4. 2025年成立「年金制度改正法」で「年収106万円の壁」はどう変わる?
「106万円を超えると手取りが減る」
そう聞いて、収入を意図的に抑えてきた人は少なくないでしょう。2025年6月に成立した年金制度改正法は、こうした「働き控え」を生み出してきた構造に、制度の側から切り込むものです。
4.1 そもそも「106万円の壁」とは何か
年収106万円という数字の根拠は、社会保険の加入要件にある「月額賃金8万8000円以上」という基準です。
この水準を超えると扶養から外れ、健康保険料と厚生年金保険料を自己負担することになります。
保険料は収入の約15%程度にのぼるケースもあり、「収入は増えたのに手取りが減った」という逆転現象が起きやすい構造になっていました。
4.2 制度改正のポイントは?
今回の改正で変わるのは、加入要件の二つの柱です。
一つは「月額賃金8万8000円以上」という賃金要件。これが3年以内に撤廃される見込みです。
撤廃後は、賃金水準にかかわらず、週20時間以上働く短時間労働者は原則として社会保険の対象となります。
もう一つは企業規模要件です。現在は従業員51人以上の企業が対象ですが、この基準を10年かけて段階的に拡大し、最終的には企業規模を問わず適用される方向で見直しが進められます。
4.3 「壁の撤廃」は働く人にとって何を意味するか
一見すると、社会保険料の負担が増えるだけのように映るかもしれません。
しかし見方を変えると、厚生年金に加入することで将来受け取れる年金額が増える、傷病手当金や出産手当金などの保障が得られるといったメリットも生まれます。
収入を抑えることで保険料負担を回避するという選択肢がなくなるかわりに、働いた分だけ将来の保障に反映される仕組みへの移行ともいえるでしょう。
パートやアルバイトで働く方にとっては、今後の働き方や収入設計を見直す契機になりそうです。改正スケジュールの詳細は今後も順次公表される予定であり、最新情報を確認しながら対応を検討することをおすすめします。
