4. 年金の「繰下げ受給」の仕組み|受給額は増えるが税金・社会保険料の負担増に注意
一方、「繰下げ受給」は、受給開始を66歳以降に遅らせることで、受け取る年金額を増やせる制度です。
1カ月遅らせるごとに受給額が増え、その増額率が非常に高いことが大きな特徴といえます。
4.1 繰下げ受給における増額率の計算方法
増額率は、65歳になった月(誕生日の前日が含まれる月)から受給を開始するまでの月数によって決まります。
- 増額率(最大84%) = 0.7% × 繰下げた月数
最長である75歳まで受給開始を遅らせた場合、年金額は84%も増額されます。
※昭和27年4月1日以前に生まれた方は、繰下げの上限年齢が70歳のため、最大増額率は42%となります。
※この制度を利用する際は、年金の受給を待つ間の生活費をどのように確保するかが重要なポイントになります。
繰下げ待機期間中は、加給年金などが支給停止になる点に注意が必要です。また、万が一、年金を受け取る前に亡くなってしまった場合、遺族が増額分を受け取ることはできません。
そのため、ご自身の健康状態や家族の状況などを総合的に考慮し、慎重に判断することが求められます。
特に注意したいのは、待機中に亡くなった場合、遺族が未支給分の年金を請求しても「5年以上前」の分は時効によって受け取れなくなるリスクです。
これにより、本来受け取れるはずだった年金が失われる可能性があります。
さらに、待機期間中に他の年金を受け取る権利が発生すると、その時点で増額率が固定されてしまいます。
加えて、年金の受給額が増えることに伴い、所得税や住民税、社会保険料の負担も増加するため、額面通りの手取り増とはならないことにも留意が必要です。
著者
株式会社モニクルリサーチ メディア編集本部
LIMO編集部記者/編集者/元公務員
ニ種外務員資格(証券外務員ニ種)保有。小学校教諭一種免許、幼稚園教諭一種免許、特別支援学校一種免許取得。
京都教育大学卒業。株式会社モニクルリサーチが運営する、くらしとお金の経済メディア「LIMO(リーモ)」のLIMO編集部において、厚生労働省管轄の公的年金制度や貯蓄、社会保障、退職金など、金融の情報を中心に執筆中。大学卒業後は教育関連企業での営業職を経て、2010年に地方自治体の公務員として入職。「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」「福祉医療」等の業務に従事した。主に国民健康保険料の賦課、保険料徴収、高額療養費制度などの給付、国民年金や国民健康保険への資格切り替え、補助金申請等の業務を担う。特に退職に伴う年金や保険の切り替えでは、手続きがもれることで不利益を被ることがないよう丁寧な窓口対応を心がけた。その後、保険代理店にてパートとしてマーケティング業務に従事。保険料比較サイトの立ち上げに参加した。乗合保険会社の商品ページだけでなく、保険の知識を普及するためのページ作成にも参加。専門家と実務家が発信する金融経済ニュースサイト『LIMO&ファイナンス』でも記事を執筆している。京都府出身、滋賀県在住。(2026年6月26日更新)
監修者
マネー編集部年金班は株式会社モニクルリサーチが運営する『くらしとお金の経済メディア ~LIMO(リーモ)~』において、地方自治体の公務員や生命保険会社等の金融機関にて勤務経験が豊富な編集者が中心となり、厚生労働省や官公庁の公開情報等をもとに公的年金(厚生年金保険と国民年金)、年金制度の仕組み、社会保障制度などをテーマに、丁寧で読者にとってわかりやすい記事の情報発信を行っています。
マネー編集部年金班に所属する編集者は日本生命保険相互会社出身の村岸理美、地方自治体職員出身の太田彩子、株式会社三菱UFJ銀行と三井住友信託銀行株式会社出身の和田直子、株式会社三菱UFJ銀行出身の中本智恵、野村證券株式会社出身の宮野茉莉子、SMBC日興証券株式会社出身の安達さやか等のファイナンシャルアドバイザー経験者等で構成されており、表彰歴多数の編集者も複数在籍しており、豊富な金融知識をもとにした記事に定評があります。
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、一種外務員資格(証券外務員一種)などの資格保有者も多数在籍。生保関連業務経験者は過去に保険募集人資格を保有。(最新更新日:2025年6月8日)