2. ひとり親世帯が利用できる制度2つ
2.1 ひとり親家庭等医療費助成制度
ひとり親家庭の医療費負担を軽減する自治体独自制度です。自己負担分を助成する仕組みで、窓口負担が実質無料になる地域もあります。
所得制限はありますが、住民税課税世帯でも基準内であれば対象です。自治体ごとに年齢要件や対象範囲が異なるため、居住地での確認が不可欠です。
多くの自治体では、事前に「受給者証」の交付申請を行い、医療機関の窓口で提示することで助成が適用されます。また、子どもだけでなく、ひとり親本人の医療費も対象となります。
2.2 児童扶養手当
ひとり親世帯の生活安定を目的とした国の制度です。所得に応じて「全部支給」と「一部支給」に分かれます。子ども1人の場合、全部支給は月額4万8050円。一部支給は所得に応じて減額されます。
就労収入が増えても急にゼロになるわけではなく、段階的に減額される仕組みです。なお、受給者は毎年現況届の提出が必要となります。
3. 社会保険料の負担を軽くする制度2つ
3.1 国民年金保険料の免除・納付猶予
所得が一定以下の場合、国民年金保険料の全額または一部が免除されます。単身世帯では所得約67万円以下が全額免除の目安です。
免除期間も受給資格期間に算入されるため、未納とは扱いが異なります。ただし将来の年金額は減額されるため、余裕ができた際には追納を検討するのが一般的です。
また、若年層向けには納付猶予制度もあり、50歳未満が対象です。
3.2 国民健康保険料の軽減
世帯所得に応じて、国民健康保険料の均等割や平等割が軽減される仕組みです。
例えば3人世帯(給与収入のみ)の場合、年収約98万円以下が7割軽減、約197万円以下が5割軽減、約302万円以下が2割軽減の対象となる目安の年収です。
さらに、倒産や解雇などによる離職者には特例軽減制度もあります。申請が必要なケースもあるため、市区町村窓口への相談しましょう。
4. 住宅の安全を守る支援制度3つ
4.1 木造住宅の耐震診断助成
木造住宅の耐震性を専門家が調査する費用を、自治体が補助する制度です。
特に、1981年5月31日以前に建築確認を受けた「旧耐震基準」の住宅は、大規模地震で倒壊するリスクが高いとされており、多くの自治体で助成対象とされています。また、2000年以前の木造住宅についても、接合部の規定が現在より緩やかだったことから、対象に含める自治体があります。
耐震診断では、図面確認や現地調査を行い、「上部構造評点」という数値で耐震性能を評価します。
例えば東京都品川区では、一定要件を満たす木造住宅について、耐震診断費用を最大25万円まで全額助成しています。事前申請が必要で、区の登録建築士による診断であることが条件です。補助の対象築年数や上限額は自治体ごとに異なるため、最新の制度内容を確認することが欠かせません。
4.2 耐震改修工事の助成
耐震診断で基準未満と判定された住宅に対し、補強工事費用の一部を補助します。
東京都品川区では最大400万円(「共同住宅」の場合は最大600万円まで助成)の補助制度がありますが、補助率や上限額は地域差が大きいのが実情です。
4.3 耐震シェルター・解体費用助成
全面改修が難しい方に、室内の一部を補強する耐震シェルター設置費用を助成する制度です。
また、倒壊リスクが高い空き家などは解体費用補助の対象となることもあります。補助額は数十万円から数百万円規模まで自治体によって異なります。
また、耐震改修工事を行うと補助金が出るだけでなく、所得税の控除(住宅特定改修特別税額控除)や固定資産税の減額措置を併用できる場合があります。リフォーム時は補助金と減税をセットで資金計画を立てるのがコツです。
5. FP(ファイナンシャルプランナー)からのメッセージ
「税金を払っているから公的支援は関係ない」と思い込んでしまうのは、非常にもったいないことです。
日本の社会保障や補助金制度は、低所得世帯のセーフティネットとしてだけでなく、中間所得層の生活安定や資産形成を後押しする制度も数多く用意されています。
制度を賢く使いこなすために、以下の3つのポイントを意識しておきましょう。
5.1 「申請主義」の壁を越える
公的制度のほとんどは、自分から手を挙げて申請しないと1円も受け取れません。「知っているか・知らないか」だけで年間数十万円以上の差がつくこともあります。
5.2 「控除」を活用して制度の対象枠に入る
就学支援金や各種手当などは「所得(課税標準額)」で判定されます。iDeCoや生命保険料控除、医療費控除などをしっかり申告して所得を下げておくことが、各種補助金の対象になる近道です。
5.3 住んでいる自治体の広報・HPを年1回はチェックする
国の制度だけでなく、自治体独自で「省エネ家電買い替え補助」「子どもの医療費無償化拡大」などを実施しているケースが増えています。お住まいの自治体の広報紙やWebサイトは、年に1〜2回チェックする習慣をつけましょう。
国の制度や自治体の支援を「権利」としてしっかり活用し、浮いたお金を将来の貯蓄や教育資金に回していく視点が大切です。
6. 「課税世帯でも使える制度」は意外に多い!
今回紹介した制度は、いずれも住民税課税世帯でも条件を満たせば利用できます。
給付や減免は「低所得世帯限定」というイメージが強いですが、実際には子育て世帯や中間所得層も対象となる制度も少なくありません。
共通するのは受給するには申請が必要となる点です。制度を知らなければ受け取れません。自治体や勤務先からの案内を見逃さず、必要なときに相談・申請することが家計の防衛につながるでしょう。
参考資料
- 全国健康保険協会「子どもが生まれたとき」
- 全国健康保険協会「出産で会社を休んだとき」
- 厚生労働省「育児休業等給付について」
- こども家庭庁「児童手当制度のご案内」
- 文部科学省「高校生等への就学支援」
- 千代田区「ひとり親家庭等の医療費助成」
- 千代田区「児童扶養手当」
- 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
- 厚生労働省「国民健康保険の保険料・保険税について」
- 品川区「耐震化支援事業」
- 政府広報オンライン「児童手当が大幅拡充!対象となるかたは必ず申請を」
苛原 寛





