株式会社バッファローは、2026年2月26日、ブルーレイドライブ(以下、BDドライブ)の販売終了を発表しました。SNSでは同市場の牽引役であったバッファローの事業撤退に驚きと嘆きの声が広がっています。
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出所:株式会社バッファロー
今回の発表によると、同社のBDドライブの販売終了は26年7月を予定、受注状況によっては、時期が前後する可能性もあるとのことです。「後継機種を出す予定はない」とも明言しており、事業から完全に撤退することになります。
BDを巡っては、23年にパナソニック、25年にソニーが録画用BDメディアの生産を終了。今年に入っても、1月にTVS REGZA(旧東芝)、2月にソニーがBDレコーダー事業からの撤退を表明しており、市場の衰退が加速していました。
バッファローのBDドライブからの事業撤退はその流れを受けたものですが、最後の砦という印象が強かったバッファローの撤退は、多くのユーザーに衝撃を与えているようです。
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出所:株式会社バッファロー
1. 「世界標準」だったBD。「PlayStation 3」が起爆剤に
BDは02年にソニー・パナソニック・シャープなど日系メーカーを中心に「ブルーレイディスク・アソシエーション(BDA)」が設立されたことからスタートしています。
青紫色レーザーを用いることでDVDの約5倍の容量(25GB)を実現し、次世代の記録媒体として注目を集めました。
翌年03年にはソニーが世界初のBDレコーダー「BDZ-S77」を発売。価格は約45万円と非常に高価で、まだ一部のマニア層だけが触れられるような存在でした。
ソニーが2003年に発売した世界初のBDレコーダー「BDZ-S77」3/5
出所:ソニー株式会社
潮目が変わったのは、06年の「PlayStation 3」の発売です。BDドライブが標準搭載されたことで、再生環境が一気に世界中へ普及しました。
08年には次世代の覇権を競っていた「HD DVD」が完全撤退することになり、「世界標準」としての地位を盤石なものにしました。
11年には日本でアナログ放送が終了したことを受け、ハイビジョン番組を劣化させずに録画できるBDレコーダーの需要がさらに拡大します。
BDレコーダー市場のピークはまさにこのときで、JEITA(一般社団法人 電子情報技術産業協会)が発表している「民生用電子機器国内出荷統計」によると、出荷台数は約628万台を記録しています。
2. 「所有」から「視聴」へ。VOD普及で需要が縮小
その後、市場は徐々に縮小していきますが、衰退を決定づけることになったのは、動画配信サービス(VOD)の普及です。
15年にNetflixが日本上陸したことをきっかけに、国内外からさまざまなVODが登場し、映像コンテンツは「所有するもの」から「視聴するもの」にシフトしていきます。
特にコロナ禍に巣ごもり需要でVOD移行が加速したことは、これまでのBDを買う、あるいはレンタルするというライフスタイルを一気に過去のものにしました。
ピーク時(11年)は約628万台だった出荷台数は、15年に約230万台、21年に170万台、24年には約77万台にまで一気に減少し、26年には約40万台になるとの予測も示されています。
3. 最後の砦だったバッファロー撤退のインパクト
市場縮小の要因として、ハードウェア環境の変化もあります。
特に視聴デバイスとして機能していたノートPCでディスクドライブ非搭載モデルが主流となり、そもそも視聴できない環境になったことでBD離れが加速します。
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PixDeluxe/shutterstock.com
ただ、一定数のBD需要はあり、その最後の砦となっていたのが、今回バッファローが事業撤退を発表した外付けできる「BDドライブ」でした。
さまざまなPC周辺機器を展開しているバッファローですが、BDドライブ市場におけるシェアは特に高く、家電量販店・ネットショップの実売データを集計する「BCNランキング」が発表しているデータによると、記録型光学ドライブ(DVD・BD含む)市場のメーカーシェアは56.2%と過半数を占めています。
裏返せば、現在のBD市場は「絶対王者であっても事業として成立しない」ということであり、衰退をさらに強く印象付ける出来事となりました。
撤退劇の裏には「部品供給」の限界も見え隠れしています。
BDドライブの心臓部である光学ピックアップやドライブメカを製造するメーカー(パイオニアなど)が事業を縮小・整理しており、バッファローのような周辺機器メーカーが安定して高品質なドライブを確保することが極めて困難になってきています。
需要縮小だけでなく、産業構造全体の地殻変動も、事業撤退という決断に至った大きな要因と考えられます。
4. 本当の最後の砦はまだ残っている?ニッチ市場として残る可能性
今回のニュースを受け、SNSでは最後の砦と思われていたバッファローの事業撤退に驚きと嘆きの声が広がっています。
まだBDに保存する、あるいは購入するという層からは
- 「円盤を買っても見る手段がなくなる」
- 「ディスクは手元に残ると信じていたのに……」
- 「これからの推し活はどうなるのか」
などのコメントが見受けられました。
一方ですでにBDを使わなくなった層からは
- 「正直、ここ5年くらい一回もディスクを入れてない」
- 「配信で十分、スマホで見られないメディアは不要」
- 「むしろ2026年まで頑張ったのが奇跡」
などドライな反応も少なく、ヘビーユーザーとの温度差を感じさせます。
ただ、BDドライブの最大手であるバッファローの事業撤退は、イコール市場終焉とはならない可能性もあります。
競合であるアイ・オー・データ機器は、26年2月にテレビ録画用HDD内の番組を、PCを介してブルーレイにダビングできる専用外付けドライブ「BDレコ」を発売。エレコム傘下のロジテックもラインナップは縮小しつつも、Mac専用モデルや超薄型モデルなど特定層に絞った商品の展開は継続しています。
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出所:株式会社アイ・オー・データ機器
両社はBD保存難民の「本当の最後の砦」としてニッチ市場で生き残ることができるのか。それとも、現実的な判断からバッファローに続く道を選択するのか。終焉に向かって加速しているBD市場ですが、最終的な着地点はまだ確定していません。
参考資料
- 株式会社バッファローリリース「ブルーレイドライブ販売終了のご案内」
- 株式会社アイ・オー・データ機器リリース「HDDに録りためたテレビ番組をダビング! パソコン用ブルーレイレコーダー『BDレコ』を発表」
- JEITA(一般社団法人 電子情報技術産業協会)「民生用電子機器国内出荷統計」
- 株式会社BCN「BCN AWARD 2026(記録型光学ドライブ部門、記録媒体部門)」
大蔵 大輔