4月15日は年金の支給日であり、自分の受給額を改めて確認するタイミングでもあります。「厚生年金で月30万円以上もらっている人はどれくらいいるのか」と気になる方も多いのではないでしょうか。
実際にそれを受け取れる人は厚生年金受給者全体の0.12%にすぎません。
国民年金・厚生年金それぞれの年齢別平均受給額を令和6年度の公式データで確認しながら、自分の老後収入の現実的な見通しを立てるための知識を整理していきましょう。
1. 厚生年金「月30万円以上」はわずか0.12%の現実
厚生年金の受給額は、現役時代の収入と加入期間に比例します。つまり、長く働いて高い給与を得るほど、老後に受け取れる年金も増える仕組みです。
では実際のところ、どのくらいの人がいくら受け取っているのでしょうか。厚生労働省の令和6年度データをもとに見ていきます。
受給額の分布を大まかに整理すると、実態が浮かび上がってきます。
- 月10万円以上:81.0%(受給者の大多数)
- 月15万円以上:49.8%(約2人に1人)
- 月20万円以上:18.8%(5人に1人以下)
- 月30万円以上:0.12%(1000人に1〜2人)
「老後は年金で月30万円」というイメージを持つ方もいますが、実際にそれを受け取れるのは1000人中1〜2人というごく少数です。長期間にわたって高収入を維持してきた方でなければ、なかなか届かない水準といえます。
自分が将来いくら受け取れるかは、ねんきんネットや毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」で確認できます。50歳以上になると、現在の加入状況が続いた場合の見込み額が記載されるため、老後の収支計画を立てる際の参考にしましょう。
2. 国民年金はいくらもらえる?年齢別の平均受給額
国民年金は、自営業者や専業主婦(夫)など、すべての国民が加入する年金制度の基礎部分です。年齢別の平均受給額から、国民年金の実態を見ていきましょう。
2.1 【60歳代(60〜69歳)】国民年金の年金月額一覧表
- 60歳:4万5186円
- 61歳:4万6371円
- 62歳:4万7784円
- 63歳:4万7258円
- 64歳:4万7896円
- 65歳:6万1240円
- 66歳:6万1369円
- 67歳:6万1345円
- 68歳:6万1293円
- 69歳:6万978円
2.2 【70歳代(70〜79歳)】国民年金の年金月額一覧表
- 70歳:6万1011円
- 71歳:6万770円
- 72歳:6万234円
- 73歳:6万32円
- 74歳:5万9813円
- 75歳:5万9659円
- 76歳:5万9555円
- 77歳:5万9349円
- 78歳:5万9124円
- 79歳:5万8676円
2.3 【80歳代(80〜89歳)】国民年金の年金月額一覧表
- 80歳:5万8623円
- 81歳:5万8269円
- 82歳:5万8003円
- 83歳:5万7857円
- 84歳:5万9675円
- 85歳:5万9425円
- 86歳:5万9228円
- 87歳:5万9204円
- 88歳:5万8756円
- 89歳:5万8572円
70歳代以降は、年齢が上がるにつれて受給額がじわじわと下がる傾向があります。
国民年金の未納期間がある方は、60歳以降も任意加入することで受給額を増やせる場合があります。
また、付加保険料(月400円)を上乗せ納付すると、将来の受給額を増やせる「付加年金」も活用できます。
3. 厚生年金の平均はいくら?60〜89歳の年齢別データ
会社員や公務員が受け取る厚生年金は、国民年金に比べて受給額の個人差が大きく、現役時代の働き方がそのまま反映されます。
3.1 【60歳代(60〜69歳)】厚生年金の年金月額一覧表
- 60歳:9万9664円
- 61歳:10万4455円
- 62歳:10万9323円
- 63歳:6万8758円
- 64歳:8万3901円
- 65歳:14万9862円
- 66歳:15万2378円
- 67歳:15万2356円
- 68歳:15万2709円
- 69歳:15万1284円
3.2 【70歳代(70〜79歳)】厚生年金の年金月額一覧表
- 70歳:15万455円
- 71歳:14万8371円
- 72歳:14万6858円
- 73歳:14万5583円
- 74歳:14万7774円
- 75歳:15万1410円
- 76歳:15万1241円
- 77歳:15万962円
- 78歳:15万862円
- 79歳:15万3115円
3.3 【80歳代(80〜89歳)】厚生年金の年金月額一覧表
- 80歳:15万3729円
- 81歳:15万5460円
- 82歳:15万7744円
- 83歳:15万9994円
- 84歳:16万2555円
- 85歳:16万3947円
- 86歳:16万5577円
- 87歳:16万5557円
- 88歳:16万6200円
- 89歳:16万6767円
国民年金とは対照的に、厚生年金は80歳代になるほど受給額が増える傾向にあります。これは、現役時代の賃金水準が高く、長期間にわたって加入していた方が高齢層に多いためと考えられます。
厚生年金は「長く・多く働くほど増える」制度です。65歳以降も厚生年金に加入しながら働くことで受給額を積み増せる「在職定時改定」の仕組みもあります。定年後の再雇用やパートタイム勤務を検討する際は、年金への影響もあわせて確認しておくとよいでしょう。
4. 月30万円超を受け取るには現役時代にどれだけ稼ぐ必要があるのか
厚生年金の受給額は、現役時代の「平均標準報酬額」と「加入期間」によって決まります。
おおまかな目安として、月額30万円超(夫婦合算ではなく個人)を65歳から受け取るには、平均年収700〜800万円水準で40年以上厚生年金に加入していることが一つの条件となります。
これは会社員全体の上位数%に相当し、決して一般的なケースではありません。
現実的には、夫婦2人の合算で30万円を超えるケースのほうがはるかに多いです。共働きで2人ともフルタイム正社員として長期間勤めた世帯であれば、合計で月25〜30万円台に届くことも十分あり得ます。
「高額受給」を目指すより、夫婦それぞれが厚生年金に長く加入し続けることが、現実的な年金最大化の方法といえるでしょう。
5. 平均との比較で見える老後資金の備え方
厚生年金で月30万円以上を受け取る人はごく一部です。多くの人は平均的な受給額の範囲に収まっており、「思っていたより少ない」と感じるケースも少なくありません。
だからこそ重要なのは、自分の年金額が平均と比べてどの位置にあるのかを把握することです。
令和6年度のデータからも、年齢ごとの受給水準には一定の傾向があり、自身の将来像をイメージする材料になります。
4月15日の支給タイミングにあわせて、自分の受給額や見込み額を確認し、不足が見込まれる場合は早めに対策を検討することが大切です。現実を把握することが、老後資金準備の第一歩となります。
参考資料
柴田 充輝