5. 月約4万2000円の赤字が続く現実と貯蓄取り崩しのシミュレーション
公的年金を主な収入源とする65歳以上の無職・夫婦世帯では、毎月の生活費を完全にまかなうことができず、平均して約4万2000円の赤字が発生している状況です。
この不足分は貯蓄を取り崩して補うことになりますが、この状態が長期間続いた場合、資産にはどのような影響が出るのでしょうか。
ここでは、統計データに基づき、老後の家計の実態をより具体的に見ていきます。
5.1 高齢無職世帯の家計は毎月約4万2000円の赤字
先ほどのデータから、平均的な世帯では毎月4万2434円の資金不足が生じていることが明らかになりました。
食費や光熱費、医療費といった消費支出に加え、税金や社会保険料などの負担もかかるため、年金収入だけで収支をプラスにすることは容易ではありません。
月4万2434円という赤字額は、一見すると大きな金額ではないように感じるかもしれませんが、長期化すると家計に深刻な影響をおよぼします。
- 1年間:約51万円の赤字
- 10年間:約509万円の取り崩し
- 20年間:約1018万円の取り崩し
人生100年時代といわれる現代において、老後生活が長期化するなかでこの赤字構造が続けば、資産は着実に目減りしていくことになります。
5.2 貯蓄中央値1178万円はいつまで持つのか
冒頭で確認した通り、金融広報中央委員会の調査によれば、70歳代・二人以上世帯の貯蓄額の中央値は約1178万円です。
もし同程度の赤字が毎月続いた場合、単純計算では20年を待たずに貯蓄の多くを使い切ってしまう可能性があります。もちろん、実際には支出の見直しや就労による収入確保などで調整を図る世帯も多いと考えられますが、数値上は決して余裕があるとはいえません。
5.3 月数万円の赤字が老後資金に与える影響
収入を大幅に増やすことが難しいシニア世帯にとって、たとえ月数万円の赤字であっても軽視はできません。物価上昇が続けば、赤字幅がさらに拡大するリスクも考えられます。
老後資金を計画する際には、現在の貯蓄額だけでなく、毎月どのくらいのペースで資産を取り崩しているのか、そしてその状態が今後どのくらいの期間続く見込みなのかを把握する視点が不可欠です。