物価高が続く中、年金だけでは生活費が心もとないと感じている方も多いのではないでしょうか。

実は、知らないと損をする「年金生活者支援給付金」という制度があります。

2026年度の給付基準額が新たに決定し、物価上昇を反映して3.2%の引き上げが見込まれています。

ただし、この給付金は申請しなければ受け取れません。「知らなかった」「申請し忘れた」では、もらえるはずのお金を受け取れないまま終わってしまいます。

本記事では、2026年度の給付額や支給要件、申請方法をわかりやすく解説します。ご自身やご家族が対象になるかどうか、ぜひ確認してみてください。

1. 【2026年度の給付基準額が決定】年金生活者支援給付金はいくらもらえる?

年金生活者支援給付金の給付基準額は、公的年金と同様に年度ごとに見直されます。

2026年1月23日に、2026年度の年金額改定の内容が公表されました。

国民年金(基礎年金)が1.9%の引上げ、厚生年金(報酬比例部分)が2.0%の引上げとなり、年金生活者支援給付金の給付基準額は3.2%の引き上げられる見込みです。

年金生活者支援給付金の給付額1/8

年金生活者支援給付金の給付額

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成

  • 老齢年金生活者支援給付金(月額):5620円
  • 障害年金生活者支援給付金(月額):1級7025円・2級5620円
  • 遺族年金生活者支援給付金(月額):5620円

例えば、老齢年金の受給者が給付基準額どおりに支給される場合、偶数月の年金支給日に「1万1240円(2ヵ月分)」がまとめて振り込まれます。

2. 年金生活者支援給付金は3種類|支給要件をチェック

「年金生活者支援給付金」ってどんな制度?2/8

「年金生活者支援給付金」ってどんな制度?

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」

年金生活者支援給付金制度には、受け取る年金の種類に応じて次の3つの区分があります。

  • 老齢年金生活者支援給付金
  • 障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金生活者支援給付金

それぞれの支給要件を見ていきましょう。

2.1 老齢年金生活者支援給付金の支給要件

老齢年金生活者支援給付金の支給要件3/8

老齢年金生活者支援給付金の支給要件

出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」

老齢年金生活者支援給付金の主な支給要件は以下のとおりです。

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税
  • 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は90万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は90万6700円以下(※2)

※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

2.2 「障害年金生活者支援給付金」と「遺族年金生活者支援給付金」の支給要件

「障害年金生活者支援給付金」と「遺族年金生活者支援給付金」の支給要件は以下のとおりです。

  • 障害基礎年金もしくは遺族基礎年金の受給者
  • 前年の所得(※1)が479万4000円(※2)以下

※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は、給付金の判定に用いる所得には含まれません。
※2 扶養親族等の数に応じて増額。

3. 【手続きの流れ】年金生活者支援給付金の申請方法をケース別に確認

年金生活者支援給付金は自動的に支給されるものではなく、申請しないと受け取れないお金です。

ここでは、給付金の申請方法を見ていきましょう。

3.1 すでに年金を受給している方の場合

年金受給者が新たに年金生活者支援給付金の支給要件を満たした場合、毎年9月以降に「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が郵送されます。

年金生活者支援給付金請求書4/8

年金生活者支援給付金請求書

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度 」

必要事項を記入して返送しましょう。

3.2 65歳から新たに年金を受給する場合

65歳を迎えて新たに老齢基礎年金の受給を開始する際には、年金とあわせて年金生活者支援給付金も新たに申請する必要があります。

この場合、65歳の誕生日を迎える約3ヵ月前に、年金の請求書に加えて給付金の請求書も同封されて届きます。

こちらに必要事項を記入し、受給開始年齢の誕生日の前日以降に、年金の請求書とあわせて年金事務所に提出しましょう。

65歳を迎えて新たに年金を請求する方の場合5/8

65歳を迎えて新たに年金を請求する方の場合

出所:日本年金機構「65歳の誕生日を迎え、老齢基礎年金を新規に請求する方」

3.3 年金を「繰上げ受給」している場合

年金受給者の中には「繰上げ受給」を選択し、65歳を迎える前に受け取っている方もいらっしゃるでしょう。

繰上げ受給者が年金生活者支援給付金の支給要件を満たした場合、下記のように黄色の封筒が送付されます。

また、2025年1月以降に65歳を迎え、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が届いた方は、電子申請を利用できるようになっています。

この場合は、郵送での提出は不要となるため、「郵送」または「電子申請」どちらか好きな方法で手続きが可能です。

4. 【国民年金・厚生年金】平均でどのくらい受け取っている?

老後に取り崩せる資産が少ない場合、生活費の大部分を公的年金等の収入に頼ることになります。

では、現代のシニアはどのくらいの年金を受け取っているのでしょうか。

厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、国民年金のみを受け取る場合と、国民年金+厚生年金を受け取る場合の平均月額を見てみましょう。

4.1 【国民年金の平均月額】

  • 全体 5万9310円
  • 男性 6万1595円
  • 女性 5万7582円

4.2 【厚生年金の平均月額】

  • 全体 15万289円
  • 男性 16万9967円
  • 女性 11万1413円

※国民年金部分を含む

国民年金の平均月額は5万9310円、基礎年金部分を含む厚生年金の平均月額は15万289円となっています。

ただし、年金額は現役時代の収入や加入期間によって大きくばらつきます。

厚生年金を含めても、受給額は1万円未満から30万円以上まで幅広く分布しており、平均値だけでは実態をつかみにくいのが実情です。

5. まとめ

年金生活者支援給付金は、低所得の年金受給者を支援するための制度で、2026年度は給付基準額が3.2%引き上げられ、月額5620円(老齢・遺族)が支給される見込みです。

この給付金は申請しなければ受け取れません。対象と思われる方には請求書が郵送されますので、届いた際は必ず手続きを行いましょう。

なお、2025年1月以降に65歳を迎えた方は、郵送だけでなく電子申請も選択できるようになっています。

物価高が続く今、受け取れるはずの給付金を見逃さないよう、ご自身やご家族の受給要件をあらためて確認してみてください。

参考資料