少子高齢化が進む日本において、社会保障制度を次世代へ引き継ぐための大きな転換期を迎えています。
政府は令和7年11月の閣議決定で「年齢にかかわらず公平な応能負担を実現するための第一歩」として、高齢者の医療費の窓口負担割合等に金融所得を反映させるための法制上の措置を、令和7年度中に講じることを明記しました。つまり年齢に関係なく一人ひとりの経済力に合わせて医療費の負担を分かち合うということです。
本記事では、現在議論されている「金融所得の反映」が、私たちの負担にどのような影響を与えるのかを解説していきます。
1. 社会保障、「金融所得」を反映させる背景
少子高齢化が加速する日本において、現役世代の保険料負担が増大しており、持続可能な社会保障制度の維持は喫緊の課題です。これまで国民健康保険や後期高齢者医療、介護保険の自己負担や保険料は、主に市町村民税の「課税所得」をベースに決められてきました。
しかし、高齢者は現役世代に比べて給与などの所得水準が低い一方で、豊かな預貯金や金融資産を保有しているケースも少なくありません。
1.1 現役世代の負担増と高齢者の資産格差
財務省の資料によると、年収が低い高齢者世帯であっても、同程度の年収の若者世帯より遥かに高い貯蓄を保有している実態がわかります。特に年収200万円未満の層でも、高齢者世帯の貯蓄額は若者世帯の数倍に達しており、「フローの所得」だけでは測れない経済的余力があることが分かります。
この資産背景の差が、今回の「能力に応じた負担」を求める議論の大きな根拠となっています。
