1.1 新制度で何が変わる?注目すべき変更点

今回の制度改正で特に大きく変わるのは、子どものいない配偶者に対する遺族厚生年金の支給の仕組みです。

これまでは条件によって生涯受給が可能でしたが、新制度では原則として「5年間の有期給付」へと変更される方針です。

この対象となるのは、一定の年齢に満たない子どものいない妻と、60歳未満で子どものいない夫です。

しかし、単に支給期間が短縮されるだけではありません。5年間の支給期間中には「有期給付加算」という新たな仕組みが導入され、モデルケースでは現在の約1.3倍まで給付額が増えると試算されています。

長期的な生活保障から、一定期間に手厚く支援する「短期集中型」の給付へと考え方が転換されるのが特徴です。

また、5年が経過したからといって必ずしも支給が終了するわけではなく、以下のようなケースでは引き続き支給の対象となります。

  • 障害の状態にある場合(障害年金の受給者など)
  • 所得が一定の基準を下回る場合(単身者で年収約122万円以下が目安)

所得に応じた調整も行われ、収入が増えるにつれて支給額は段階的に減少し、月収がおおむね20万円から30万円を超えると支給が停止される仕組みが検討されています。

1.2 今回の制度改正で影響を受けるのはどのような人か

新制度の対象となるのは、主に子どものいない若年層から中年層の配偶者です。

影響を受ける女性のケース

夫が亡くなった時点で40歳未満の妻が対象です。現行制度では30歳未満の場合に5年間の有期給付とされていますが、この年齢が段階的に40歳未満まで引き上げられる予定です。

この変更により、新たに対象となる30歳代の女性は年間約250人と推計されています。

影響を受ける男性のケース

妻が亡くなった時点で60歳未満の夫が対象となります。

現行制度では55歳未満の夫は原則として受給できませんでしたが、新制度では受給対象に含まれることになります。

これにより、年間約1万6000人が新たに対象となると見込まれています。

1.3 制度改正の影響を受けない人の条件

制度が変わると聞いて不安に思う方もいるかもしれませんが、以下に該当する方は今回の変更による影響を受けません。

  • 既に遺族厚生年金を受給している方
  • 配偶者が亡くなった時点で60歳以上の方
  • 18歳になった年度の3月31日までの子どもがいる方
  • 2028年度の時点で40歳以上の女性

改正のポイントと経過措置について

「40歳以上」という基準は、改正が施行される2028年4月1日時点の年齢で判断されます。

また、施行時点で30歳以上40歳未満の女性に対しては、急激な変化を緩和するため、数十年かけて段階的に給付期間を調整する「経過措置」が設けられる予定です。

特に子育て中の世帯に関しては給付期間の変更はなく、むしろ遺族基礎年金の子どもに対する加算額は増額する方向で検討が進められています。