2026年2月8日に投開票が行われた衆議院選挙では、消費税減税に関する公約が大きな焦点となりました。過半数議席を獲得した高市政権では「食料品の消費税ゼロ」を2年間の限定措置を検討しており、その後は「給付付き税額控除」を導入することを検討しています。

ニュースで耳にすることが増えた「給付付き税額控除」ですが、私たちの生活にどのような恩恵があるのでしょうか。ここでは、給付付き税額控除の仕組みや「定額減税」との違いについて分かりやすく解説します。

1. 【給付付き税額控除】「減税+お小遣い?」良いとこ取りの仕組み

税額控除=納税額から一定額を減らす1/2

税額控除=納税額から一定額を減らす

各種資料をもとにLIMO編集部作成

給付付き税額控除とは、所得税から一定額を控除する「税額控除」と、控除しきれなかった金額を現金で給付する仕組みを組み合わせたものです。

税額控除のみの場合、納める税金が少ない世帯は恩恵を受けにくいデメリットがありました。しかし、給付付き税額控除では控除しきれなかった分を現金として受け取ることができるので、所得が少なく税負担が少ない世帯にも支援が行き届くようになっています。

すでにアメリカやフランス、カナダなどの先進国で導入されており、所得が少ない世帯を支援する政策として広く活用されています。

2. 【給付付き税額控除】10万円の場合「3つの受け取りシミュレーション」

給付付き税額控除が導入されるとどのような恩恵があるのか、分かりやすく3つのケースで考えてみましょう。ここでは、10万円の給付付き税額控除が実施されるとします。

ケース①所得税額10万円の場合

所得税額が10万円の場合、全額が税額控除されて納税額がゼロになります。このケースでは控除しきれない金額が発生していないため、現金の給付はありません。

ケース②所得税額5万円の場合

所得税額が5万円の場合、まず5万円の税額控除が実施されます。その後、控除しきれなかった残りの5万円が現金として給付されます。

ケース③所得税が非課税の場合

所得税が非課税の場合、控除する税金がないため税額控除は実施されません。10万円は全額現金として給付されます。

このように、給付付き税額控除では税額控除の恩恵を受けにくいとされる所得が一定基準以下の世帯にも現金給付という形で支援が届けられる点が大きな特徴です。

3. 【給付付き税額控除】2024年実施「定額減税」と何が違う?

給付付き税額控除の仕組みを聞いて、2024年に実施された「定額減税」を思い出す方もいるかもしれません。しかし、給付付き税額控除と定額減税には大きな違いがあります。

定額減税は一律の金額を税額控除する制度で、2024年は所得税から3万円、住民税から1万円の合計4万円が控除されました。そのため、納める税金が控除される金額よりも少ない場合は、その恩恵を受けることができませんでした。

この差額分は調整給付として現金で給付されましたが、あくまで「別の制度」として実施されたものです。

一方、給付付き税額控除は税額控除と現金の給付が最初から1つの制度として実施されます。納税額の多い・少ないにかかわらず、すべての人が平等に恩恵を受けられることが大きな違いです。

4. 【給付付き税額控除】いつから始まる?消費税「食料品ゼロ」がつなぎ政策?

2026年2月26日に第1回社会保障国民会議が開催され、給付付き税額控除の制度設計に関する議論がスタートされました。この会議には与野党の議員や有識者などが参加しており、社会保障と税の一体改革に向けての制度作りが動き出しています。

高市首相は「まずは夏前に中間取りまとめを行い、税について結論を得られたらできるだけ早期に必要な法案の国会提出を目指したい」との発言を行っています。

ただし、給付付き税額控除は、2年間の食料品消費税減税が先行実施された後に本格導入される段取りです。

食料品の消費税2/2

食料品の消費税

出所:国税庁「消費税のしくみ」

現時点では消費税減税策がいつ頃実施されるかも見通しが立っていないため、給付付き税額控除についてはまだ未確定な部分が多いといえるでしょう。

5. まとめにかえて

給付付き税額控除は、所得の多い・少ないにかかわらずすべての人が恩恵を受けられる制度として期待が高まっています。特に、これまでの税額控除だけの制度ではメリットが少なかった低所得世帯にとっては、生活を支える重要な制度にもなり得ます。

正式な導入にはまだ時間がかかる見通しですが、今後中間取りまとめや法案の内容が発表される予定です。どのような制度設計となるか、引き続き注目していきましょう。

参考資料

椿 慧理