1. 【年金の上乗せ】年金生活者支援給付金とは?制度の概要と3種類を解説
年金生活者支援給付金制度は、年金受給者の生活をサポートする目的で2019年にスタートしました。
この制度は、受給要件を満たす方に対して、2カ月に1度、公的年金の支給日に合わせて年金生活者支援給付金を支給する仕組みです。
年金生活者支援給付金は、受給している基礎年金の種類に応じて「老齢年金生活者支援給付金」「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」という3つのカテゴリーに分けられます。
それぞれの給付金に定められた所得などの要件を満たす基礎年金の受給者が、支給の対象となります。
2. 年金生活者支援給付金の種類別!具体的な支給要件をチェック
基礎年金を受給している方のうち、年金を含む収入や所得の合計額が一定の基準を下回る場合に「年金生活者支援給付金」が支給される可能性があります。
この章では、3つの種類ごとに具体的な支給要件を詳しく見ていきましょう。
2.1 老齢年金生活者支援給付金の支給対象となる条件
老齢年金生活者支援給付金は、以下のすべての要件を満たす方が対象です。
- 65歳以上で老齢基礎年金を受給している
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税である
- 前年の公的年金などの収入金額(※1)とその他の所得の合計額が、昭和31年4月2日以降生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は80万6700円以下である(※2)
※1 障害年金や遺族年金などの非課税収入は含まれません。
※2 昭和31年4月2日以降に生まれた方で合計額が80万9000円を超え90万9000円以下の方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で合計額が80万6700円を超え90万6700円以下の方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
2.2 障害年金生活者支援給付金の支給対象となる条件
障害年金生活者支援給付金を受け取るためには、以下の両方の支給要件を満たす必要があります。
- 障害基礎年金の受給者である
- 前年の所得(※)が479万4000円以下である(扶養親族の人数に応じて増額)
※ 障害年金などの非課税収入は所得に計上されません。
2.3 遺族年金生活者支援給付金の支給対象となる条件
遺族年金生活者支援給付金は、次のすべての支給要件を満たしている場合に支給対象となります。
- 遺族基礎年金の受給者である
- 前年の所得(※)が479万4000円以下である(扶養親族の人数に応じて増額)
※ 遺族年金などの非課税収入は所得に計上されません。
3. 年金生活者支援給付金の平均月額はいくら?【2025年3月時点】
厚生労働省が公表している「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を基に、実際に支給された年金生活者支援給付金の平均月額を見てみましょう。
2025年3月時点のデータによると、平均給付月額(※)は、老齢年金生活者支援給付金が4146円、障害年金生活者支援給付金が5727円、遺族年金生活者支援給付金が5228円となっています。
※2025年3月時点で認定されている方の平均給付金額です。
さらに、年齢別の平均額についても詳しく確認します。
3.1 【年齢別】老齢年金生活者支援給付金の平均受給額
- 70歳未満:4905円(43万9628件)
- 70~74歳:4374円(56万1362件)
- 75~79歳:4092円(85万9446件)
- 80~84歳:3936円(95万453件)
- 85~89歳:3989円(82万8270件)
- 90歳以上:4045円(86万5282件)
3.2 【年齢別】障害年金生活者支援給付金の平均受給額
- 30歳未満:5692円(26万6276件)
- 30~39歳:5668円(31万6202件)
- 40~49歳:5655円(37万1772件)
- 50~59歳:5671円(46万8876件)
- 60~69歳:5749円(38万4626件)
- 70~79歳:5880円(26万4423件)
- 80歳以上:6033円(10万4991件)
3.3 【年齢別】遺族年金生活者支援給付金の平均受給額
- 20歳未満:4190円(5687件)
- 20~29歳:5310円(529件)
- 30~39歳:5310円(7881件)
- 40~49歳:5310円(3万4072件)
- 50~59歳:5310円(2万7828件)
- 60歳以上:5310円(1710件)
4. 年金生活者支援給付金を受け取るには?請求手続きの方法
この章では、年金生活者支援給付金を受け取るための請求手続きについてご説明します。
すでに公的年金を受給している方で、新たに給付金の支給対象となった場合、日本年金機構から請求書を兼ねた案内が送付されます。
4.1 手続きの流れ:すでに基礎年金を受給している場合
- 毎年9月の第1営業日以降に、「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送されます。
- 2025年1月以降に65歳になり、日本年金機構からこのはがき型の請求書が届いた方は、電子申請も利用できます。
- 電子申請を利用しない場合は、請求書に必要事項を記入し、切手を貼付して郵送で提出します。
なお、支給要件に該当するかどうか確認できない方には、「年金生活者支援給付金請求書(A4型)」と「所得情報等を確認するための所得状況届」が送られます。
次に、これから年金を請求する方の手続きについて見ていきましょう。
4.2 手続きの流れ:これから老齢基礎年金を請求する場合
- 65歳になる3カ月前に送付される「年金請求書(事前送付用)」に、給付金の請求書が同封されています。
- 必要事項を記入し、年金の受給を開始する年齢の誕生日前日以降に、年金請求書とあわせて年金事務所に提出します。
※障害または遺族年金生活者支援給付金の対象者で、初めて基礎年金を請求する方には、給付金の請求書は自動で送付されません。年金の請求手続きと同時に、ご自身で年金事務所や市区町村の窓口にて給付金の請求手続きを行う必要があります。
4.3 年金生活者支援給付金はいつ支給される?
年金生活者支援給付金は、公的年金と同じく偶数月の15日に支払われます。15日が土日や祝日の場合は、その直前の金融機関営業日に前倒しで支給されます。
例えば、2月に支給されるのは前年の12月分と1月分の2カ月分です。
年金の受取口座と同じ口座に支給されますが、通帳には年金とは別に記帳されます。
5. 年金のみで生活する高齢者世帯の割合は?国民生活基礎調査から見る実態
年金収入だけで生活している高齢者世帯は、実はそれほど多くないのが現状です。
厚生労働省が公表した「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、高齢者世帯の中で、公的年金・恩給が総所得のすべてを占める世帯の割合は43.4%でした。
- 公的年金・恩給が総所得に占める割合が100%の世帯:43.4%
- 公的年金・恩給が総所得に占める割合が80~100%未満の世帯:16.4%
- 公的年金・恩給が総所得に占める割合が60~80%未満の世帯:15.2%
- 公的年金・恩給が総所得に占める割合が40~60%未満の世帯:12.9%
- 公的年金・恩給が総所得に占める割合が20~40%未満の世帯:8.2%
- 公的年金・恩給が総所得に占める割合が20%未満の世帯:4.0%
このデータからは、残りの56.6%の高齢者世帯が、公的年金や恩給以外の所得で生活費を補っていることが読み取れます。
公的年金だけで生活するのが厳しい可能性も踏まえ、早めに老後の生活設計を立てることが重要といえるでしょう。
6. まとめ
この記事では、年金生活者支援給付金について、制度の仕組みから対象者の条件、具体的な金額や手続き方法まで詳しく解説しました。
ご自身の状況が支給要件に該当するかどうか、改めて確認する良い機会になったのではないでしょうか。
この給付金は、自動的に支給が開始されるわけではなく、多くの場合、日本年金機構から送付される請求書を提出する必要があります。
大切なお知らせを見逃さないよう、日頃から郵便物には注意を払うことが大切です。
公的年金だけでは生活が厳しいと感じる方も少なくない中で、このような支援制度を正しく理解し活用することが、安心して暮らすための第一歩になるでしょう。
今後の生活設計を考える上で、ぜひ参考にしてみてください。
※当記事は再編集記事です。
参考資料
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
- 日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」
- 日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ」
- 厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」II 各種世帯の所得等の状況
- LIMO「【年金生活者支援給付金】2月13日の年金支給日に「ひとり1万900円」上乗せの対象者とは?対象条件と申請手続きの流れをわかりやすく解説」
マネー編集部年金班