筆者が長年籍を置いている金融業界も似たような状況です。大手メガバンク系列の金融機関は、社員数も多いので後継者問題は表面化していません。ところが、独立系が多い証券会社や資産運用業界の一部は後継者不足が深刻です。

すでに金融業界は従来の銀行・証券会社が、ITCやフィンテック等他業種からの攻勢もあり、旧来の経営戦略だけでは生き残っていくこと自体が困難になってきています。この状況において、旧態依然とした経営陣と経営方針で経営されていたらジリ貧ですし、業界全体が欧米アジア企業に後れを取っていくでしょう。

一方、外資系金融機関は経営陣から一般社員までヘッドハントで社員を募集するのがごく一般的ですので、戦略も人材も流動的で、成否は別として時代の流れに合わせやすい利点があると感じます。

ちなみに、筆者は15年ほど数社の外資系金融機関に勤務していました。一長一短はあるものの、経営スピードという観点では、やはり彼らの方が日本の大手金融機関より勝っていると思います。

どんな業種であれやり方を変えないと生き残りが難しいと感じているのは、筆者だけではないはずです。大企業でも中小企業でも生き残ってナンボです。経営者のみなさまには、後世に大きく成長する社会の公器を残すべく、多様性を理解しかつアグレッシブな後継者を見つけていただきたいと思います。

(注)本コラムは筆者の個人的な見解であり、筆者の属する組織や企業の見解ではありません。また、内容をより簡単にご理解いただくため、細部を要略する場合がありますのでご了承ください。

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太田 創(一般社団法人日本つみたて投資協会 代表理事)