1. 世界シェア6割の半導体材料がAIブームの受け皿に 営業利益率18%が視野
株価上昇の背景には、投資家がJX金属の事業がAIで加速すると考えていることが一因です。同社は2019年に長期ビジョンを策定し、半導体や情報通信向けの「フォーカス事業」に注力する方針を打ち出しました。かつては銅の精錬といった「ベース事業」が柱でしたが、汎用的な素材から高い付加価値が見込める機能材へ軸足を移しています。
看板商品の1つがスパッタリングターゲット(※)です。JX金蔵は半導体用で世界シェア6割を持っており、スパッタリングターゲットの素材となるタンタル粉も世界市場の過半を握ります。同社の製品は半導体製造装置メーカーから標準品に指定されるなど市場の信頼も厚く、高い技術力で競合の参入を防いでいます。
※スパッタリングターゲット…スパッタリングは成膜技術で、スパッタリングターゲットはその材料となる金属塊。真空環境でスパッタリングターゲットにイオンをぶつけ、弾き飛んだ金属の粒子を基盤に堆積させることで金属膜を形成する。
そして、スパッタリングターゲットの需要はAIが押し上げています。AIサーバー向け半導体チップは大型で配線の多層化も求められることから、スパッタリングターゲットの消費も増える構図です。JX金属の業績も拡大しており、営業利益率は上場して初の決算公表となった2025年3月期に15.7%に達しました。今期(2026年3月期)においては、営業利益率は18.3%まで上昇する見込みです。
需要の増加に対し、JX金属は増産でこたえます。同社は2026年3月、ひたちなか新工場(茨城県)の増強を公表しました。同工場は2022年から開業準備を進める生産拠点で、最大1500億円規模の投資を計画しているところ、うち230億円を半導体用スパッタリングターゲットに振り向ける内容です。
追加投資の決定で、半導体用スパッタリングターゲットは生産能力が2023年度比1.6倍に高まる見通しとなりました。ひたちなか新工場は2026年3月末からの開業を予定しており、今回の増強分の本格稼働は2028年3月期の下期を予定します。
