3. 手取りを最大化できる手段はどれ?
手取り収入を最大化するのであれば、高年齢雇用継続基本給付金を活用するのが望ましいでしょう。
たとえば、60歳時点で賃金が月額30万円だった人が、再雇用後に月額18万円(60%)まで減少したとします。この場合、新制度の支給率(最大10%)を適用すると、月額1万8000円が毎月支給されます。
合計の月収は19万8000円(賃金18万円+給付金1.8万円)となり、給付金がない場合に比べて、賃金減少分の一部を補うことができます。
一方、基本手当の受給には注意が必要です。収入が基本手当のみになると、単純に給与収入よりも金額が減るだけでなく、加入する社会保険が国民健康保険になるため、全額自分で保険料を納めなければならず、手取りが少なくなる可能性が高いのです。
加えて、基本手当の受給時は、年金との併給もできなくなります。年金との併給に関する注意点については、次章で解説します。
4. 【注意】失業手当は年金ストップの可能性あり
雇用保険の基本手当は、一部の年金との併給ができません。具体的には65歳になるまでに受け取る年金が全額支給停止となります。
たとえば、年金を先行して受給できる「特別支給の老齢厚生年金」は、基本手当を受給していると全額支給停止されます。
一方、本来65歳から受け取れる老齢年金の受給タイミングを早める「繰上げ受給」については、基本手当を受給している間であっても、年金は停止されず全額支給されます。
再雇用の場合は、給与と年金を同時に受け取ることが可能です(在職老齢年金制度)。ただし、前述の「高年齢雇用継続給付」を受ける場合は、さらに年金の一部が支給停止(調整)される点に注意が必要です。
「再雇用で給与+給付金+調整後の年金」を受け取るのか、あるいは「一度退職して基本手当(失業手当)を受け取る(※その間、特別支給の老齢厚生年金は全額停止)」のか、どちらが家計のプラスになるかをシミュレーションして選択するのが賢明です。
5. まとめ
60歳以降の働き方は人それぞれです。給与減少を高年齢雇用継続基本給付金でカバーすれば、現在とほぼ変わらない環境で働き続けながら、収入を補うことができます。
一方で、一度退職して基本手当を受給した後に再就職を目指す道もありますが、社会保険料の負担や、年金の支給停止などのルールを把握しておくことが重要です。
参考資料
- 厚生労働省「令和7年4月1日から高年齢雇用継続給付の支給率を変更します」
- 厚生労働省「Q&A~高年齢雇用継続給付~」
- 厚生労働省「離職されたみなさまへ」
- 日本年金機構「年金と雇用保険の失業給付との調整」
石上 ユウキ