75歳になると、これまで加入していた健康保険や国民健康保険から「後期高齢者医療制度」へ自動移行します。窓口負担は原則1割ですが、前年の所得によって2割・3割が適用されるケースも。

負担割合は毎年8月に更新されるため、収入が変動した年は特に注意が必要です。制度の仕組みと自分が該当する負担割合の判定基準を、今のうちにしっかり把握しておきましょう。

1. 後期高齢者医療制度は原則として「1割負担」

75歳の誕生日を迎えると、それまで加入していた健康保険や国民健康保険から自動的に脱退し、「後期高齢者医療制度」へ移行します。なお、65歳以上でも一定の障害認定を受けた方は、本人の申請により加入が可能です。

この制度が設けられた背景には、加齢とともに医療機関を利用する頻度や費用が増加しやすいという実態があります。現役世代と同じ負担割合では生活への影響が大きいため、後期高齢者向けに独立した保険制度として運営されています。

自己負担割合の基本は1割ですが、収入状況によって2割・3割が適用される場合があります。75歳になると市区町村から「資格確認書」が送付されるため、届いたら負担割合の確認を忘れずに行いましょう。

2. 自己負担割合が2割になる人と3割になる人のボーダーライン

自己負担割合は「1割・2割・3割」の3段階に分かれており、前年の所得をもとに毎年判定されます。

まず確認されるのが住民税課税所得が145万円以上かどうかです。145万円以上であれば「現役並み所得者」として3割負担となります。

145万円未満の場合は次のステップとして、2割負担に該当するかが判定されます。以下の両方の条件を満たす場合に、2割負担が適用される仕組みです。

  • 住民税課税所得が28万円以上145万円未満
  • 年金収入とその他所得の合計が「単身世帯200万円以上」または「2人以上世帯320万円以上」

どちらかの条件を満たさない場合は、原則の1割負担となります。また、2022年10月から導入された「2割負担」については、急激な負担増を和らげるための配慮措置(外来の負担増加額を月3000円までに抑える仕組み)が設けられていましたが、2025年9月末をもって終了しました。現在は配慮措置が終了し、要件に該当する方は本来の2割負担が適用されています。

なお、自己負担割合の更新は「毎年8月1日」です。前年の所得をもとに、8月から翌年7月まで適用される仕組みです。収入が変動した年は特に、お手元の「後期高齢者医療資格確認書」や「マイナポータル」などで負担割合を必ず確認しましょう。

3. 75歳から3割負担になるのは年収いくらの人?

3割負担が適用される「現役並み所得者」の目安となる年収は、世帯構成によって異なります。

  • 単身世帯:年収383万円以上
  • 複数世帯:世帯合計年収520万円以上

厚生労働省年金局「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金受給者の月額は以下の通りです。

  • 月額1万円未満:0.28%
  • 月額1万円以上2万円未満:0.09%
  • 月額2万円以上3万円未満:0.31%
  • 月額3万円以上4万円未満:0.58%
  • 月額4万円以上5万円未満:0.61%
  • 月額5万円以上6万円未満:0.85%
  • 月額6万円以上7万円未満:2.34%
  • 月額7万円以上8万円未満:3.97%
  • 月額8万円以上9万円未満:5.44%
  • 月額9万円以上10万円未満:6.73%
  • 月額10万円以上11万円未満:7.01%
  • 月額11万円以上12万円未満:6.57%
  • 月額12万円以上13万円未満:5.97%
  • 月額13万円以上14万円未満:5.75%
  • 月額14万円以上15万円未満:5.89%
  • 月額15万円以上16万円未満:6.14%
  • 月額16万円以上17万円未満:6.39%
  • 月額17万円以上18万円未満:6.56%
  • 月額18万円以上19万円未満:6.37%
  • 月額19万円以上20万円未満:5.84%
  • 月額20万円以上21万円未満:4.99%
  • 月額21万円以上22万円未満:3.90%
  • 月額22万円以上23万円未満:2.72%
  • 月額23万円以上24万円未満:1.78%
  • 月額24万円以上25万円未満:1.18%
  • 月額25万円以上26万円未満:0.75%
  • 月額26万円以上27万円未満:0.45%
  • 月額27万円以上28万円未満:0.25%
  • 月額28万円以上29万円未満:0.13%
  • 月額29万円以上30万円未満:0.06%
  • 月額30万円以上:0.09%

厚生労働省の令和5年度データによると、厚生年金受給者のうち月額30万円以上(=年収360万円超)を受給している方は全体のわずか0.09%にとどまります。年金収入のみの単身世帯で3割負担に該当する方は、現時点では限られた層であると言えます。

4. おわりに

後期高齢者医療制度の負担割合は「住民税課税所得」と「年金収入などの合計額」によって毎年判定されます。まずはお手元の「後期高齢者医療資格確認書」や「マイナポータル」で、自分が1割・2割・3割のどの区分に当てはまるかをチェックしましょう。負担割合は毎年8月1日に更新されます。

収入が減った年には1割に戻る可能性もあるため、届いたら必ず内容を確認する習慣をつけることが大切です。将来の医療費に備え、自分の年金収入の見込みと合わせて早めに試算しておくことをおすすめします。

参考資料