4. 政府はなぜ「給付付き税額控除」を重視する?3つの理由を解説

政府は、物価高騰への対策として期待されていた「一律の現金給付」の実施を見送る判断をしました。

一律給付は手続きが簡単でスピーディーという利点がありますが、高市総理は制度設計に時間を要する「給付付き税額控除」の導入を優先する考えを示しています。

迅速性よりも丁寧な制度設計を優先する背景には、どのような狙いがあるのでしょうか。この制度が持つ3つの重要な役割を解説します。

4.1 理由1:一過性ではない、持続可能な支援制度の構築

現金給付は、迅速に実行でき、支援の効果をすぐに実感しやすいというメリットがあります。

しかし、その多くは一度きりの暫定的な対策に終わりがちです。

また、所得が高く必ずしも支援を必要としない層へも一律に支給されるため、財源の効率的な配分や制度の持続性という観点から課題が残っていました。

4.2 理由2:これまでの減税策の対象外だった低所得者層への支援拡大

従来の所得税減税には、「所得税を納めている人でなければ恩恵を受けられない」という根本的な課題がありました。

減税は納める税金を減らすことが目的のため、所得が低く納税義務のない非課税世帯はそのメリットを享受できず、最も支援が必要な層が対象から外れてしまうという問題があったのです。

前述したように、「給付付き税額控除」は、税額控除で引ききれない分を現金で補う仕組みです。

この仕組みにより、所得税の納税額が0円の非課税世帯に対しても、設定された支援額が全額自動的に支給されることになります。

これにより、従来の減税策では難しかった低所得世帯への支援が実現すると同時に、所得がある層にも減税という形で恩恵がもたらされるため、より幅広い層を対象とした制度といえるでしょう。

4.3 理由3:消費税の「逆進性」という課題を和らげる効果

一律の現金給付は、短期的に家計を支える効果は期待できますが、消費税が持つ「逆進性」という根本的な問題の解決には至りません。

「逆進性」とは、所得の多寡にかかわらず同じ税率が適用される消費税の特性上、所得が低い人ほど収入に占める税金の負担割合が重くなる現象を指します。

例えば、以下のようなケースで考えてみましょう。

  • 年収1000万円の人が生活費として100万円を使い10万円の消費税を支払った場合、税負担は年収の1%に相当します。
  • 一方、年収300万円の人が同じく100万円を消費して10万円の消費税を支払った場合、税負担は年収の約3.3%となり、負担の割合が大きくなります。

このように、同じ金額を支払っても、所得が低いほど収入に対する税負担の割合が高くなるのが、消費税の「逆進性」という課題です。

この不公平感を是正し、格差を是正する手段として期待されているのが「給付付き税額控除」です。

この制度の大きな特徴は、低所得者層に対して「支払った消費税の一部を実質的に還付する」ような効果をもたらす点にあります。現金給付によって直接的に家計を支えることで、自由に使えるお金(可処分所得)を増やし、生活の安定を後押しします。

つまり、給付付き税額控除は、これまでの減税策では支援が届かなかった非課税世帯にも手厚いサポートを可能にする、「税の再分配機能」を正常化させるための有効な仕組みなのです。

5. まとめ

食料品0%はあくまで「つなぎ」の施策です。2年後に税額控除へ移行する際、食品価格が「実質8%値上がり」したように感じるリバウンドのリスクがあります。

今、私たちがすべきことは、浮いた消費税分を「なんとなく消費」に回すのではなく、資産形成にまわすなどの工夫が必要です。

高市政権が目指す「強い経済」の波に乗る準備を始めましょう。

参考資料

マネー編集部社会保障班