3月も終わりを迎え、桜の見頃や新生活の準備に心が動く時期になりました。4月からの環境の変化を前に、働き方やこれからの暮らしを見直している方も多いのではないでしょうか。一方で、外からは見えにくい不調や将来への不安を抱えながら日々を過ごしている人も少なくありません。

厚生労働省の最新調査では、精神障害者保健福祉手帳の所持者が154万人を超え、年々増加していることが明らかになりました。そこで今回は、精神障害者保健福祉手帳の制度や利用状況、雇用の広がりについて解説します。

1. 精神障害者保健福祉手帳、どんな障がいが対象?

精神障害者保健福祉手帳は、精神疾患によって日常生活や社会生活に制約がある人を対象とした制度です。障がいの程度に応じて交付され、福祉サービスや各種支援につなげることを目的としています。

3種類の障害者手帳について1/4

3種類の障害者手帳について

出所:厚生労働省「障害者手帳」

対象となる疾患には、統合失調症、うつ病や双極性障害などの気分障害、てんかん、発達障害、高次脳機能障害を含む器質性精神障害、中毒性精神障害などが含まれます。

これらは同じ診断名でも症状の現れ方や生活への影響に個人差があり、単純に病名だけで判断されるものではありません。

1.1 うつ病・統合失調症など「対象となる精神疾患」の特性

それぞれの疾患の特性については、厚生労働省の資料をもとに、以下で詳しく見ていきます。

統合失調症

主な特性

  • 発症の原因はよくわかっていないが、100人に1人弱かかる、比較的一般的な病気である。
  • 「幻覚」や「妄想」が特徴的な症状だが、その他にも様々な生活のしづらさが障害として表れることが知られている。

出所:厚生労働省「精神障害(精神疾患)の特性(代表例)」より引用

気分障害

主な特性

  • 気分の波が主な症状として表れる病気。うつ状態のみを認める時はうつ病と呼び、うつ状態と躁状態を繰り返す場合には、双極性障害(躁うつ病)と呼ぶ。
  • うつ状態では気持ちが強く落ち込み、何事にもやる気が出ない、疲れやすい、考えが働かない、自分が価値のない人間のように思える、死ぬことばかり考えてしまい実行に移そうとするなどの症状がでる。
  • 躁状態では気持ちが過剰に高揚し、普段ならあり得ないような浪費をしたり、ほとんど眠らずに働き続けたりする。その一方で、ちょっとした事にも敏感に反応し、他人に対して怒りっぽくなったり、自分は何でもできると思い込んで人の話を聞かなくなったりする。

出所:厚生労働省「精神障害(精神疾患)の特性(代表例)」より引用

てんかん

主な特性

  • 何らかの原因で、一時的に脳の一部が過剰に興奮することにより、発作が起きる。
  • 発作には、けいれんを伴うもの、突然意識を失うもの、意識はあるが認知の変化を伴うものなど、様々なタイプのものがある。

出所:厚生労働省「精神障害(精神疾患)の特性(代表例)」より引用

れらはあくまで代表例であり、実際の症状や困難の程度は人によって大きく異なります。外見では分かりにくい困難を支える仕組みとして、この手帳制度が存在しています。

では、実際にどのくらいの方がこの制度を利用しているのでしょうか。次は、所持者数のデータについて詳しく見ていきましょう。